[RE.page]No.5 決着…
一部修正しました
後書き会話追加しました
前回のあらすじ
鶫VSクラッシュオーク…決着の予感……!
僕とクラッシュオークは共に深いダメージを負いながらも最後の一撃に全神経を集中させた。自分のステイタスを確認していないので感覚でしか言い様がないのだが恐らく魔導書の唯一にして最大の攻撃スペル『黒火蜂』を放てるだけのMPは残っていないだろう。この異世界に来る前の僕なら合理的に判断して撤退するか諦めていたはずだ。
よくよくこの森に放りこまれた時からの事を思い返してみれば糞女神への不満を除き僕は柄にもなく楽しんでいた。
日本では空想上の産物、非現実的でありながらも紛れもない現実であるこの異世界で彼女……初めて関わった時間は少なくとも心の底から信頼し恋い焦がれた僕の一番大切な人と過ごしたあの1週間以外先にも後にも感じられなかった『楽しい』という感情を僕はこの異世界で感じていた。この異世界が僕のどこか空っぽで何をしても殆ど笑えなかった冷めた感情に久しぶりに熱を感じさせてくれた。その熱が僕の心を僅か六時間程度で変えてしまったのだ。敵と殺し合っている事も忘れまるで走馬灯の如く過去の楽しくて切ない…それ以上に大切な時間を思い出しながら現実ではほんの数秒だろう永遠とも思えてしまう時間、鏡など見なくてもはっきりとわかる、僕は目を見開き満面の笑みを浮かべていた。
「ウラァァァァァァァァァァ!!!『黒火蜂』!!!」
「ブヒィィィィィィィィィィ!!!」
限界を超えて捻り出した僕の『黒火蜂』とクラッシュオークの巨大な土魔術が互いの最後の雄叫びと共に激突する━━━━━━
━━━━事はなく僕の二度目の『黒火蜂』は陽の目を浴びず不発に終わった。
……あぁ、食われるのは僕か。迫り来る巨岩を前に己の死を悟りながら僕は意識を閉ざした。
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僕は…どうなった……?
死んだのか?何故か木材でできた天井が見える…
「っ……天井?まさか生きているのか、僕は…?」
「なんだ?そんなに死にたかったのか?お嬢ちゃんは」
「お嬢ちゃんだと?僕は男だ!頭オカシイのかっ!!何処をどう見たら女に見える?」
「逆に聞くが何処をどう見れば男だと思える?顔も髪も肌も声も…全て女の子そのものじゃないか。それとももしかして…女装趣味でもあるのか…?」
「なん…だと……!?」
女と間違われるだけでも衝撃だというのに…僕が…この僕が……女装趣味だと!?…初対面の女にこれ程までに怒りを覚えたのは初めてだ。人間の中の話だが……そんな事よりも今は目の前の馬鹿に僕の性別を理解させなければ━━━━
「こんな男みたいな女がいるかっ!!中性的な見た目でもないだろう!!!」
「いや、完全に女だよ。それもとびっきりの美少女、胸も結構あるしね」
「…………ファ?」
僕は目が覚めてから恐らく助けてくれたであろう謎の女のお前は女だ発言に反論する事約一分…衝撃を通り越して今まで出した事のない間抜けな声を出してしまった。僕は中性的だと言われても絶対にあり得ないとハッキリ言える容姿の筈だ。でなければ女に告白などされるわけがない、男と言って疑う奴などいるわけがなかった。男であることを疑われるどころか特別悪目立ちした事もない。ちゃんと下半身にナニだってある。そんな僕がとびっきりの美少女?何の冗談だ。いや、冗談以前の問題だ。確かに女になっていてもおかしくないような体験をした。バカップル神の痴話喧嘩の余波で1クラス丸々殺され、黒い魔導書を渡され、中途半端な説明で森に放置され、ファンタジーな小鬼を殺し、二足歩行の豚に殺されかけた。しかし男の声のまま女に性転換したなどと言われて正気でいられる筈がない。「信じられないなら鏡を見てみろ」と言われ僕は鏡に写った顔見た。
「な、ななな!?なん、な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
結果、一度も発した事のない上品のじの字もない酷い絶叫を晒してしまった。喜びの感情が乏しいとよく言われ僕自身も自覚しているが普通に驚くし悲しくもなる。僕の心はこの事実を前に叫ぶしかなかった。
しかしここで不可解な事に気づく。
何故女になったと自覚できなかったのか━━━
鏡を見てからは今まで聞いていた自分の声が幻聴だったかのように僕と同年代の女らしい声が僕の喉から聞こえてきた。アラ、すんごい美声!……自身の体を今一度確認すると大きくも小さくもない、いわゆる『美乳』と言える綺麗な形の膨らみがあり、股間にも男の象徴の感覚がなかった。髪は腰まで伸びた洗髪材のCMに映っていそうな異常程度の言葉では言い表せない程のサラサラな黒髪、地球にもこの世界にも居ないであろう『絶世の美少女』という言葉を遥かに凌駕したような容姿、女物の服であれば更に男の目を釘付けにするであろう美し過ぎるボディライン、身長は元の僕の頭半分位縮んでおり謎の女の言った通りとんでもない美少女になっていた。そして僕の驚愕と混乱を余所に謎の女が口を開く。
「私は女神メディスト様に神託を授かったメフォン・ヴィザストという。そしてその神託の内容は『一時間後に自分の事を男だと言い張る超絶美少女ちゃんが貴女の目の前に現れます。その子はきっと魔物に殺されそうになっていると思うから助けてあげて。そして貴女の弟子としてこの世界の常識、そして力の使い方を教えてあげて!そして超絶完璧最強美少女として育てあげるのよ!!オゥケェ~イ?オゥケェェェェェイ!!! PS.鶫ちゃん!私の目の保養として頑張ってちょうだい!君も超絶美少女の体になれてキャッキャウフフなんでしょお~?このお・ま・せ・さ・ん! 怒ってる場合は…ごめんね?テヘペロッ☆実は私、最高位女神なのよ?糞女神なんて言っちゃ駄目だぞ!』だそうだ。そういうわけだからこれからよろしくな。ツグミ」
…どうやらあのド腐れ女神は僕に最強になって殺してほしいようだな。誰が鶫ちゃんだゴラァ!!テヘペロッ☆っとか気色悪いんだよっ!!!はぁ……首を洗って待っていろ?この僕に力を与えた事を永遠に後悔させてやるっ……!!!それに僕には力も技も知識も…全て不足している。
「ふぅ…なら!僕を徹底的に鍛えあげてくれ……ください。よろしくお願いします、師匠。それと…命を救ってもらえた事、感謝します」
「あぁ、よろしくな。そして今からお前はツグミ・ヴィザストと名乗れ」
「あ、それなら━━━━━━エル・ヴィザストでいいですか?」
「なんだ、ツグミと名乗らないのか?」
「このエルっていうのは僕の大切な人の名前の頭文字なんです。これからはそう名乗りたい」
「わかったエル。とりあえず修行は一週間後からだな」
「何故なんだ……ですか?」
「エル、お前はメディスト様から聞いた話だと元の世界では男だったそうだな?これから女としての日常生活はどうするつもりだ?女物の下着の付け方一つわからないんじゃないのか?まぁ理由は他にもあるが」
「……」
そうだった…言われてみれば今まで普通だった事が変わるんだな…当然この身体の裸体を何度も見るハメになるし…トイレも……マジで問題だらけじゃないかっ!!どうなるんだ…僕は……この先も不安しかない…
色んな意味でこれからの生活に不安を感じながら僕はため息を吐くしかなかった。糞女神め…本当に余計な事を……!
つづく
エル(鶫)「おい!このド糞女神が!散々適当な後始末しやがって!女の体?最強?そんなもの他所でやれっ!」
メディスト「なによ!なによ!理想的なパーフェクトボディをあげたじゃない!ダーリンに言いつけるわよ!!」
エル「それでも神か!この駄女神!」
メディスト「神からの忠告よ。あんまり他の作品のアイデア持ち出し過ぎちゃ駄目よ?まぁ異世界の時点で手遅れな気もするけど」
エル「それ僕関係ないだろ…」
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