[RE.page]No.2 生きるための覚悟
前回のあらすじ
糞女神に殺された挙げ句森に放置
ゴブリン戦の内容を変更しました
「これからどうするか…」
僕、東城鶫はとある女神(以降糞女神)にくだらない理由で殺された挙げ句異世界転移?転生?…いや赤ん坊スタートではないので蘇生されたと言うべきか?とにかく糞女神に異世界で蘇生されその直後に強制サバイバルをさせられているのだが、いくつかの問題を抱えている。
その一 戦う術がない。本当にここが異世界で糞女神の言うとおり魔物という敵が居るのなら現在丸腰で特別な力(以降特殊能力)の使い方どころかスキルの覚え方や異世界での僕自身の力すらもろくに知らない。このまま解決できなければ僕は歩く魔物の餌になってしまう。一刻も早くスキルの覚え方を見つけ特殊能力を使いこなす、最優先事項だ。
その二 食料がない。肉を食べるには動物や魔物を狩って火を起こし、焼くしかない。火を起こすのはともかく肉に関してはそもそも魔物以外の野生動物がこの異世界に存在するとは限らない。魔物狩りを実行するにも問題その一を解決させなければ話にならない。魔物と呼ばれるくらいだ、スキルを使って来ても可笑しくはない。魔物を避ける為に魚を釣り上げて焼く事も考えたが川の中にも魔物が潜んでいるかもしれないし、そもそも魚自体が異世界では魔物の一種である可能性がある。最悪果実やキノコを探すしかないかもしれない。しかし一番の問題は魔物や異世界の果実等が本当に食べられるのかという事だ。毒キノコを食べて即死なんて事になったら目も当てられない。水も駄目なら完全に詰む。
その三 森の出口がわからない。先程の二つの問題が解決したとしてもこのままこの森でサバイバル生活を続ける気はない。むしろちゃんとした衣食住の地盤を整えたい。流石の糞女神も人間の様な存在が居ない世界に転移させるなんて事はないだろう━━━━と信じたい。
「どうするにせよ、生きたいならスキルか特殊能力を使えるようにしなければ…特殊能力がどんな力なのかはわからないが、スキル…魔法とかならある程度イメージはできる。この世界の魔法の使い方と合っているとは限らないが。まずは火だ、『ファイヤ』」
何も起こらない…
「ならば『火よ』」
何も起こらない…
「『炎よ』の方がよかったのか?とりあえず次!『ウォーター』」
何も起こらない…
『水よ』『サンダー』『雷よ』『ロック』『岩よ』とそれらしい言葉を唱えてみたがどれも失敗に終わった。
「次!『ウィンド』」
ヒョォォォォォ!
ウィンドと唱えるとそれに応えるかの如くそよ風が右前方の木に無数の切り傷を付けた…成功だ!
「できた…だが僕は風の魔法しか使えないのか…?それとも魔法系のスキルは一人一種類がこの世界での普通なのか━━━━!?」
僕が魔法系スキルの考察をしていると突然頭に様々なイメージが浮かんできた。魔法だ、様々な風魔法だ。
「こういう仕組みか…本当に作り話の様なご都合展開だな」
僕が異世界の仕組みのご都合っぷりに呆れていたその時、ついに奴等は現れた。
「こいつ等が魔物…緑色の皮膚に長い爪、小さな角の生えた小鬼、所謂ゴブリンという奴か…本物も緑色なんだな。数は五匹か」
僕はついさっきイメージに出てきた風魔法を放とうとしたが…
「震え……っ…」
相手は魔物だ、己を害する敵なのだ。しかし人型の魔物ゴブリンを殺そうと思い奴等を見ると…ゴブリンの小さな身体に似合わない獲物を鋭く睨み付ける様な視線に思わず怖じ気づいてしまう。その隙をついてゴブリン達が一斉に長い爪で攻撃してきた。
「いっ!」
一匹のゴブリンの爪が僕の頬に少し深い切り傷を作る。
「っ…!軽く引っ掛かれただけでここまでっ……!本当に呆気なく死にかねない。殺らなければ…殺られる…!恐れるなっ!『カマイタチ』」
手の平を向けた方向…ゴブリン達に向かって見えざる風の刃を放つ。2匹の首を落とし1匹の胴体を真っ二つにした。それを見た残り二匹のゴブリンはキィィィ!!!と鏡を釘で削った音の様な奇声をあげた。
「っ!!うるせぇんだよ!この…!!『グランブル』」
嫌になる奇声をゴブリンごとかき消す様に荒ぶる強風で先ほど『ウィンド』で傷つけた木に叩きつけた。強烈な風圧と木に押し潰されたゴブリンは赤い血と肉片となる。…ゴブリンを殺す時○メック星人の様な紫色の血を想像してしまったのは……しかたない、うん。
「!…さっきの奇声は仲間を呼んでいたのか……ってこの数は……はぁ、初陣から勘弁してくれ!『カマイタチ』」
頬を伝う鋭い傷み、小鬼達の慣れない殺気、死の意味を明確に理解させてくる断末魔━━━━━僕は今、異世界に居る…!!!
「…こんな小さな魔物相手でもこの様か…これが異世界、とんでもないところに来てしまったな…」
今日から僕は手探りで危険な異世界で生きていく事になってしまった。これからも死という言葉はつきまとってくるだろう。それを乗り越えて僕は進もう…この異世界で生きるために。心の内から僅かに溢れ出す奇妙な高揚を自覚しながら僕はこの魔物蔓延る物騒な世界で生きる覚悟を決めた。
「でも流石にゴブリンを食べるのは…無理だな」
戦闘が終わった直後にこんな事を言う僕だった。サバイバル…本当に生きていけるのか僕は……?
つづく
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