呪われた家
その家は、呪われている。入居した人は全員数日以内に退去しており、家具や家電もそのままで退去するため、今でもその家には去っていた人の物が残っている。私が外から見た時も、ベランダにはアンテナが残っていた。現在入居者を募集しているのかはわからないが、そこでどういう怪奇現象が起きているのかを話したい。
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家は2階建ての一軒家で、2階で寝ていると階段を上がってくる足音が聞こえたり、逆に降りてくる音が聞こえたりするそうだ。
「誰だ!?」
その音に驚いていると、今度は窓に人影が映り、確認しようと窓を開けると。
「出ていけ」
そこには、老人が立っていた。老人は怒り狂った顔でこちらで敵意を向けてきて、気が付くと住人は家の庭で穴を掘っていた。我に返った住人はそのまま逃げだし、二度と家に戻ることはなかった。
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またある住人は、引っ越したその日の夜。部屋中の家具が揺れ始めたそうだ。地震かと思い、慌てて家を逃げ出すと、急に揺れはぴたりと止まる。
「あれ?」
もう一度家に入ると、再び揺れが起き、玄関の家具が倒れ、立っていられないほどだった。玄関の扉が開かなくなったので、床を這って庭まで進み、庭に出た途端、運悪くバランスを崩し、その住人は頭を打って気を失い、病院に運ばれた。一命はとりとめたが、家には近づくことすらしたがらなかった。
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そして、5日間住み続けた住人がいた。その住人は、知人にこう言っていたそうだ。
「どこにいてもあいつが付いてくる」
「全部あれのせいだ」
「家から出られない」
「あれを壊す」
そう言い残した後、何があったのか、その住人は庭に倒れており、頭を石でたたき割られ、亡くなっていたそうだ。
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現在、私が知る限りでは誰も住んで居ないその家だが、このような怪奇現象が起きる原因には心当たりがある。それは、庭にある墓だ。誰の墓なのかはわからないが、それは庭の真ん中に位置し、一度興味本位で家の前を通過した時に確認できた。なぜ庭の中に墓があるのかはわからないが、あの異様な光景は筆舌に尽くしがたく、絶対に近づいてはいけないと本能が拒絶している。きっと、霊感のない私でもわかるほどのあの感覚は、今後味わうことはないだろう。
完