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旧Sand man

作者: フナムシ


そう、ここはサンドマンのいた世界

ずっと浜辺で何を探していたんだろう

目玉焼きの黄身が塩で目をカピカピにしながら

こちらをびっくりして覗いている

(ガタガタガタギギギギギ)

軋みながらえいえんに自分の醜態を晒して闊歩するあのゾウもいない

カーテンは悩まし気にわたくしの眠気を誘う

わたくしの背中を何度も傷つけた本人は

この世で一番汚い黄土色をしている

パンは何年も瘴気を吸っていたことを臆さない

爛れた椅子が窓から漏れたものに共振している

外の気高き蝶が白いハンカチを必死に振っていた…

バッ… … シャーーーーーン!!


やはりここには

乾くべき砂と乾くべき潮しか存在しない

可哀想なモンシロは油断さえしなければ

奪われることなんて無かったのに

翡翠を求めた飛行船なんてどっかで突っかかっている

背骨の凹凸を己の人差し指でなぞる

潮は何度も砂浜を濡らして謝りながら

わたくしの方へ迫ってくる

この調子では町の何塔かは陥落してしまうだろう

神様たちの表情筋の運動

一つのトーテムポールへよじ登る

鼻が長いやつは掴みやすいが

悟りを開いていると取っ掛かりが無くて難しい

それでも己の四肢で踏んで掴んで蹴っ飛ばして

己の重さを上へ持ち上げる

塔のてっぺんにはこれまた黄金色の鐘が垂らされている

あともう少しだったのに

要らぬ誰かが塔の根元に釘を打った

誰だこの塔が砂でできているのを知らないのか

がらがらからんがらがらからん

ああ助からない

わたくしはただ神様たちにしがみついて

振り落とされないようにするしかなかった




神様は笑っている

破顔が波打ち砕けている

きっと今頃我が物顔でわたくしの屍を舌先で舐めている




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