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妹が好きなら妹以外を想っちゃだめですか?  作者: しりうす
If I'm pretty, would you love me even I'm not your sister?
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三十五話

お待たせしました……!

 教室まであと少しというところまで来た悠は、一瞬顔を顰めた。

 というのも、教室の入り口を女子が塞いでいるのだ。ならばもう片方から入ればいいと思うだろうが、そっちには男子がいる。これがもし一人ならば何も気にせず通り抜けるのだが、そもそも一人なら入り口にいる意味がない。


 芽衣みたいな陽キャならば普通に通るのだろうが、生憎と悠にはできない。できるわけがない。

 朝の生徒が大勢いる廊下で立ち止まるわけにはいかず、そんなことを考えながら歩き続ける悠だが、気分はよろしくない。偶然どいてくれたりしないかな、なんて願っちゃう。


「よっ!」

「……?」


 突然後ろから声をかけられた。

 若干驚きつつ後ろを振り向くと、そこには救世主となりえる人がいた。


「なんだ帝か……」

「なんだはないだろ」

「久しぶり」

「おう、一週間ぶりだな」


 帝だけ先に行ってしまうのではないかと危惧した悠だが、普通に考えて挨拶して会話を交わしているのにスタスタと一人先に行くということはほとんどあり得ない。自分よりも少しだけ早い歩くペースに合わせながら、帝の横を歩いていく。


「悠はゴールデンウィーク中何してたんだ?」

「特に何も。帝は?」

「遊びまくった」

「帝らしいっちゃらしいな。……あ」

「あ?どうした?」

「そういや芽衣と遊んだわ」

「惚気かやめろ」

「そんなんじゃないって。ただうちに来て俺の部屋で一緒に本読んでただけ」

「家に招いて部屋に連れ込んだぁ!?ちょ、おま、それ!」

「声が大き──」

「完全に恋人じゃねぇかぁぁぁあああああ!」


 目立つことに何も感じないのか、はたまた驚きすぎて他のことは忘れたのか、その両方なのかは知らないが、帝が廊下に響き渡る大声をあげたせいで近くにいた悠まで注目されてしまった。


 目立つことが苦手な悠は当然、居心地がとても悪い。クラスメイトだけでも無理なのに、他クラスの人にまで見られてるとか耐えられるわけがない。


「……」

「あ、おい!ちょっと待てよ!」

「……」

「なんで歩くスピード上げてんの!?」


 教室に逃げ込みたいからに決まっている。誰が注目の的になっている廊下にずっといるというのか。陽キャか。


 結局一人で扉を通ることができないので、追いついた帝に先に行ってもらい、そのすぐ後ろに続いた。陽キャ組、一人じゃなければ、怖くない。


 教室に入った悠は、既に芽衣がいるのを見た。自分の席で、集まった友達と楽しそうに話している。

 ちらっと一瞬だけ悠の方を見た芽衣と目があう。それだけで芽衣は何かに弾かれたかのように目を逸らしてしまった。


「なんだ?何かあったのか?」

「……いや、何でもない」


 今のやり取りを見た帝が聞いてくるが、答えは濁すしかない。だって悠にもわからないから。心当たりはある。この前遊んだ帰り道での、あの出来事だ。


 とりあえず、ずっと立ち止まっているのは迷惑になるので、荷物を置くために自席へと行く。


「さて、詳しく話を聞こうじゃないか、ん?」


 悠よりも早く荷物を置き終わった帝が、悠の前の席の椅子に座って聞く。どうやらまだ話は終わっていないらしい。


「……なんだよ」

「GW中のリア充ムーブについて聞きたいんだよ!」

「そんなのない」

「さっき話してたじゃんか」

「だからあれは本読んでただけだって」

「じゃーそれでいいから話聞かせろよ!」


 なぜか妙に興奮した様子の帝に促され、悠はこの前の出来事を話した。帰りのあれは話さないけど。そして話を聞いた帝はというと……


「あのな悠。一つ言っていいか?」

「?いいけど」

「それ、他人から見たらなんで付き合ってないのか意味不レベルだからな」

「え?友達ならこれくらいするんじゃないの?」


 悠は芽衣から『友達ならこれくらいする』と言われたから帝にもそう言ったのだが……どうやら帝的には同意しかねるらしい。可哀想な人を見る目だ。泣ける。


「悠って友達少ない?」

「事実だけどもっと聞き方どうにかならない?」

「いいか?確かに友達同士なら、用事がなくても部屋で遊ぶかもしれない。だけどな、それは三人以上か、同性のときだけだ。二人で、しかも異性と同じ部屋で用もなくだらだらと読書をするような友達は、いない」

「でも芽衣だぞ?」

「よく考えてみろ。普通女子が一人で男子の部屋に上がるか?」

「彼女ならあるんじゃない?」

「そうだな、彼女ならあるかもな。でも悠の場合は違うだろ?」

「芽衣は友達だからな、恋人じゃない。……あ」

「やっと気づいたか」


 カップルならあり得ることでも、友達同士となればあり得ないことはある。それがこれだ。グループで遊ぶとかならわかるが、一人でなんてほぼあり得ないだろう。


「つまりだ。わかりやすく簡単に言うと、お前のこと好きなんじゃね?」

「……なわけ」


 口では否定しつつも、視線は自然と芽衣の方へ向く。まだ話していた。


「ま、悠を男として見てないって可能性もあるけどな!」

「普通にありえなくないってかその説濃厚だわ」

おまけ

「で?で?で?」

「ん?」

「ナニかあったのか?」

「逆にあると思う?」

「ないだろうな、だって悠はヘタレだから」

「せめて本人がいないところで言おうか?」

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