[RE.page]番外編No.3 幸せ引き裂く現実《東城鶫3》
今日もレイラに会いに来た。
「また負けたっ!」
「おっそ~い!ツグミィ!」
「レイラが早すぎるんだよ!」
「ふふんっ♪照れるなぁ♪」
「いや、誉めてないから。むしろワンパターン過ぎて当たり前になってきたし…」
「ちぇ~!つまんないのぉ……」
━━━━━つまら、ない……?
「…ぼ、僕と話すの、つまらな…かったの、か……?」
「えっ!?ツ、ツグミ!?ご、ごめんなさい…本心じゃないから…!反応が薄くて悔しかっただけだから!こ、こんなに落ち込まれると思ってなくて……その…元気出して、ね?」
最初は僕が一方的に嫌がってたのに…何ショック受けてるんだよ僕は………
「…………」
「元気にならないならぁ~、こうしてやるぅ!!」
「へっ!?…ひ、ひゃ!?ひゃはははははははは!!!い~ひひひひひっ!!!くすぐった…ひゃっ!?くすぐったいって…!わかった!本気じゃないのはわかったから……って、ちょ…!?ま、待って!!お願いだから…!!!」
「わかれば良し!」
「はぁ……はぁ………笑い過ぎて…お、お腹…痛い……」
レイラに散々くすぐられて笑い疲れていると今度は僕に抱きついてきた。
「うっ!?レ、レレレ…レイラァ…!?!?」
「ツグミが暗い顔してたら…私だって悲しいんだからね……」
「……あ」
違う、悲しいだけじゃない。レイラは幸せな時間を僕に疑われて………辛いんだ。僕がレイラに嫌われたと思いこんで落ち込んだせいで……
「ツグミがこの間言ってくれた様に私にとってもツグミは同じくらい…いや、それ以上に幸せの象徴なんだから!……それに、ほら」
「え、これ……本に載ってた…!」
「うん、デルフィニウム…ツグミにプレゼントしようと思って持ってきたんだ」
「これを…僕に……?」
「どうぞ!受け取って…!」
「…あ、あり」
「あり?」
「あ゛りがどお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!ごめんなざい……!ごめんなざい゛!!!う゛わぁぁぁぁぁ!!!」
レイラに悲しい思いさせてしまって僕も余計に悲しくなったけど、それ以上にレイラが僕と同じ気持ちだった嬉しさと初めて大切な人から貰ったプレゼントがこんなにも幸せな気分にさせてくれる事を教えてくれたレイラへの感謝の気持ちでいっぱいだった。
「…男なのに泣いちゃってごめんなさい…というかモノ凄い恥ずかしい……」
「ふふん♪私は嬉しかったなぁ~!私に嫌われたくなくてあんなに落ち込んだんでしょ?女の子としてはこんなに嬉しい事はないよ!…私の事をこんなにも大切にしてくれてるって証拠だし…ね?」
「……っ!?」
「あ!今ドキッ!ってなった?」
「…なってない」
「絶対ドキッ!ってなったよ~!ふふん♪」
「ぜ、絶対そんな事なってないっ!!」
今日は何時にも増して恥ずかしくなる日だった。でも幸せな時間って事に変わりはない。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「鶫くんと親子になりたいって人達が明後日に来るんだって!良かったね!」
は…?今まで施設の皆と対立してた僕を気味悪がってた癖にいきなり何言ってんだよ、何だよそれ…レイラとこれからも一緒に話したいのに…なんで……なんでそんな嬉しそうな顔するんだよ!
「ふざけんなっ!!!!!」
「きゃあっ!?」
気づいたらムカつく事を言う奴を殴ってた。そして他の大人達に押さえられていた。笑うな…!!僕を見て嬉しそうに笑うなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
一人の少年の未来の運命が変わる時は近い━━━━━━
つづく
『黒の魔導書━異世界に来た元少年は魔導書を解読しながら最強に━』を面白いと思ってくれた方、よければ感想、レビュー、ブックマーク、pt評価等をよろしくお願いしますm(__)m