漫才『仕事への不満』
二人「はいどーも」
飛車「どうなの最近」
角行「いや~正直しんどい」
飛車「どうして」
角行「戦争やん。やってるの」
飛車「まぁ、そうやねぇ。僕らの仕事と言えばボード上で擬似的に戦争することやからね」
角行「こんなブラックと思わんかったわ。もう辞めたるわ」
飛車「そんなこと言うな」
角行「“斜めに進むだけの簡単なお仕事です”って言葉に騙されたわ」
飛車「騙された?」
角行「斜めだけやないやん。成ったら上下左右にいかされんねんで?」
飛車「そらキミの能力に見合った仕事を与えられたんや」
角行「それから上司がイヤ。アイツムカつくねん。銀おるやろ、銀」
飛車「お前、ちゃんと“銀将さん”って言えや」
角行「ワシらの斜め下でふんぞり返ってるやん」
飛車「そらそういうポジションやからや」
角行「えらっそうに。大した能力もあれへんクセに。アイツ、横と真下に動けへんねんで?」
飛車「そういうお仕事や」
角行「それからアイツ、セクハラしとったんやで? カオリちゃんに」
飛車「カオリちゃんって誰?」
角行「おるやろ。香車ん」
飛車「香車を香車んって言うヤツ初めて見たわ。そう言われればロングヘアのOLさんっぽいな」
角行「俺は朝からギンギンやで。銀だけにって言うとったんや」
飛車「品がないなぁ」
角行「そうや。あとあれや。敵地に行って成るやろ? その時背後に敵が迫っとったんや。『銀将さん。斜め後ろに敵がいます』って親切に教えてやったら、アイツなんて言ったと思う?」
飛車「銀将さん、斜め後ろなら得意やろ」
角行「せや。だから教えてやったんや。そしたらもう成ってることを、理由に『え? それ俺の仕事?』やて」
飛車「成ったんやからしゃーない」
角行「アホ言うな。ワシらなんか成ったら、エライあちこち行かされるやろ!」
飛車「そういう仕事に誇りを持ちなさい」
角行「上司があんなんで誇りなんてもてるかい!」
飛車「ほなら“金将さん”はどないやねん。あの人は能力もあるし、人望もあるやろ」
角行「ああいうのが一番タチ悪いねんって」
飛車「なにがタチ悪い?」
角行「この前のこと覚えとるか? ワシら二人で敵の玉将を追いつめた日のことを」
飛車「あったな、そういうの」
角行「その時、金のヤツがしゃしゃり出てきて『おぉーてぇーッ!』って。正直『はぁ?』やったわ」
飛車「ええやないか。チームでは勝利したわけや」
角行「ワシらの手柄を横取りしたわけや。なんで後から出て来て『おぉーてぇーッ!』やねん! 余りにも腹立ったからアイツの手のひらの上にワシの手ェ置いてやったわ」
飛車「そら『お手』や」
角行「そんな上司の元で働けるか!」
飛車「エライ剣幕やな」
角行「もっと人の上に立つ仕事するわ」
飛車「簡単に言うけどそう簡単にいかへんやろ」
角行「求人見てたら見つけたわ」
飛車「どんな仕事?」
角行「スカイツリーの最上階の警備や」
飛車「人の上やけども。エライ斜め上を行くな」
角行「そら角行やからな」
飛車「もうええわ」




