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哲学一人旅 ~集団の失敗~

作者: 流

「神世」の方を書いていたら重たいものが書きたくなったので、さらっと書きました。集団の失敗について簡単に述べます。

 集団、というのは知能を有する動物(大体の場合はヒトとしてよい)の集まりである。古来アリストテレスは人間はポリス(集団)的動物であると言ったが、まさしくその通りで人間は集団で暮らす事を基本としている。なぜ、集まるのか。そもそも人間一人によってできる事には限りがある。20メートルの棒を一人で運ぼうとすると君ならばどうする? おそらくは棒の中心で上手くバランスを取って運ぶだろう。これは力学的な観点からすると非常に不安定で、うまく棒を目的の所まで運ぶのは難しい。そこで二人いるとどう運ぶだろうか。二人いるならば両端をお互いが持つ事でバランスよく運べそうである。ここから分かる事は、人数というのはそれだけで行動の選択肢の幅が広がるという事である。さらに集団の利点といえば、やはり考え方の多様性である。様々な考えを持つ人間がいるという事は、様々な観点から物事を見定める事ができるというのに他ならない。一方的な見方に固執してしまうと、その方向からは見えない景色を見る事ができない。世の中には絶対といえるものは少なく、こっちから見れば正解でもあっちから見れば間違っているという事は多々ある。その為には視点の多様性が必要不可欠で、それは集団の中でのコミュニケーションによって育まれる。総じて集団というのは良いものに見える。

 しかし集団には失敗がある。これは普段何気のない事が萌芽となり、やがて誰でも目に見えて分かるような大失敗に繋がる。たとえば多数決だ。何か意見が割れた際に最も賛成者が多い意見を採用するというシステムであるが、これは非常に便利かつ怖ろしいものを秘めている。散々言われてきている事だが、これは少数派の意見を潰しているのだ。これが多数派が考えて決めているならまだ良い。問題は多数派がほとんど何も考えず、誰かカリスマ性を持った人間や曖昧な世論を盲信して決める場合だ。選挙などが良い例で、みんながここに入れるからこの政党に入れようという輩が実際存在する。そんな人達が今最近になってようやく国会前でデモを始めている事があるが、いくらなんでも遅すぎる。過去の事例でいうならば、ドイツのファシズムもこれに当たる。ヒトラーというカリスマを持った人に、国民は曖昧ではあるが信頼を置いた。結果があの大虐殺に繋がったという事は周知の事実であると思う。このように集団とは失敗する事がある。それは集団の宿命でもあるかもしれない。

 最後にこの集団の失敗の萌芽を身近なものに見出してみよう。今どこかのグループが存在するとする。ではそのグループに入れず孤立した人を考えて欲しい。学校などでは頻繁に見る光景だ。グループを作れ、と言われて作れない人がいる。「なんで入れてと言わないの?」とグループに入った人達は言うが、それが言い出せないのだ。言ったとしても断られたり、入ったとしてものけ者にされたりされるのが怖いのだ。その感情を既に入っている人達は分からない。はみ出した人間の考えは誰にも共感されず、その人は孤立していく。孤立というのは一人では起こらない。集団の中でしか孤立というものは起きないのだ。すなわち集団というのは孤立を生んでしまう。一人の除外で集団は成り立ってしまう。この程度を大きくしたものがいわゆる刑務所である。あそこはルールに反した者を収容する、いわば除外者の集まりである。

 社会不適合者を社会から除外するという事はルールの上では正しいのかもしれない。だがそのルールとはそもそも何のために作られたのだろうか。人がルールを作るのであって、ルールに人の居場所が決められる事に不自然さはないのだろうか。











お次はルールについて述べようかなと思っています。ただこの話をする前に適合論(理論)について少し知識が必要なので、それを簡単に説明するかも。

後豆知識として、私はがちがちの理系ですが、哲学もやっています。実はデカルト、パスカル、ライプニッツなどの理系学者も哲学者としての顔を持っています。哲学というと文系のものと見がちですが、実は理系もやっているんですよ。詳しくはwikiで調べてみて下さい。

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