第2章 第6話 激突
なんか相当投稿が遅れちゃいました。お詫び申し上げます。
で、前の話の最後に出てきた二人が出てきますよ。
忘れた方は前の話へGO!
では、お楽しみくださーい。
日が暮れ、夕飯時のこの時間。軍長室でヘラがパソコンと資料に目を通していた。
『くっ……被害が多いな。まぁあれじゃあ仕方ないが……』
そう思うのも無理ない。死者107人、重傷者29人、その他怪我人42人、そして………………行方不明扱い4人である。
(…………また……ヴァンパイアと同じか………… )
『どういうことなんでしょうね』
ユーキがいつのまにか横にいた。
『うわおぅっ!お前いつの間に……』
『はい、夕飯ですよ。研究熱心なのはいいですけどちゃんと飯ぐらい食ってくださいよ。』
『あぁ、ありがとな。』
『んじゃ、無理はくれぐれもしないでくださいね。』
そういうと、ユーキは部屋を出ていった。
そしてヘラは、ユーキが出ていったのを確認すると、夕飯を食べ始めた。
───────時刻は夜8時をまわったところである。
多くの隊員は自室に戻った。
エントランスホールにある二つの人影──────
ユーキとアカネだった。
『今日も頑張ったねー。』
『うん。まぁ軍長が一緒だったから余裕だったけど。』
『しってる?軍長ってAMSOの能力使わないであんなに強いらしいよー。』
『えっ、うそだろ?』
『なんかね、AMSO受術者全員共通の効果の"身体能力の増加"だけであんだけ強いらしいよ。』
『…………バケモノだね』
『たしかにねー』
二人は冗談まじりで会話をしていた。
すると、急に入口が開き、人がはいってくる。
『だれだろ………………あれ?あの人って……』
ユーキは、あることに気づいた。
『ヴァンパイア……さん?』
その姿は、たしかにヴァンパイアだった。
『ヴァンパイアさ……』
『まってユーキ。』
ユーキが叫ぼうとしたとき、アカネが止めた。
『なんか……違和感が……』
『どーしたんだ?』
そのときだった─────────
アカネの横に人影が。そして、アカネの体に強烈な蹴りが炸裂させた。
『えっ……?』
アカネの体が吹き飛び、同時にその人影はユーキにむかって蹴りを繰り出した。
『うわぁっぶ!』
スレスレでかわした。が、その強烈さからみて、明らかに人間技ではない。
『くっそ……!』
アカネの心配をしている場合ではない。ユーキはすぐさま薬を取り出し、首筋に射った。
だが、その瞬間────────
ドガッ………………
ユーキの顔に膝蹴りがいれられた。
(な…………)
ユーキが後ろに倒れていく。それを、誰かが受け止めた。
『大丈夫か、ユーキ。』
ウルズだ。
『す……すまない……』
そして、もう一つの足音が近づいてくる。
『えー……ウォッホン!マッド、ジャン、トーパ、ドレイフ、そしてヴァンパイア、計五名の裏切り者、覚悟はできてるな?』
ジャンは最初にアカネを蹴りつけた者、マッドはユーキに膝蹴りをくらわした者のようだ。ヴァンパイアのうしろで、一人オドオドしている者がいるが、それがトーパである。
すると、マッドがウルズの顔に膝蹴りをお見舞いした。
『なぁ……お前さ……』
ウルズは、マッドの膝蹴りの足を持った。
『それは……俺の能力わかってやってんのか?』
そのまま勢いよく相手の足を下におろして、そのままウルズは右手で敵の首を鷲掴みにした。
『……ユーキが冷静なら……てめぇなんかにやられてねぇだろうよ…………』
マッドの首を握る手に、いっそう力がこもる。
ウルズの額には血管が浮き出て、彼も冷静でないことがみてとれる。
『……ガッ……グッ…………アグッ……』
マッドから苦しそうな声がもれる。
するとそのとき…………
バキン!…………ドサッ……
何かを切断するかのような音と共に、マッドが床に落ちた。そこにいたEDF側の者たち全員が目を疑った。
『…………っな……』
マッドの横には……
『……う……腕が……』
ウルズの右腕が転がっていた。
斬ったのはヴァンパイアだ。しかも、親指、人差し指、中指の三本だけで、しかもウルズの硬化された腕を、だ。
『……くっそ……やるじゃねぇかよ……』
少し動揺はあるものの、ウルズは冷静さを取り戻しつつある。
『これが俺の能力だよ。』
そこで、ヴァンパイアの頭に蹴りがはいる。左手でOTCの薬を射ったまま、正確に狙っている。
ヘラである。そのうしろで、ウルズもOTCの薬を射っている。
『ゲスが……ぶっ殺す……!』
ヘラが足を地面につけた瞬間…………!
ヴァンパイアは、ヘラの胴体ごと斬った…………ように見えただけであった。ヘラがギリギリでかわしている。
そして、ヘラの胴体から生えた何かが、地面をそれぞれ踏みつけると同時に、ヘラの拳がヴァンパイアの腹部に食い込み、ヴァンパイアの体を吹き飛ばした。
『言ったろ?……殺す……って……』
発する言葉からは、全く冷静とは思えないが、彼もまた、 冷静さを保ったままである。
『ふぅ……さすが軍長だな。』
ヴァンパイアは、手をつき起き上がろうとしている。
ヘラが、ヴァンパイアの方へ歩を進める。
すると、ヘラにむかって、マッドとジャンの二人が攻撃を仕掛けた。
だが、ヘラは慌てはしない。来ることをわかっているから。
ヘラのまわりに二つの人影が飛び込み、マッドとジャンの攻撃を止めた。この二人が、ザックとクレナイである。ザックがマッド、クレナイがジャンの攻撃を止めた。
『頼んだぞ。ザック、クレナイ。』
『『うぃっす』』
『初めて見る顔だな……』
ジャンが、クレナイにむかって言った。
『いわゆる新入りだからな。それよりも……』
クレナイの顔が、徐々に怒りに満ちた表情へと変わっていく。
『裏切り者は……罰するのみ……だな。』
クレナイは、猛烈なキックをジャンにむかって炸裂させた。
『ちっ……』
ジャンは、体勢を立て直すと即座にクレナイの腹に蹴りをいれた。
クレナイは、なんとかこらえた。が、ジャンは追い討ちで顔に再び攻撃した。
クレナイは、倒れ込んだ。そこへ、さらに追い討ちで、まるでサッカーボールを蹴るように、クレナイの顔面を蹴りつけた。クレナイの体が、吹き飛んだ。
ジャンのOTCの能力は、"バッタ"である。
バッタは、脚力が強靭で、とても発達している。その脚力を人間大にした脚で繰り出す攻撃は、まさしく人間のパワーなどとは比べ物にならないだろう。
だが、それをいえばクレナイもである。
吹き飛んだクレナイが着地する。それと同時に、クレナイの体は、既にジャンの目の前に来ていた。
ジャンプである。
クレナイが左脚を踏みしめ、地面がひび割れる。そして、左脚を軸に、これまた強烈なキックを…………
バッタは、その脚力で、自分の体長の10~20倍の高さを跳ぶといわれている。
だが、生物の中には、それよりも上をいく者がいる。
今までで一番強烈なキックが、ジャンの体に炸裂した。
ジャンの体が壁に激突した。
───────"ノミ"である。
ノミは、その体長の60倍の高さを跳ぶといわれている。
『ふぅ…………なめんな…………』
クレナイは体中に傷を負い満身創痍だ。
そして、ジャンは二度と起き上がりはしなかった。
『トーパ君……だったっけ?』
アオイは、トーパに歩み寄っていく。
『なんでこんなことしてんのさ。』
怯えている相手であるため、アオイは優しくしゃべりかける。だが、それは同時に油断を意味する。
『……どうだっていいだろ…………』
『……え?』
トーパが薬を射つ。そしてそれと同時に彼の表情が一変する。先ほどまでの怯えたものとは違い、どんな動物も逃げ出すような、冷酷な目つきへと変わっている。
『……どうし…………』
そうアオイが言いかけたところで、アオイの体が吹き飛んだ。いや、吹き飛んだというよりは……
『……っなにすんだよ!ザック!』
『アイツは危険だぞ!警戒しろ!』
『えっ……でも……』
『ったく……だからぁ……アイツはっ!』
そのとき、急に目の前にマッドの姿が。
『……途中で逃げやがって……』
『ちっ、アオイとにかくアイツは気をつけろよ!』
ザックの姿はいつの間にか向こうの方にあった。
『あっ!くっそ!』
……また逃げた?いや、今はそれどころではない。
『……なんで……なんであんな焦っていたんだ?』
アオイは瞬時に様々な可能性を思い浮かべた。近づくことも許さないような邪気の他に、威圧感ではないが、本当に周りが歪んでいるような、そんな感じがする。
『……毒……ぐらいしか考えられねぇか……』
『だよね〜。当たり。まぁ、わかるか。でもさ……』
トーパの口元がニヤリと笑う。
『手加減なんか……しないよ?』
それほど強力だといいたいのだろうか。
『……ふん……』
内心マズいとわかってはいるが、逃げるわけにはいかない。
『やるしか……ねぇのか。』
『まあまあ、アオイは下がっとけ。』
後ろから聞き覚えのある声が。
『毒には毒だろ。俺に任せろ。』
そこにいたのは、肌を真っ赤に染めたトリコテセンだった。
『……あの真っ赤なヤツ、つえぇのか?』
ヴァンパイアとヘラは、まだ睨み合いを続けている。
『あぁ、アイツは本当に強い。全ての能力がオールマイティにそろった戦士さ。』
ヴァンパイア、ヘラは、共に薬は服用後のようだ。
『お、トーパが能力使ってんじゃねぇか。あれはAMSOだろうな。OTCとは違ってんな。』
『あぁ、アイツはの能力は"氷結"だ。空気を瞬時に凍らせるんだ。トリコテセンのはどうなんだ?』
『……まぁあいつも能力はあるが……』
ヘラが苦笑いとともに答える。
『あまりに強力すぎるからあんまり使わないよう言ってあるんだよ。まぁつかってるけど。』
トリコテセンをめがけてとんでくる氷の槍は、全てがそのすれすれで破壊されている。
そして、その戦いが激しさを増してきたとき、異変が起きた。
『……な……何だあれ……』
(……コイツ……氷の槍飛ばしてくんな……めんどくせ)
トリコテセンは、AMSOの能力で、氷を片っ端から破壊し、徐々にトーパに近づきつつあった。
かなり近づき、拳を振り上げた瞬間だった。
スタッ…………
上からおりてきたのは、人型のビット。
『なんだコイ……ツっ……!!!』
そのビットの両手の指が、トリコテセン、トーパの両者の腹部をとらえ、突き刺された。
『フンッ、こんなも……』
──────────ドクン!───────
『はっ……?』
突如、二人は体の中に何かが流れてくるのを感じた。
そして、それが何かはすぐに理解できた。
『……毒……?』
言っておくと、トーパの能力はキロネックスというクラゲ、トリコテセンはカエンタケである。このように、二人はどちらも毒を攻撃の主として戦っている。
なので、僅かながら毒への耐性はあるのだ。そして、その毒がどれだけの強さ、危険さをもつか、ある程度は直感でなんとなくわかるのだ。
だからこそ──────────
だからこそ二人は焦った。その毒の強さがわかってしまったから。
そして、同時に感じていた。
(マズい……これは……)
彼らの能力、キロネックスとカエンタケは、生物界でトップクラスの毒の強さを誇る。
が、トップクラスは、あくまでトップ"クラス"なのだ。
彼らはしっていた。自分たちよりもさらに強い毒の持ち主がまだほかにいることを。
【ベルチャーウミヘビ】
インド洋東部からオセアニアにかけて生息する、黒と白の縞模様のウミヘビ。
この生物は、水陸合わせて全ての生物のなかで最も強い毒を操るといわれている。その強さは、実に一咬みで、一万人の人間、もしくは二千五百万匹のマウスが命を落とすといわれている程である。
降り立ったビットの表皮にうっすらと浮かぶ縞模様は、明らかにベルチャーウミヘビの模様と同様のものだった。
彼らは覚悟を決めた。もはや死ぬ以外に道はないと。
だが、そのときビットがとった行動は、理解し難いものだった。
突き刺さっている指を、いきなり引き抜いたのだ。
そのままでいれば勝ちなのに……
二人は理解ができなかった。
その視界が歪みはじめるまでは……
途中できったんで次話に続いちゃいます。
なんか勝手ですいませんね。
てか思ったんだけど班体制意味ないよね。
なんかもうあやふやなんで見逃してくださーい。