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[RE.page]閑話No.1 元少年の異世界七夕《七夕特別編》

七夕スペシャルです。


一部修正しました

町を村に変更しました


異世界の勉強が終わったエルにメフォンが話しかけた。


「エル。お前の世界にも七夕があるんだってな、女神様から聞いたぞ」

「こっちにも七夕なんてあったのか(その言葉から考えてこの世界…クシャナドの住人の時間の考え方と地球の太陽暦はやっぱり同じなのか?初日に師匠が自分の生年月日とかその他諸々のプロフィールをわざわざ教えてきたし……一年の月数と日数、地球と同じだったからな)」

「まぁ名前が同じなだけでだいぶ内容が違うみたいだが」

「ふぅん…僕の知っている七夕は短冊…願い事を書いた紙を竹や笹って植物に吊るしたりするんだが、こっちの七夕はどんな感じなんだ?」

「こっちの七夕はな、地域によってかなり違うがこの辺の村や街だと『セブンハーブ』という幸運の象徴と言われる真っ白な草を夕方まで刈りまくって女神様を模した像の前にお供えするって行事なんだがこの森の近くの村ではお祭り騒ぎの伝統的なイベントになっているんだ」

「…その村の住民はわかってるな」

「エルお前…女神様嫌いとか言ってなかったか?」

「そういうイベントこそ騒がなければ話にならないっ!」

「うぉ!?お前、そんなに祭り好きだったのか!?意外だな…」

「祭りは嫌な事全部忘れて騒ぎまくれるからな!日々の鬱憤を晴らすには最高の時間だ!」

「その鬱憤を晴らす時間が今日あるぞ」

「何っ!?そうと決まればその村へ行くぞ!!なんて村だ」

「ちょっと待て!まだまともに修行してないのにこの森を出るつもりなのか!」

「なんという名前の村だ!?」

「……リーシャン」

「レッツゴォォォ!!!師匠も来いよ!!!」

「待て!…はぁ……全くあの馬鹿弟子め…そもそも村の方角知らんだろ…」


エルの怒涛の勢いとキャラ崩壊に負けたメフォンはエルを止める事ができなかった。エル…鶫が不治の病レベルの方向音痴である事を知らずに……






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






「本当に…どれだけ広いんだこの森は……!」


普通にリーシャンの方向に真っ直ぐ進めば一時間程で出口にたどり着くのだがエルの絶望的方向音痴が十全に効果を発揮し、家を飛び足した方向こそリーシャン側の方向だったのだが既に3時間も無駄な時間を過ごしていた。

相変わらずゴブリンばかりの森でエルの通った道にはゴブリン計127匹の死体が転がっていた。






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






一方その頃…


「エルの方が先に出ていったのに…何で私の方が早いんだ!?さっさと来い!エルッ!!」


そこには弟子の致命的欠点を知らずに村の入口で彼女を待ち続ける哀れな師匠の姿があった。






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






更に一時間後


「小鬼共はお呼びじゃねぇんだよ……!!いい加減人間出せやコラァ!!!…ん?」


襲いかかるゴブリン達を蹂躙しながら理不尽な怒りの声をあげるエルの前にゴブリンの上位種『ホブリン』が沢山の仲間達の仇を討つべく姿を表した。


「だぁかぁらぁ━━━━━人間出せっつってんだよ!!!!!」

「ぐきゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁぁ!!!!!」


怒り狂う小鬼の天敵(ゴブリンキラー)『エル・ヴィザスト』VS小鬼達の兄貴分(リーダー)『ホブリン』 の壮絶な戦いが今、始ま━━━━━


「4時間も待たせるなぁぁぁぁ!!この馬鹿弟子がぁぁぁぁぁ!!」

「痛ぁ!?」

「ぐぎゃ!?」


━━━━━る事はなく、痺れを切らしたメフォンがエルの頭を殴り気絶させ、彼女を引きずりながら連れていった。


「……ぐ、ぐきゃぁ………」


ポツンとその場に残されたボブリンの唖然とした表情と共にこの終わり方は納得できない……的な感情が混じった鳴き声は虚しく深い霧の中に消えた…






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






「全く…ここまでお前の方向感覚が重症だとは……予想外もいいところだ……」

「記憶力には自信があるぞ!何故方向音痴なんて言われなきゃならないんだっ!」

「ここまで説得力のない自慢を聞いたのは初めてだよ…」

「そ、それにしても本当にこんな格好でいかなきゃならないのか…?」


今、エルが着ているのはどこからどう見ても立派な巫女服だった。それもエルの超絶美貌がこれでもかと際立つ程に洗練された。


「元は男でも今のお前は心身共に何処に出しても恥ずかしくない美少女なんだ、当然だろう。それに七夕に巫女服は定番だろう」

「日本では普通浴衣なんだよ!というか心までは女に染まっていない!」

「ユカタ?そんな服があるのか異世界には!是非とも今度作ってくれ!」

「わかった!わかったから!引っ付くな気色悪い…!」

「女性に気色悪いと言うのは人としてどうかと思うぞ?心が男なら尚更だが」


そんな話を続けている2人は遂にリーシャンのお祭り空間に辿り着いた。


「おぉ!!まさに祭り(・・)って感じだな…!」

「本当に祭りが好きなんだな…お前は」

「あぁ!祭りは僕の心から楽しめる娯楽の1つだからなっ!!」

「楽しそうで何よりだ」

「さっさといくぞ!師匠っ!!」

「…っ!!…あ、あぁ」


メフォンはエルの初めて見せた心からの笑顔に同性でありながらもそのとてつもない美貌にやられかけてしまった。当然村の住人も男女共にその笑顔に釘付けだった。


「本当に元男だった事が信じられないな…あの笑顔は。本当にズルいぞ……エル、可愛くてしょうがない…」

「ぼさっと突っ立ってるな!置いていくぞ!!」

「方向音痴が何を言っているんだか…」






※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






村の住人達によって集められたセブンハーブは広場の噴水前に置かれ、村の人達が噴水を囲んで手を組んで祈っていた。そして━━━━━━


ぱぁぁぁぁぁぁぁん!!!


盛大な音を置き去りにして色とりどりの花火が夕日を彩る。


異世界(こっち)の花火も悪くないな…凄く綺麗だ……」

「あぁ、来年もまた一緒に来ればいい。その時旅をしていても戻って来ればいい…エル、お前はもう私の娘なんだからな」

「…あぁ、ありがとう…」

「いつもならノリツッコミでもかますのに妙に素直だな、今日のお前…なんか気持ち悪いぞ」

「台無しだよ!馬鹿っ!!」


メフォンに文句を言いながらエルの異世界に来てから初めての七夕祭りは終わりを告げた。


END

次回から本編(もう少し説明回続き)を再開します。


ちなみにセブンハーブはしっかり探せば結構見つかる草でどれだけ刈り取っても必ず生えてきて高級料理に使ったり煎じて紅茶にするのが定番。

意識せずにたまたま見つけた人には幸運が訪れるという話から幸運の象徴とも呼ばれる真っ白な草。…って設定です。


『黒の魔導書━異世界に来た元少年は魔導書を解読しながら最強に━』を面白いと思ってくれた方、よければ感想、レビュー、ブックマーク、pt評価等をよろしくお願いしますm(__)m

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