ゴブリン討伐した時の俺の話
ゴブリンを2体倒したところで、ひとまず森の静けさが戻ってきた。
「……ふぅ、なかなかのもんだったな。思ってたよりずっとしぶとい」
栞も岩のそばに腰を下ろし、水筒の水を一口飲んでいる。
「これでまだ“普通の”ゴブリンなんだから、笑えないわね」
「マジでか……。ゴブリンってもっと、こう……丸っこくて、緑で、雑魚いのが定番じゃね?」
「それ、絵本でしょ。現実はマッチョ系。さっきのなんて、見た目だけなら下位オークと間違えるわ」
「いや、見た目だけじゃない。腕力も普通にヤバかったぞ……」
「それにしても――」
そのとき、背後の茂みから「ガサッ」と音がした。
俺たちは無言でアイコンタクトを交わし、すぐに剣と魔法を構える。
「また来たわよ」
「マジかよ、何体目だよ……もう3体目だぞ」
出てきたのは、歯をむき出しにしたゴブリン。今度のは両手に棍棒を構えていて、さっきのスピード系とは違い、パワーで押してくるタイプらしい。
「どっちいく?」
「交代。今度は私が前に出るわ」
「任せた!」
栞が土を踏みしめると、周囲の地面が振動した。
「土魔法」
瞬間、足元からツタのような土の束が巻き上がり、ゴブリンの脚を拘束する。
「動き止まった! 今だ、朝日!」
「おっしゃ、いくぞ!」
俺は一気に踏み込み、低く構えた体勢から一閃。首筋に斜めの切り込みを入れると、ゴブリンは断末魔を上げて崩れ落ちた。
「……これで3体目。依頼条件は達成か」
「でも帰るにはちょっと早いわね。洞窟の中、確かめないと」
「やっぱりそうなるか……」
その後も、旧鉱山跡に向かう道中で2体ほどと遭遇した。木陰から飛び出してきたり、上から石を投げてきたりと、意外と戦術的で油断ならない。
「こっちはスリーマンセルで襲ってくるぞ。おい、ゴブリンって軍隊式訓練でも受けてんのか?」
「さっきのはたぶん斥候部隊ね。完全に待ち伏せされてたわ」
「ボス、結構強いんじゃない……?」
それでも俺たちは順調に対応しながら前に進んでいた。
そしてついに、岩場の奥――旧鉱山跡が見えてきた。
「……あれが、拠点ってやつか」
「ええ。ここが一番、ゴブリンが密集してるって情報だったわ」
大きく口を開けたような洞窟の入り口。その奥には、きっとまだ奴らがいる。
「準備はいい?」
「もちろん。ここまできたら、やるしかないだろ」
俺は剣の柄を握り直し、洞窟の暗がりへと歩を進めた。
洞窟に入ると、空気が一変した。湿気と鉄臭い空気、奥から響くような不穏な唸り声――ただの巣穴じゃない。
「……いるな。でっけえのが」
「わかる。魔力の圧、すごい……。この感じ、ただのゴブリンじゃないわね」
俺は天井に空いた穴に気づき、上にいるゴブリンの存在を察した。
「栞!! 上!!」
栞が気づいた瞬間、上から岩が落ちてきた。
「危なかったな、怪我はないか?」
「うん、あのゴブリン叩き落とそう」
「どうやってやるの?」
「簡単よ。重力魔法!」
上からゴブリンが2匹落ちてきた。さっきの大きな石は、2体が協力して落としたのかもしれない。
それにしても、一撃で倒してしまった。
俺のもうひとつのストック魔法、重力系にしようか……でも、師匠の意思を継いで雷魔法を選ぶつもりだったのに……。
――――さらに奥へと進むと、開けた空間に出た。そこに、いた。
「……うわ、マジかよ」
奴は他のゴブリンより二回りは大きかった。肩幅は人間の倍、腕は丸太のようで、皮膚の色も暗く濁った苔色。
何より目を引くのは、その手に握られた――
「……鬼の棍棒?」
巨大な鉄棘のついた棍棒を、ゴブリンは片手で振り上げた。
「ウゥゥアアアアアアアアアアアッ!!」
「やる気満々だな、おい!」
ドォン! 地面を砕く一撃。吹き飛んだ岩片が壁に突き刺さる。
「当たったら死ぬやつだこれ!」
「朝日、私が足止めするから、隙を見て首を狙って!」
「おっけー、やってやんよ!」
栞が土を操り、地面を盛り上げてゴブリンの動きを鈍らせる。
だが、ボスは土の杭を棍棒で粉砕しながら突進してきた。
「やべッ、力が段違いだ!」
「でも、動きは直線的よ!」
「なら――行く!」
俺はその横を駆け抜け、一気に背後に回り込む。
だが、棍棒がギリギリで横薙ぎに振られてきた。
「チッ……速えッ!」
咄嗟にしゃがみ込んで回避。地を滑るように間合いを詰め、剣を振り上げる。
「脚、もらった!!」
深く踏み込み、斬撃を左足首に叩き込んだが――僅かに切れただけだった。
「硬すぎだろ……」
ウゥゥアアア!!と吠える声。体勢が崩れたものの、そのまま突進してくる。
「栞、今だ!!」
「《岩槍・フォール!》」
土から突き上げる岩槍が、ボスゴブリンの足裏を貫通した。ぐらりと傾く巨体。さすがだな。
「トドメいくぞ……!」
ゴブリンの首元に向けて、俺は跳躍。宙を舞う中で、剣に力を込め――
「くらえッッ!!」
渾身の一太刀。しかし、斬撃は通らない。
「嘘だろ、硬すぎだろ……!」
これ以上切り込めば、刃が折れる。俺は一旦距離を取る。
ボスゴブリンが「ごほっ」と咳をした。少しは効いたようだが――
「どうしたの?なんで切らなかったの?」
「それがさ、思いっきり斬ったはずなんだけど、すげー硬くてさ。足首と同じくらいの硬さだと思ったけど……もっと硬かった」
「困ったわね。でもこれで私が倒せば、私の方が上って証明できるわね」
「やってみろよ! ボスゴブリンこっちに突っ込んできてるから、早くしろよ!」
「土魔法《アルティメット・メテオランス!!》」
空間が歪む。栞の前に巨大な岩槍が出現し、そのままゴブリンの腹を貫通させる。
しかし――
「こいつ、一度ふらついただけで、また突っ込んできた……!」
「栞危ない!!」
俺はゴブリンの金棒を刀で受け止め、流すように栞と共に距離を取った。
「どうする? 見ろ、さっきのお前の魔法で貫通した足、もう治ってるぞ。それに奴の腹も治りかけてる」
「嘘でしょ……これじゃあどうしようもないじゃない」
俺たちは岩の陰に隠れ、息を潜める。
「これからどうするの?」
「そうだな……お前、あと何回魔法撃てる?」
「あと二発ぐらいかしら」
「なら、俺にいい考えがある。いいか? まずはお前の重力魔法でゴブリンを壁にぶつけ続ける。ずっとだ。それで俺が横からあいつの頭目がけて刀を思いっきり投げる。俺が投げた勢いと重力魔法の加速で、威力が格段に上がるはずだ。どうだ?」
「本当にそれしかないの? 私とあなたが協力するみたいじゃない」
「いや、これしか思いつかないし、協力するのは当たり前だろ。パーティなんだからな」
「なら、やりましょうか。少しの間、ボスゴブリンの相手をしてて。重力魔法の準備に時間がかかるの」
「了解」
「おい‼︎ クソゴブリン‼︎ 俺はここだ‼︎」
俺の声に反応して、ゴブリンが俺へと突っ込んできた。
「乱刀《蒼牙》!」
重力魔法が完成するまで、俺はひたすら足を斬り続ける。
金棒を振り回して俺を捉えようとするゴブリン。だが、高速で動く俺に、まともに攻撃を当てることができない。
「待たせたわね、朝日。そこをどきなさい‼︎」
俺がゴブリンから離れると――
「重力魔法 スローグラヴィティ!」
その瞬間、ゴブリンは壁へと押し付けられ、身動きが取れなくなった。
「今だ‼︎ 抜刀《裂空》‼︎」
俺は刀をゴブリンの頭目がけて思いっきり投げた。
ただでさえ強い勢いが、重力魔法でさらに加速する。
ドォォォォン!
刀がゴブリンの頭を貫き、衝撃で周囲に土煙が立ちこめた。
「……いてぇ……土、目に入った……」
俺は軽く目をこすりながら、ゴブリンの様子を確認する。
ズゥゥゥン……
洞窟に、再び静寂が戻った。
「……終わった、よな」
「ええ。やったわね」
俺たちはしばらく黙ってその場に立ち尽くした。
ただの“ゴブリン討伐”のはずが、気づけば全力の死闘になっていた。
「……めちゃくちゃな死闘だったな、これ」
「そうね。ゴブリンは中と弱の間らしいけど……この強さ、笑えないわね。あとこの世界ではゴブリンは最弱じゃないわよ」
「おい、やめろ。その話は今はやめよう」
俺たちは軽く笑い合い、それから出口の方へと歩き出した。
ゴブリン討伐は完了――
だが、どうやらこの世界の冒険、想像以上にハードモードらしい。
どうでしょうか?結構ハラハラドキドキに書けたんじゃないでしょうか。書けてたらすごく嬉しいです。 いや〜、もう全然わからなかったから、近くの市の図書館に行って本を借りて読んで勉強しました‼︎
何冊借りたかな?今読んでいるのが9巻だから、8冊読んだことになるんだよね。いや〜、読みましたね。移動時間とか隙間時間を活用して読み進めていました。
それにしても、面白くて肩を振るわせながら読んでいましたよ。もしもその作者さんに会ってサインをもらえたら、感激で気絶しちゃうかもしれませんね(笑)。
さて、話は変わりますが……最近は暑いですね。(2025年5月中旬) 暑さには気をつけないといけません!熱中症にならないように、こまめに水を飲みましょう‼︎
みなさんも一緒にこの夏を乗り越えましょう‼︎「暑さなんてへっちゃらだ!」って言ってやりましょう‼︎ ……とはいえ、水分補給は本当に大切です!僕のせいにしないでくださいね?笑
最後に、よかったら下の星のボタンを押して感想を書いてもらえると嬉しいです。 それではまたお会いしましょう♪ さよなら!みなさん、良い一日を!。




