8/12
冷める前に飲み干して
「日和?」
「あ。ん?何?」
「どうしたの?ぼーっとしてたよ。」
目の前にいるのは親友のあずさ。
私は学校の休み時間、話し込んでいたのを忘れていた。
「で、どうなの?好きな人とかいないの?日和は。」
「あ、うーんそうだね……。」
好きな人。
この響きが心地よい。
もし私に好きな人なんているって知ったら、彼はどう思うんだろう。
「やっぱ朝比奈くんとかかっこいいよね!私はー……」
普通に好きな人の話が出来るあずさが羨ましい。
自由って幸せなんだろう。
でも私には憧れてる人がいた。
九条 夕陽
一目惚れだった。
でも、同じクラスなのに話す自由さえ私には無い。
もし自由だったなら、殴られなくていいなら、私は彼を好きになりたい。
「あずさ。」
「なにー?」
「私、九条くん……とか。」