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キャロライン交渉成立する

前回あまりに長かったので、今回は短め


いい塩梅で切れないものなのでしょうか。

あるべき形に収まり、皆でお茶をいただきひと休み、である。

流石、王子が来ただけあって、この間よりお茶がいい。オマケにお菓子まで出てきた。


キャロラインは、ニンマリとオージエに話しかける。


「ね、私の推薦は的確でしたでしょ?」

「まあね。

でも、私は君もほしかったな」

「ま、際どいご発言…ところで、私にご褒美を下さいな」

「褒美?」


キャロラインは返事を待たずに、王子に向き直り、

「ヴィルム殿下。

私、キャロライン・ジュゼッペは、本校の非公認新聞『乙女通信』代表でございます。

宜しかったら、次号に殿下の記事を掲載したく。御検討いただけませんか?」


と、常日頃持っているバックナンバーを取り出し、恐れ多くも手渡す。


「乙女通信……」

ヴィルム殿下は受け取って、チラチラ読み出す。


アルバーンは苦い顔をしたが、無視無視と、キャロラインは営業スマイル。


「……イケメンパラダイス……」

「ヴィルム殿下を次号に是非!

〈秋まで待てない!ヴィルム殿下のすべて〉的な内容で!」

「的な……」

「的な♡」


ニッコリ笑顔の王子と相対したキャロラインは、全く負けていない。


「困ったね。明日には再びナダルカンドに戻るんだ。今月末まで帰れない」

「お戻りになってからで結構ですわ。見出しは何とでも。お約束が頂きたいの」

「ふ、では、帰国したらシャロン嬢が私を訪問してくれるなら」


「え?」


「シャロン嬢と王宮で会いたい。10数年会ってなかったんだ。君が御一緒してくれれば、お互いイーブンだろう?」


(……王宮!)

流石のキャロラインも、動揺が表に出た。が、それより動揺したのがシャロンだ。


「王子殿下、私は」

「ヴィルムだ。いいだろう?私にもご褒美が欲しいな」

「ヴィルム殿下」

「それでいい。シャロン嬢。

君は僕の初恋だからね」

「……!」


慣れない温い雰囲気に、シャロンは翻弄されている。

一方で

ニコニコ殿下の爆弾発言に、飲みかけの紅茶を吹き出さずに飲み込んで、変に喉を鳴らして苦しんでいるのが、アンリ・フラットである。



(チャーンス)

キャロラインは、即立ち直って、心の中でニンマリした。


(王宮でのインタビューだなんて!

オマケに新体制、面白すぎ。

今の王子のは、本気半分

後の残りは、フラットへの嫌がらせよねえ。

……これは秋からネタに困らないわあ〜)


「……ぐふ、殿下、紙に残るものは一度宮内長官に許可が必要です」

フラットがケフケフを堪えて進言する。


「学生のお遊びだよ?

学内の事は私の一存でいいはずだ。そんなに心配なら、アンリも来ればいいよ。うん。シャロン嬢いいよね?」


(うわあ、遊んでる遊んでる)

キャロラインは、何となくこの王子に親近感が沸いた。


オージエといい勝負の性格である。


「殿下、そろそろ」

そのオージエがお開きを促す。


「そう。

皆の者、秋より宜しく頼む。

学園生活を楽しみにしている。

見て通りの性分だから、遠慮なく諌めて貰おう。期待しているよ」


鷹揚(おうよう)に、通る声で周りを見回しながら伝えるヴィルムには、やはり高貴なオーラがある。



起立し、頭を下げ膝を曲げて、殿下とオージエ、フラットの退室を送る。


扉がしまると、シャロンが、ほっ、と小さい息を漏らした。


「マルグリット嬢」

アルバーンが真顔のまま、シャロンに声をかける。


「不安もあるだろうが、君の利発さは私も1目置いていた。分からない事は、極力丁寧に私が補佐する。だから、心安くここにいて欲しい」


「アルバーン様。……ありがとうございます。グズグズと言い訳して、申し訳ありませんでした」


「君の立場なら、妥当な反応だ。

気に病むな」


「アルバーン様は、お優しいのですね」

シャロンが嬉しそうに、小さく微笑んで礼を伝える。


(あら)


ニヤリ。

キャロラインは、石頭の仏頂面に、かすかな動揺が走ったのを見逃さなかった。


(お優しい、ねえ……)



ヴィルム殿下

アンリ・フラット

オリバー・アルバーン……

(そして、コール・ローラン)


ここに至って、急展開だ。


(ザビーネ!貴女の予言が当たりそうになってきたわよ)


さて、この後シャロンにどう吐かせようか、と、キャロラインは、ワクワクしていた。

まずはマリーに、お泊まり女子会の準備をして貰わなくちゃ!




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