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黒の魔導書━異世界に来た元少年は魔導書を解読しながら最強に━  作者: Raun
一章 旅立ちとアカツキのまじない
17/32

[RE.page]No.12 二年ぶりの邂逅

前回のあらすじ

魔法はパロディネタの宝庫


エル「ステイタスには出ないから安心しろ。あくまでギャグの一種だ……そうなんだよな……?」


一部修正しました


「はぁ…はぁ……この森なら…奴等から……一樹君…!」


繭霧の森(けんむのもり)の深い霧に人の影が浮かぶ…

異変と共に…


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「砕けろっ!!『黒魔導化』コネクト『エンチャントライトニング』━━━━ッラァァァァァァァ!!!」

「くぎゃっ!?」

「くぎゅっ!?」

「くぎょっ!?」


少女の長い黒髪が舞い上がり黒き轟雷を纏う破壊の鉄拳がゴブリン達を蹂躙する。


「無駄に息合ってるな…この鬼共……」


ゴブリンにその上位種ホブリン、更に上のグリーンオーガ、無数の緑鬼(りょっき)種の屍の山を背に立つ黒髪の美少女…エル・ウィザストは日課の魔物狩りをしていた。

鶫が(エル)として転移してから既に二年もの月日が経ち大きな成長を遂げた━━━━━見た目は全く変わっていないが…


「それにしても最近明らかにゴブリン共がこっちに流れてくる数が多いな…奴等の巣に大物でも住み着いたのか?…師匠に取られる前に狩るか『知恵眼』」


エルの主力の一つ…黒の魔導書、二年間の修行の中でも様々な事が判明した。

知恵眼の様に一度でも詠唱すれば魔導書を顕現させることも詠唱することもなく発動できるスペルと黒火蜂の様に顕現が必要なスペルの二種のスペルがある。

魔導書にはそれぞれ特別な武具…『封具』なるものが存在する。

スペルには『言霊進化』という更に強力で所有者に最適なスペルに進化する事がある。

言霊進化の結果には所有者の心の有り様、魔導書への関心、願望等が影響する。ちなみに言霊進化の結果の一つ先程の黒魔導化だ。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






スペル名‥‥‥黒魔導化

習得難易度‥‥‥no data

威力度‥‥‥45

安定度‥‥‥70

言霊進化元‥‥‥黒魔法化


僅かな伝承にて伝えられた謎多き悪魔の書物の一つ、黒の魔導書の力の一部。出自不明の魔導なる力で魔法を変質させ、通常の魔法よりもあらゆる性能が非常に高い魔法に強化するスペル。特に魔法の安定性がずば抜けて強化される。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━






「知恵眼…本当に便利だな。異世界(こっち)に来てから世話になりっぱなしだ。鑑定能力以外にも魔力視に幻影識別、読心、揚げ句の果てには瞬間記憶能力まで…改めて考えるとコレが性能面で一番のチートだな…さて、久々の大物はどんな奴か……」


エルは久々の大物の予感に期待を膨らませながら今や彼女にとって庭と化した繭霧の森を駆け抜ける。






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






半年前、修学旅行で北海道に行く予定だった私達を突如理不尽な出来事が襲った。女神様が私達を喧嘩の余波で殺してしまったという…もう色々と最低な事をカミングアウトされて……そして特別な力をいきなり貰され理解も納得もできないまま異世界に放り出された。それからは文字通り全てが変わってしまった。

アシラ橋国という変わった国の首都である港町の外れの岩場に倒れていた私は頼れる人どころか知り合いすら居ない、魔物や魔法が実在する命の軽い危険な世界、今までの常識が通用しない異世界。お金も人脈も知識も…何もない私がこんな環境で生きていくには盗賊に成り下がるか『冒険者』という危険が伴うけど強くなれば異世界での真っ当な生活ができる職業に就くしかなかった。私は勿論冒険者を選んだ。あの女神様の言っていた事が本当なら特別な力が備わっている分普通の人よりは可能性があるのだから。それにこんな状況でも盗賊なんて酷いモノになりたくはなかった。

そしてそんな生活が二ヶ月続いたある日、私はクラスメイトと再開を果たした。沙藤一樹君、中性的な顔に男子にしては少し高めの声、気弱な性格の女の子みたいな人…あ、普通に見た目は男の子だから。

彼も私と同じ時期にこの異世界に放り出されたと言う。一樹君はローゼン公国という国の首都から冒険者ギルドの依頼でこのアシラまで来たらしい。そして私は一樹君と一緒に行きたいと提案した、そして承諾してもらって私もローゼンの首都ドリセトラムの宿に移る事に決めた。

それから更に二ヶ月、日本に居た頃は殆ど接点が無かった私達はたった一人の心から信用できる同じ境遇の者同士、かなり一樹君と親しくなった。彼も教室でも見たことないくらい明るくなっていた。そして彼のと過ごしていく内にその太陽のような暖かくも優しい笑顔に私は惹かれていった。そして数日後…私は一樹君に告白した。怖かった、この告白でこの暖かい関係が壊れてしまうんじゃないかと…でも私の不安は彼の涙と言葉、そして満面の笑みで吹き飛ばされた。


僕も…大好きっ!これからも…華澄ちゃんは僕の好きで…大切な人っ!


私は歓喜の余り彼に思いっきり抱きついてしまった。一樹君の顔は真っ赤になっていた。そして私も柄にもなく大胆な事をしてしまったと思い凄く恥ずかしくなった。それから更に二ヶ月、冒険者生活も恋愛も順調…半年前では考えられないくらいこの異世界が輝いて見えた。でも幸福は永遠には続かなかった。

いつもの様に二人で依頼をこなしていると何故かとんでもない数の様々な種類の魔物に遭遇した。本来魔物は同種同士で群れを作るのが一般的なのだが遭遇した魔物はその常識にはまるで当てはまらなかった。そしてその場を振り切ってドリセトラムに戻ったが既に街の人達が大量の魔物に襲われていた。その光景に呆気にとらわれていた私を庇って一樹君が様子がおかしい狼の魔物『バサルトウルフ』に背中を切り裂かれてしまった。息はあるけど私の回復魔法が何故か効果を発揮しなかった。そして奴等からひたすら逃げた。魔法や冒険者生活で培われた体さばきでなんとか追っ手の魔物も振り切っていたけど人を背負いながら無傷で逃げ切れる程私は強くなかった。全身に細かな傷を負いながら追手を撒く為に深い霧が常に漂う弱い魔物の避難所として有名な繭霧の森に逃げ込んだ。しかし私の体力も精神も限界だった私は疲れきって倒れてしまった。ごめんなさい一樹君…!貴方は私を身を呈して庇ってくれたのに……!こんなにも弱い私を許して……


「━━━っん……あれっ…ここは……」


私は…助かったのかな…


「…っ!一樹君っ!?」


あ……彼は無事なの!?


「安心しろ。沙藤は今師匠が見ている」


私の寝かされていたベッドの左には同じ女でも無意識に見つめてしまう程のとんでもない美少女が椅子に座っていた。黒髪黒目って一樹君と私以外で初めて見たよ…

「わっ!?えっと…貴女は…?って何で一樹君の苗字知ってるのよ!」


初対面の人のはずなのに……!私は恩人かもしれない人だという事も忘れ警戒してしまった。いや、嫉妬とかじゃないから!断じて違うからっ!!


「はぁ…それはあいつが起きたら説明してやる。それまでは怪我人らしく黙って寝てろ」


彼女は本当に何者なのだろうか…でもひとつだけ確かな事は…


「私達…助けてもらったんだ…ありがとう」

「礼ならせめて沙藤の無事を確認してから言え」


それでも感謝させて…ありがとう……


つづく


メディスト「私とダーリンの愛に比べたらまだまだねっ!」

エル「そのダリーンと喧嘩して僕達を殺したあんたがそれ言うか」

メディスト「喧嘩するほど良い女神様って言うじゃない。その件については許してあげたしね!」

エル「なんなんだその過剰過ぎる上から目線は…そのダーリンって呼ばれてる神様の酷い扱いが目に浮かぶ……」

メディスト「なに言ってるのエルちゃん!勿論私と付き合えて極上の幸せを感じてるわよ!!」

エル(あ、悪女……!絵に描いた様な悪女が目の前に…!!しかもこの様子からして無自覚だと!?女運がなさ過ぎるにも程があるぞ……!?)


『黒の魔導書━異世界に来た元少年は魔導書を解読しながら最強に━』を面白いと思ってくれた方、よければ感想、レビュー、ブックマーク、pt評価等をよろしくお願いしますm(__)m

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