霧雨の天使たち 20
六限目が終了し、あさみは帰り支度を始めた。警察との約束まであと十分しか無い。鞄に最低限の教科書を詰めていたあさみの元に美咲と美和がやってきた。
「ねぇ、あさみちゃん。私達も一緒に警察に行っていいかなぁ?」
「えぇっ? 私はいいけど、警察がいいって言うかなぁ?」
驚くあさみに、美和は苦笑いする。
「私はやめとけって言ったんだけどね……」
「でも、お願いするだけしてみたいの」
美咲の懇願に負け、あさみは二人を連れ立って約束の場所に向かった。
猪飼と名乗った男はすでに校門前に車をつけて待っていた。あさみの姿を見つけると車の中から出てきた。
「一ノ瀬さん、こっちです」
猪飼は、あさみの隣に二人の少女が居るのに気づいて不審そうな顔をした。
「あれ、その人達は……」
あさみの代わりに美咲が答えた。
「彼女、警察に行くのがちょっと怖いっていうから、付き添いで一緒に行きたいんですけど、ダメですか?」
「え?」
猪飼はしばらく考えていたが、小さく頷く。
「んー、まぁ奥までは通せないけど、それでいいのなら」
「やったー!」
美咲はパッと目を輝かせて、嬉しそうに車の中に乗り込んだ。
「無邪気でいいわね、美咲は……」
やれやれと肩をすくめて、あさみと美和も後部座席に乗り込む。やがて、遷もやってきて、四人は警察へと向かった。




