観覧車の前で盛大な拍手が巻き起こった。
観覧車が揺れる。
ぽろっと向日葵型のポーチが落ちた。
下が阿鼻叫喚になる。
ネットやマットが運ばれて来て下で用意される。
動きだした観覧車の背に子供が乗り、係員が止めた時には天辺にいたのだ。
半狂乱になった母親を止め、観覧車の骨組に一人の男が飛び付く。
スルスルと登って行くのはその遊園地に興行に来ていたサーカスの軽業師。
必死にでっぱりに縋る子供に辿り着く瞬間、風が無情に観覧車を揺らす。
子供が落ちたのを見て母親がふらりと倒れ込んで父親に抱き止められる。父親も見ていられないと下を向いた時、わっと声が湧いた。
上を仰いで、父親はホッと息を吐く。
天辺より一つ下の観覧車の上で、子供を抱えた男が優雅に一礼していたのだ。