[RE.page] No.10 修行開始!
前回のあらすじ
エルちゃんは変な翼人族
エル「酷いなこのあらすじ…」
今日、僕が異世界に転移してから一週間が経過したので僕の修行が本格的に始まった。
「エル。修行を始める前に各種族と魔法とチャクラについて復習しておこう。これらは密接に関わっているからな。
まず人間族、種族成人年齢15歳。『魔法』を扱う事ができ得意不得意が種族的に少ない所謂器用貧乏な種族だ。そのぶん他の種族に比べて様々な環境での順応性が高く魔力のコントロールが他の種族に比べてかなり上手い。
次に耳人族、種族成人年齢60歳。遥か昔エレメンタルと呼ばれていた精霊という魔力精神体の力を契約という名の縁を介して借り受け『精霊魔法』という耳人族のみが扱える特別な魔法を使う種族だ。
耳が他の種族より長い事からこのような種族名が名付けられた。耳が上に向いている程攻撃系の精霊魔法の適正が強く、垂れ下がっている程支援特化に長けている。次に小人族、種族成人年齢30歳。
物質の性質を変成させたり様々な物を構成物質レベルに分解したり物質同士を融合させ新たな物質を誕生させる秘術『錬金法』を扱う少数種族だ。錬金法については秘術と呼ばれるだけあって能力の名称以外全く正体が晒されていない。徹底的な秘密主義で成人でも他種族の半分程の身長なのが特徴だ。
次に獣人族、成人種族年齢15歳。身体能力がずば抜けて高い種族で魔力やチャクラ等は使えないが自力のステイタスのみで他種族の強者と張り合える程でスキルを行使すれば肉弾戦では他種族の追随を許さない。犬や猫の様な魔欠動物の様な耳や尻尾があるのが特徴だ。
最後に我らが翼人族、成人種族年齢150歳。五種族の中で最も不老長寿に近い種族で女神様の話ではお前はかなり特殊で翼人族以上の不老長寿体質らしい。
そして我々翼人族は種族的に引きこもりのモヤシが多いが私のように普通に地上で暮らしている者も少なからず居る。まぁ私達の様に地上に降りた者の大半も一ヶ所に引きこもっているが……」
ひ、引きこもりの、モヤシ……一応同族なのに!同族なのにっ!!翼人族のイメージがっ……!!!
「まぁそれは置いておくとして私に普段何故翼がないのかというと基本は翼を不可侵化…要は存在していない状態にしているからだ。お前は特殊な境遇故に翼人族でも元から翼がない状態から翼を出現させる、翼出し入れの順序が逆というわけだ。
そしてチャクラというのは自然の声を聞き、自然の力で自然そのものに干渉する力だ。まぁ大半はヒキモヤシ(引きこもりモヤシの略)になって戦闘面の能力を無駄にしているんだがな。
お前にはこのチャクラと魔法での戦い方を学び魔導書の扱いと共に習得してもらう。まずはチャクラの開花から始めるぞ!」
「今日から修行開始とか言っときながら滅茶苦茶説明不足じゃないか。なぜ先週の内に教えなかった」
「……お楽しみはとっておくものだろう?」
「…………教えるの忘れてたな」
「し、仕方ないだろう!誰かに教えるなど私には経験がないんだからな!!」
「まぁちゃんと教えてくれたから別に構わないが…もし思い出した上で教えないなんて事が判明すれば━━」
「わざわざそんな事忠告されんでもわかっている!」
そうか、それなら安心だ。そんなこんなで僕の修行が始まるのであった。
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「先程言った様にまずはチャクラ洞の開花から始める」
「開花?」
「そもそもチャクラというのは自然流、地脈と言う者もいるな……そこに流れる世界を動かす膨大なエネルギーが漏れ出て粒子化したエネルギーの事だ。そのチャクラを操り…例えばこの森のそこら中に生えている草があるだろ?」
あぁ、この霧の原因でもある雑草『散水草』の事か……
散水草が出す霧には緑鬼族が好む成分が含まれている上にその香りが他の魔物は結構臭く感じるらしくあまりこの森に寄ってこない……全然来ないわけではないが。森で出会った殆どの魔物がゴブリンだったのはそれが理由だ。
「アレにチャクラを送ると急成長させたり霧の効果を強くしたりできる。上達すれば効果に指向性を持たせる事もできるぞ。複雑な形に急成長させて相手の動きを妨害したりな」
ほぅ…それは便利だな。
「そして開花というのは翼人族にのみ存在する肉体と精神の通り道を開きチャクラを取り込む道を作る行為の事だ。
それではまず眼を瞑り深呼吸をしろ。そして自然に意識を向けろ。力の流れを感じとり心地いい涼しさや暖かさ等を感じれば開花は完了だ」
聞いている限りでは意外と簡単そうだな……よし!…眼を瞑る…深呼吸をし、周囲に意識を向ける………
深く…深く……自然に意識を集中させる━━━━
「凄く、気持ち良い……これがチャクラ━━」
「なっ!?ちょっと待!!な、なぜ1回で開花できているんだ!?」
「っ!?集中していたのに急に話しかけるなっ!クソッ…やり直しだ…師匠ができると言ったんだろ……何故邪魔をするんだ」
「普通は何十回も行い少しずつチャクラの通り道を開いていくんだぞ!?それをお前は初めの1回で…」
「驚いていた理由はそういう事か…」
「ちなみに開花した時はどう感じた?暖かいとかあっただろう」
「最初にそんな事言っていたな…確かに気持ち良い感じはしたが涼しさや暖かさなんて感じなかったぞ、それどころかチャクラらしき力と気持ち良さ以外師匠に声をかけられるまで何も感じなかったぞ。普段から感じている様な事も感じられなかった」
「異世界の人間の魂と私の細胞を元に女神様が造られた翼人族の身体…本来あり得ない特別なモノ同士が合わさり洞の性質自体に影響を━━━━━エル…どうやらお前は本当に特殊な存在の様だな……全く、女神様は何をお考えになっておられるのか……」
次々と例の糞女神が俺の身体を好き勝手に弄った結果が判明していく中僕の心は妙に昂っていた。
(これが僕の力…チャクラ……強くなるというのは小さな一歩でもここまで興奮するモノだったのか…!
称号スキルにもあったが……割とマジで戦闘狂の気があるな……これも僕の隠れていた一面というやつか)
僕は自分の意外な一面を知りこれからの修行にガラにもなくワクワクしていた。
「それはそれとしてあの糞女神…ホント僕に何させたいんだ……変な事を考えているのなら只じゃあ済まさん」
つづく
エル「さて女神様。本文最後の僕の疑問に答えてもらいましょう」
メディスト「もちろんエルちゃんが最強超絶美少女になって私の世界でなろうも真っ青な仰天騒動起こしてもらってエルちゃんのキュートでクールな生き様を小説にして後輩達に配りまくるわ!!!そして私の世界の人達が間抜けな顔してるところを見て笑い転げたり…してぇ…?暇神生活から永遠にさようならフォォゥエバァァァ!!!…ってかんじぃ?あははははははっ!!!想像するだけでお腹痛い!!」
エル「仮にも女神ともあろう者がそんな阿保みたいな発言をするなぁぁぁ!!」
メディスト「えぇ!?お母さん!?いや、ママさん最強超絶美少女路線も有りっちゃ有りね…」
エル(駄目だこいつ……早く強くなって葬らなければ一生この阿保の目の肥やしに……)
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