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妹が好きなら妹以外を想っちゃだめですか?  作者: しりうす
If I'm pretty, would you love me even I'm not your sister?
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三十八話

「ところで」


 お昼を食べ終わり、飲み物を飲んで一息ついたとき。牡丹がそう切り出した。


「一昨日水族館に行ってきたのだけれど」


 どうやら家族でお出かけした時の話をするようだ。とはいえその時の悠は彩芽の看病で不在だったため、そのお出かけで何があったのかは知らない。

 水族館、という言葉に惹かれたのか、芽衣とさつきも牡丹の話に耳を傾ける。


「都内の有名な水族館ね。あまり行ったことがなかったから新鮮で楽しかったわ」

「確かに水族館って静かで落ち着いてる雰囲気ありますよね。結構あの空間好きです」

「水族館なのです? あたしは小さいころに行った記憶はあるけど、よく覚えてないのです」


 水族館と言えば、遊園地やその他の施設と違ってとても静かである。水槽に入れられた魚を見て楽しみ、その美しさに心酔するのが、水族館の魅力だろう。


 芽衣はその水族館独特の雰囲気が好きらしく、遊園地などよりも水族館を選ぶそうだ。

 さつきは、今は身を引いているとはいえ、大人気女優だ。その多忙な生活の中で、水族館に行く余裕などなかったことは容易に想像できる。


「あら、それなら今度皆で行きましょう? 悠も行けなかったものね」

「んー、俺は別に行かなくても──」

「悠?」

「ア、ハイ。行かせてもらいます」

 

 牡丹の有無を言わさぬ目に屈し、悠は意見を変えた。

 まぁそれだけではなく、その視線がさつきを捉えていたことから、牡丹の意図を正確に把握したという理由もあったりする。のだが、実際に割合としてみると前者が9で後者が1だ。


「あんまり人を増やしてもあれだし、この4人で行きましょう」

「あの、実は今月結構予定入っちゃってて……」


 芽衣が申し訳なさそうにそう進言した。

 忘れそうになるが、芽衣はクラスカーストトップなのだ。もちろん予定なんてすぐ埋まるに決まっている。むしろ悠がこんなに長時間芽衣といれることが不思議なのだ。


「それなら仕方ないわね。友達は大事だもの。なら私とさつきと悠で行きましょうか」

「わかったのです。予定が決まったら教えてほしいのです。絶対に行くのですっ」


 なにやらさつきが意気込んでている。そんなに水族館が楽しみなのだろうか。ふんすっと力むさつきの姿は、その幼い容姿と相まって愛らしい。本人にそのことを言ったら拗ねそうだが。


「それじゃあ決まりね。さつきはいつでもいいみたいだし、あとで悠と話して日程を決めておくわ」

「お願いしますなのです」


 とその時、丁度よく昼休みが終わりを告げた。次の授業まで5分であることを伝えるための予鈴だ。


「今日は楽しかったわ。また一緒に食べましょう?」

「はい、是非!」

「楽しみにしてるのですっ」

「もう全部から揚げ弁当は勘弁だけどな……」


 確かに楽しくお昼を食べられた。美少女に囲まれてお昼とか、なんてラノベらしいイベントなんだと思うが、唐揚げのみ弁当はいらない。果てしなく要らない。


「大丈夫よ悠、次は卵焼きにするから」

「おかずの種類を変えればいいわけじゃないからな?」


 と、そんなこんなで1日が終わり。


 あ、午後の授業とか帰り道とかで何か起きたりということはなかった。牡丹やさつきに出くわすこともなく、芽衣も友達と帰るらしく、珍しく悠一人で帰った。久しぶりのボッチ下校だが、なかなか悪くない。芽衣や牡丹達とわいわいしながら帰るのも楽しくていいが、一人で自分のペースで帰るのもいい。


 そしてその日の夜。悠は牡丹からの呼び出しで、彼女の部屋で座っていた。当然床に正座だ。カーペットがあるから、足は痛くならない。


「悪いわね」

「ま、大体わかってるけど確認にね」


 おそらく、いや十中八九お昼の水族館のことだろう。牡丹がなにか部屋に呼び出してまで話すこととなれば、それくらいしか思い浮かばない。


「水族館のことよ」

「まぁ、うん。知ってた」

「それならどんなことを言うか予想できる?」


 議題の推測は簡単だった。そして次は草案の提示。これも牡丹のお願いを知っていれば、なんとなく予想がつく。


「……当日は二人でデートしろ、とか?」

「当たりよ。本当は芽衣さんをどうしようかの相談をするつもりだったのだけど、彼女には彼女の友達付き合いがあるものね。むしろ参加できなくて助かるわ。だからあとは指示を出すだけ」

「ほぼ予想通りだな」

「水族館へ行く当日、私は適当な理由をでっちあげて行けないことにするわ。多分熱でも出すんじゃないかしら。そこで悠、あなたはさつきをしっかりとエスコートして楽しませてあげなさい」

「結構アバウトな指令だな。できなくはなさそうだけど」


 既に集合場所に集まっている二人。そして待っているもう一人が来ないとなれば、とれる選択肢は2つ。帰るか、いっそのこと二人で水族館に行くか。

 あとは後者を選ぶように仕向ければいいだけだ。


「熱だと心配されて水族館どころじゃなくなる可能性がある。適当な急用でも作った方がいいと思う」

「……そうね、そうするわ」


 そして話はまとまった。

 とりあえず目下の目標は、二人っきりで水族館へ行き、さつきを楽しませること。

おまけ


「悠」

「ん?」

「ずっと正座だったけれど、痺れたりしないの?」

「今現在進行形で痺れてるけど」

「……」

「あ、押すなよ? 絶対に押したり突いたするなよ?」

「わかってるわよ。……ちょん」

「ぅひゃあ!? ッ……やめてって言ったじゃん!」

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