霧雨の天使たち 37
あさみの家の前には既にシゲルのライトバンが停められていた。バタンとドアを開く音がして中からシゲルが出てくる。
「うわ、お前らまとめて来たのか」
ゲッ、という顔をしながらシゲルは一同を見た。
「今、ワニを取ってくるわ」
あさみはマンションの暗証番号を素早く押して中に入る。
「あさみ、電話借りるわよ」
美和も一緒にあさみのマンションの中に入っていった。
「シゲルさん、大変な事になったみたいだね」
残された美咲がシゲルに語りかけた。
「あぁ、奴らから電話がくるまでは何も変化は無かったのに……」
シゲルは悔しそうに舌打ちをする。
「俺達もついていきます。少しでも人手が多い方が有利じゃないですか?」
「危険なのが判っているのに君達を一緒に連れて行く訳にはいかない」
「ずるい! 私達もついていくもん!」
美咲は手をバタバタさせる。が、シゲルはその頭を軽くポンポン叩いただけだった。
しばらくして、あさみと美和がマンションから出てきた。
「お待たせ、じゃあ行くわよ!」
あさみは気合を込めて叫んだ。当たり前のように助手席に乗り込む。シゲルが面食らっている間に、美和、美咲、遷も車の中に入っていった。
「ほらシゲル、早く車を出しなさいよ」
手にしたワニのぬいぐるみを振りながら、あさみは助手席からシゲルに指示を出した。
「……ったく、しょーがねーなー」
ぼやきながらもシゲルは素早く車に乗り込み、エンジンをかけ、アクセルをきかせ車を発進させた。
「ワニの中に入ってたメモにはM倉庫って書いてあったけど、心当りはある?」
あさみがワニの中からメモを取り出してシゲルに聞いた。
「この界隈でM倉庫って名前なら、たぶんF町の倉庫群だな」
シゲルは不敵な笑いを浮かべ、車を走らせた。




