寝不足勇者(仮)と早起きヒロイン
……眠気が限界を超えたその時、俺の意識はぷつりと途切れた。
気がついた時には、布団の中だった。
天井が見える。まぶたが重い。頭が痛い。寝不足ってやっぱやばいんだなって実感する。あれ? でも布団の中ってことは……?
「起きた?」
横から声がした。そっと視線を向けると、テーブルに肘をついて座ってる島倉栞がいた。
「……寝かせてくれたのか?」
「あなた急に倒れたからすごくびっくりした。死んだかと思ってパニックになったけど、あんたのデカいいびきが聞こえてきて、それでまた別の意味でパニックになりかけたわ」
「そんなに俺のいびきやばいの?」
「ええ、怪獣でも出たのかと思うくらい。騒音レベルよ。あんたが小屋に住んでるのは正解だわ」
俺は時計を見る。十二時を指していた。
「俺って、どれくらい寝てたの?」
「六時くらいから寝てたから、六時間ね。そうそう、あなた、倒れたまま動かなかったから心配したのよ。……ほら、水。飲みなさい。喉痛いでしょ? あんなにいびきかいてたら」
「お、おう……ありがとう」
差し出されたコップの水を受け取り、一気に飲み干す。冷たい。異世界に来て初めて、こんなに優しくされた気がする。栞はため息をつきながら、俺を見下ろしてきた。
「……あんたさ、本当に強いの?」
「……失礼な。強いよ。寝てるだけで敵が倒れるくらいにはな」
「そんなふうには見えないわね」
「そんなわけないだろ〜」
「ふふふ……じゃあ、今日はちゃんと寝なさい。二日後の朝八時、ギルドに集合ね。じゃあね」
「今日はホントにありがとう」
手を振ってくれたので、俺も手を振り返した。




