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茶葉の航海記
首に残った赤い跡と手型をさすりながら歩く。
学校に行ったらあずさになんて説明すればいいんだろう。
昨日
きっと彼は私を殺すつもりだった。
いっそ……
「ふっ。」
馬鹿らしくて自分で嘲笑う。
一瞬でも思ってしまった。
「水元。」
恋もできない。
「なあ水元。」
自由のない。
「おいって!」
「え?」
すっかり考え込んで、後ろから聞こえた声に気づかなかった。
「あれ……、九条、君?どうしたの?」
「俺、何回も呼んだんだけど。」
「え!ごめんね!」
「なあ、水元昨日からずっと何か様子おかしいぞ?」
「はは……。」
殴られるから、責められるから
とは言えなかった。
「なあ、俺ら席も隣でクラスメイトなんだからさ、何かあったら相談してくれよ。」
「……ありがとう。」
九条くんが去っていったあと、泣きそうになってしまった。
やっぱり弱いな、私。
頼りたい。救ってほしい。
あの悪魔から。