【クラウス視点】「舐めてたわけじゃない。けど――予想外だった。」
……構えただけで、わかった。
こいつ、ただ者じゃねぇ。すぐ終わらせて、あいつに備えたかったんだが……新人とは思えない。無駄がねぇし、隙もない。
目も逸らさねぇし、呼吸のリズムも狂わない。
舐めてたつもりはないが、ここまでとは――
楽しめそうだ。
(……ま、俺も隙なんか一切ねぇけどな)
静かな硬直。足音すら立てず、円を描くように歩く。
型通りの“見合い”だが、嫌いじゃねぇ。
先に動いた方が不利って、経験でわかってんだ。
(剣か。悪くねぇ。でも、俺は素手だ。格の違いってやつ、見せてやる)
そう思ってた矢先――
「ん?」
こいつ、いきなり剣を鞘に納めやがった。……は? 何考えてやがる。
と思ったら――蹴り! 上からの一撃!
反射的に片腕でガード。……重てぇ。マジで。
(……あ? 俺の足、沈んでる?)
少しだけ地面にめり込んでる。これは狙ったな。
力の加減を知ってる。経験のある動きだ。
クッソ、あのドヤ顔ムカつく……でも嫌いじゃねぇ。
「ハァ! ハァ! ハァ!!」
畳みかける連打。重い。3発連続で地面に押し込まれた。
このままだと体勢が――
「トドメだ!!」
跳んだ。回転しながらの踵落とし! だが――
「甘ぇよ!」
足を掴んで、反撃開始だ。
――1分くらい経ったか。100回以上、地面に叩きつけた。普通ならもう動けねぇ。
これで終わりだ。武士として、引導を渡してやる。
「へぇ、口ほどにもねぇな。雑魚が……終わらせてやる!!!!」
高く放り投げる。そして――巨体化。
「斬撃拳!!」
巨大な拳で叩き潰すッ!
……が――
(空中で、抜刀!?)
タイミング完璧。空中戦、慣れてやがる。
右拳をかわして――
「斬った!? ……かすりか。つーか硬ぇな、俺の拳」
左の拳も避けやがった。そして左腕に着地。
そのまま駆け上がるつもりかよ……! 下に振っても、避けてくる。なんて野郎だ。
技を決める体勢に入ってやがる。
「来い!! 小僧!!」
(さぁ……かかって来い!!)
右腕、左腕で妨害するが――避ける。俊敏すぎる。
まっすぐ、俺の首を狙ってる。
(クソ……このままじゃ――)
いや、俺には“硬化”がある。全身を最大強度にまで高める!
いざ、勝負――!
「刹那一閃――!!」
ズバァッ!
視界が、白く弾けた。
気づけば、俺の身体は――崩れかけていた。……負けた?
(クソガキが……だが――)
着地したあいつは、折れた刀を見つめて呆然としてる。だが、その表情に嘘はない。
こいつ……本当に強えな。多分まだ本気を出してないな。
なんで今まで出てこなかったんだ……いや、それだけじゃねぇ。
「……ふっ、クソガキが……だが、見事だった!!」
そして俺の身体は、光へと還った――
楽しかったぜ。クソ野郎。




