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妹が好きなら妹以外を想っちゃだめですか?  作者: しりうす
If I'm pretty, would you love me even I'm not your sister?
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四十三話

 まずさつきが向かったのは、モール中央にあるフードコートだった。


「ここがどこに行くのにもちょうどいいのです。マップもあるし、ここで行きたい店を決めるのです」

「ご飯食べながら決めることもできると」

「お昼近くに待ち合わせがほとんどだから、食べながら決めることが多いのです」

「そういえばお昼まだでしたね。何か食べます?」

「うどんなのです!」


 ということで。

 ちゅるちゅるとおいしそうにうどんを食べるさつきを見つめる。口に入る量以上をすすったがために頬が膨れ、リスのようだ。

 因みに悠もうどんだ。


「それで、どこに行くです?」


 こくんとうどんを飲み込んださつきが口を開く。


「まずはさつき先輩の服を買いに行きましょう。というよりさつき先輩もそうしたいですよね?服は変えられても下着は……」

「それ以上は言ってはいけないのです」

「俺そういうところわからないので、さつき先輩に連れて行ってもらわないと」


 ということで。悠はさつきに連れられ服屋へとやってきた。全国に店舗を展開する大手洋服チェーン店だ。


「ここですか?」

「なのです」

「なんか想像してたのと違う」

「悠くんは下着だけしか売ってないお店に行くと思ってたのです?」

「本ではそういう展開が多いので」

「普通男の子連れてそういうところにはいかないのですよ」

「ですよね」


 彼氏ならまだしも、仲がいい程度の男を連れてランジェリーショップとか、どこの痴女だ。その男のことが気になってて意識させてからかう目的だとしても……いやそれはうらやましい。


「ちょっと買ってくるので自分のもの見てて待っててほしいのですよ」

「それなら俺が」

「悠くんが私の下着を買うです?」

「いえなんでもありませんどうぞ行ってきてください」


 ちょっと想像してみよう。女性用下着を持った男がレジで会計をする。うん、変な目で見られること間違いなしだ!

 おとなしく会計を待つこと数分。袋を手にしたさつきが戻ってきた。


「おかえりなさい。トイレで着替えますか?」


 さすがに服ではないので、その場で着ることはできない。なのでトイレに行くかどうか聞いたのだ。


「それなんですけど悠くん。この近くにお風呂ないです?海水を浴びたままだと髪が痛んじゃうのです」

「銭湯ってことですか?ちょっと待っててください……あ、あるみたいです」

「せっかくだし服も選んでからそこで体洗って着替えてもいいです?」

「もちろん」


 ということで、悠とさつきは近くにある銭湯へ行くことになった。銭湯デートってこの世に存在したのか……


 さつきが着替えるための服を買うらしいのだが、何故だかその役目が悠になった。


「あたし言ったのですよ。悠くんに服を選んでもらうって」

「……確かに言っていたような」

「約束を簡単に忘れちゃダメなのですよ。いいです?」

「はい、ごめんなさい……」


 とはいえ、悠にファッションセンスなんてものはない。自分の服を選ぶのでさえ適当なのに、さつきの服を、この大量にある服の中から選べるのか?

 お楽しみということで買うところをさつきに見られないようにして、こっそり牡丹に聞く──


「言っておくのですけど、スマホで助けを求めるのは無しなのですよ?」

「え」

「無しなのです」

「そ、そんな……っ!」

「なのです♡」


 ふむ。ずるはできなくなってしまった。はっきり言おう。降参だ。

 しかしさつきは降参すらも許さないらしい。服を選び終わるまで、この店から動くことはないだろう。


 仕方なく諦めて、悠は思案する。

 幸いにしてさつきはただの友達ではない。国民的人気を誇る女優でもある友人なのだ。さつきの悠に対する情報と、悠のさつきに対する情報とでは圧倒的に量が違う。

 故に、如月さつきと言われてイメージする雰囲気やキャラを、そのまま服へと落とし込むことさえできれば、このミッションはクリアなのだ。

 ……その落とし込める作業ができるとは思えないのが問題なのだが。


「こんなのはどうですか?」


 悠が悩んだ末に手にしたのは、たくさんのフリルがついた服だった。今日の服にもフリルはついていたし、彼女のイメージとして可愛さがあるため、フリル付きの服は無難だと思ったのだ。


「そんなにフリフリしてたら子供っぽくないです?」

「大丈夫じゃないですか?」

「それはあたしが子供っぽいからです?」

「違いますです」

「あとでお話があるのです」


 何故だろう。笑っているのに笑っていない。可愛らしい笑顔を向けられているのに、気分は猛獣の前に立たされているかのようだ。


「た、確かに今日の服でフリルは見れたし違う服の方がいいかもナー」

「誤魔化しきれてないのですよ」


 なにやらさつきが言っているが、無視だ。変に反応すると墓穴を掘りかねない。悠としても半分本気でもう半分は冗談だったので、素直にラックへと服を戻した。

 結局、悠は何回かのダメ出しを喰らいつつも服を選び終わった。

 全体的にシックな色合いかつデザインのものを選んだので、さつきが大人びて見える。フリルがついた可愛らしさ全開の服もさつきに似合うが、こういう落ち着いた雰囲気の服もさつきによく似あった。


「それじゃあ銭湯に行くのですよーっ!」


 何故だかテンションが爆上がりしているさつきをリードし、悠は歩く。向かっている先が銭湯でなければ、もう少しは今の悠の気分も上がったのだろうか。というか銭湯でこんなにはしゃげるさつきが異常なのではないだろうか?


おまけ


「悠くんは本をたくさん読むのです?」

「ライトノベルっていうジャンルだけですけど、まぁそうですね」

「これは牡丹から聞いたのですけど、そういう本を読む男の人はへんたいさんが多いって本当なのです?」

「あながち否定できない……!?」

※個人の意見です

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