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AGGRESSION  作者: TIGER
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第2章 第2話 始まりの兆し

訓練が終わる。窓から夕日がさしこむ。もうみんな、夕飯を食べる準備に行こうとしている。そんなざわつく中、放送が入る。

『隊員全員、エントランスホールに集合してくれ。総合会議を行う。』

食堂に向かってた隊員たちが、エントランスホールに集まり始めた。


全員の集合が完了した。前には、元リーダーの3人が立っている。

『まず、始まる前に、言っておく。今期の敵は、黒いヤツだ、見た人もいるんじゃないか?そいつらをこれから"ビッド"と呼ぶからな。』


そしてヘラが再び口を開いた。

『これから、リーダーの指名と、チームの発表を行う。指名された者は前に出てきてくれ。』

ホールがざわつく。

『前に出ている4人はもちろんリーダーだ。あと静かにしろお前ら。まぁ落ち着け。』

静かになると、ヘラは続けた。

『じゃあ発表するぞ。1人目は……』

隊員全員が息をのむ。そして、緊迫した空気が漂う。

『ユーキだ!』

拍手が起こる。ユーキが前に出る。

『さぁ自己紹介しろ。名前、年齢、あと特技かなんか』

ヘラが促す。ユーキは真顔で応えた。

『えっと……名前はユーキ、16歳、特技は人間観察、あとは機械いじりも得意っす。あ、あとこれは特技というのかわかりませんが存在感消すこともできます。』

さらに説明を加えると、身長は158cmと低め、体重は46kgと身長の割には標準的、暗い面が多く、モテない。が、人望が厚く、人からは好かれやすい一面もある。あと、超が付くほどのドS。

『好かれ……やすいのか?』

いや、誰に聞いているのだか。



『さぁ、次行くぞ。2人目は……』

隊員全員が再び息をのみ、緊迫した空気が漂う。

『アカネだ!』

『はぁい!』

元気な返事とともに、アカネは前に出た。

『じゃ、自己紹介だ。えっと、名前、年齢、特技、あっあとスリーサイズを……』

イズミとイズネが思いっきり軍長の頭をしばく。

『冗談だよ!わかったわかった悪かったって。』

ホールに爆笑が巻き起こる。ヘラが謝り終わると同時に、アカネが自己紹介を始める。

『アカネですっ!歳は16歳!特技は、裁縫とか料理とか、家庭科系ならなんでもできます!で、スリーサイズは……』

『いやいやいや!言わなくていいんだよ!』

ヘラ全力で止める。

『冗談ですよ。もちろん言う気ありませんよ!』

再び説明を加えるが、身長は156cmぐらい、体重は……女性のだから控えておこう。性格は、ユーキとは対照的で、明るく元気で優しい、イズネのような性格である。ちなみに、運動はそこそこでき、勉強は、隊員中でトップクラスである。

『そんな褒めないでくださいよー。』

いや、だから誰に言っているのだ。



『さっ、気を取り直して。3人目、第三期のEDFランキング堂々のトップは……ウルズだ!』

拍手、歓声が巻き起こった。ウルズは、みんなに手を振りながら前に出た。

『さて自己紹か……』

と、いいかけたところで、ウルズはマイクを取り上げ、勝手に喋りだした。

『俺はウルズ、20歳ちょうどだ!特技っていっても、苦手なのが勉強ぐらいだからな。その他は特技だ!あと絶賛彼女募集中だからな!よろしく!』

説明といっても身長と体重ぐらいだろう。身長は182cm、体重は68kg、筋肉質なカラダだ。あ、あと勉強だが、他の優秀さが嘘のようにできないのだ。いや、ほんとに、アホの極み。

『ちょっと言い過ぎだろ、その通りだけど……』

いや、ほんと誰にいっているの?



『以上!総合会議を終了する!あ、チーム表はここに貼っとくから見とけよ。いつでも出れるようにな。あと明日の昼過ぎに実践の授業するからこのエントランスホールに2時集合な。じゃあ解散!』


言い終わった直後、入口の上方の壁が破壊され、一体の

ビッドが現れた。破壊されたところから、きれいな星空が覗く。隊員の顔に、焦りの色が浮かぶ。どうやら一体だけの様だが。

『ふーん、丁度良いじゃん。』

ヘラはクスリを取り出した。

『おまえら!よぉくみとけ。明日の実践の授業の参考にでもするんだな!』


ヘラがクスリを射つと同時に、ビッドは殴りかかってきた。だが、ヘラはその拳を自らの手で受け止めた。そして逆の手の拳を、ビッドの脇腹めがけ飛び込ませる。

軍長の勝ちだ!だれもがそう思い、安心感から笑顔がこぼれる。


ブンッ……


空気を切る音。空振りだった。

隊員たちから再び焦りの色が甦る。

だが、最も焦っていたのはヘラ自身だった。

(くっ……まずい……)

ビッドがヘラめがけ瓦礫を投げつける。

ヘラの顔に、さらに焦りの色が滲む。

もうだめだ。そう思った矢先、正面に1つの人影が飛び入る。ウルズだ。激突音とともに、瓦礫の破片が飛び散る。ウルズは腕であの瓦礫を防いだのだ。だが、ウルズは余裕の表情だった。

『さすが、ランキング一位だな。』

『まぁね。ありがとうございます。』

開いた穴から吹き抜けていた風が止まる。数匹のビッドが集まってきた。

『マジかよ……』

合わせて4匹。まだ謎の多いビッドに対して、少人数で挑むのは危険が伴う。

『ちっ……やるしかねぇか……』



すると、新たに二つの人影がヘラの前に現れた。

『アカネらがいるじゃんか!』

『実践って意味では……良い経験じゃないか?』

アカネ、そしてユーキ、この2人だ。

『ふぅ、この際仕方がない。充分に気を付けろ。』

『はい。』『ラジャー!』

元気な返事が響いた。

『よし、1人1匹だ。できるなら生け捕りにしてくれ。研究のためだ。』

2人は注射器を射つ。始まりの合図だ。

『さ、行くぞ。人間の力を思い知らせてやろう。』





秋の冷たい風が吹き入る。多少でも、汗をかいたカラダは、冷えていっそう寒さを感じさせる。

『3体捕獲だな。』

ヘラが言う。

『まったく……アカネが殺しちゃうからぁ』

『だって私の能力生け捕りに向かないんだもんー。』

アカネがむっとする。

ユーキは無口で歩いている。

『ねぇ、ユーキも仕方ないと思うよね!』

あまりに唐突な質問だったので、ユーキはかなり驚いた様子。

『まぁ……確かにあの能力じゃあなあ……』

ユーキは目を泳がせて言った。

『ほらー!ユーキだって言ってるじゃん!』

『わかったわかった』

ウルズは受け流した。ヘラが口をはさむ。

『アカネってほんとイズネそっくりだな』

『えへへぇ、でもあんなに強くないですよぉ』

『お前ならすぐ抜かせるよ。あんなバカなやつ。』

ヘラは、笑いながら冗談めかして言う。と、ヘラのお尻に鋭い蹴りが入る。まさかの………

『…………イズネ?』

『……誰がバカなんですか?』

『ひえぇぇ、こえぇよお前。怖い女はもてねぇぞ?』

ブチッ『えっ?ちょっ……』


『そんなに怒らなくても……』

『あぁ?なんか言ったか?』

『いや、はい、すいません……』

ヘラのカラダにはいくつもの傷。そして正座。もはや礼儀など微塵もない。むしろ立場逆転である。

ユーキは持ち歩いているノートパソコンをいじり、ウルズは爆笑、アカネは自分のせいかとオロオロしている。

『もう2度と言うな。わかったな。』

『はい、すいません。』

『じゃあ許してあげるっ!』

切り替えが早すぎる。

説教が済むとイズネはそそくさと自らの部屋に戻っていった。

『あ、あのっ、すいません、私のせいでなんか……』

『いや気にしないで、大丈夫だから』

『やべぇ面白すぎ軍長。』

『うるせぇ。』

『あの……いつもイズネさんってあんなんなんですか?』

『いや、いつもはもっと優しいぞ。てか今までキレたとこなんて見たことなかったからな。』

そこでヘラはある疑問を抱く。

『なんで……イズネどうしたんだ……?』

冷たい風が吹く。4人は、1つの疑問を残し、自らの個室向かうのだった。





『…………で、あの怪物の経過はどうなの?』

『ハッ、只今は……』

書類を取りだし女性にわたす。

『ふん、狼、豹、熊……』

書類を黙読する。

『まぁこんなとこね。引き続き研究をして。』

『ハッ!』

部下らしき者は去った。

『さぁ……この人たち……どれだけ強いかしらねぇ……』

その目線の先には……ヘラたちの写真が……。




次の戦争が……始まろうとしている。



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