勇者(仮)、暗殺者に狙われる!!
ギルドの前を通り過ぎ、街の路地へと足を踏み入れた朝日。
さっきから感じる微かな殺気に、胸がざわついていた。
裏通りの奥、薄暗い影の中に、確かに人の気配がある。
息を潜め、身を低くしている――普通の人じゃない。
「ねえ、そこに隠れてるの、君だよね?」
軽い調子で声をかけた瞬間、飛び出してきたのは小柄な青髪の少女。
手にしたナイフが反射する、わずかに光る毒の輝き。
「うわっ!? マジか!!」
ギリギリで横に飛び退く朝日。
少女のナイフが石畳に突き刺さり、乾いた音を立てた。
「いきなり刺す!? 普通さ、まず名乗るとかないの!?」
しかし少女は答えず、すぐさまナイフを振り回してくる。
――だが、その動きは熟練の暗殺者にしてはどこか雑だった。
無駄に力が入りすぎ、踏み込みも粗く、隙が多い。
(……経験が浅いな。勢い任せだ……!)
一撃一撃が本気なのは伝わってくる。
だが、それ以上に、どこか焦りと不器用さが見え隠れする。
「……なあ、何のためにやってんだ? 金か? 弟がいるのか?」
「――っうるさい!!」
一瞬、少女の動きが鈍る。
その隙をついて、朝日は一歩踏み込んだ。
ナイフを刀の鍔で受け止め、力任せに吹き飛ばす。
「ごめんな。でも俺も、ここで死ぬわけにはいかないんだ!」
少女は息を呑み、目を見開く。
そして――
「くっ……あぁ、ナイフが!!」
悔しそうな顔をしてナイフを拾い、背を向けて走り去っていった。
「……逃げた……?」
朝日は息を整え、ゆっくりと立ち上がる。
「はぁ……びっくりした……。最近の暗殺者って、こんな若い子なのか……?」
そう呟き、額の汗を拭った。
――確かに、殺気は本物だった。
だが、どこか無理をしているような気配も感じた。
(……放っとけるわけ、ないよな)
次に会ったとき、彼女と「戦う」以外の道を探さなきゃならない。
それが、勇者(仮)としての、俺なりの流儀だ。
次回予告!!
「なんだったろうな、あの子」
「その子、強かったの?」
「いや、すぐに制圧できるね。動きも雑で隙だらけだったから」
「へぇー」
「……彼女はなぜ俺を狙ったんだろ」
「さぁ? 分からないわね」
「――でも、気になるんだ。あの必死さ、あの目……」
「……ねえ、まさか追いかける気?」
「そんなことないって!ただ……次に会ったら話してみたいんだ」
「はぁ……またそういう流れになるのね……」
「次回!『勇者(仮)、暗殺少女を追いまくる!!』
読んでくれよな!」
「ストーカーにならないようにね」




