プロローグ
『半身を探している』と鴉の女の子は言った。
『半身などこの世界にはいない。探すだけ無駄だぞ』と雀の男の子は返した。
『じゃ、別の世界へ行ってみる?』と燕の女の子は提案した。
これは、鴉と雀と燕。
この三匹の鳥達の物語。
『別の世界へ行くってどうやって?』
『魔法使いに頼めばいい』
『魔法使いはどこにいるの?』
魔法使い。
魔法使いは魔法学校に沢山いる。
大人の魔法使いや子供の魔法使い。若い魔法使いや老いた魔法使い。男の魔法使いや女の魔法使い。
沢山のありとあらゆる魔法使いが、魔法学校には存在している。
だけど魔法学校の健在する中央都市には強力な結界が張りめぐらされていて、『鳥』である三匹がその中に入ることはとても難しい。出来ない、と言ってしまってもいい事だろう。
中央都市。その中の魔法学校に入れなければ、魔法使いに会う事は出来ない。魔法使いに会えなければ別の世界へ行くことも出来ない。半身は探せない。
『じゃあ』
じゃあ、はぐれ魔法使いに頼めばいい。はぐれ魔法使いは学校には行かない。学校がある中央都市には住んでいない。結界の外に住んでいる。結界の外の森の中にいる。
だからはぐれ魔法使いに会うことが、三匹の鳥達にも可能だ。
『だから』
はぐれ魔法使いに会いに行こう。
そして、半身を探して自由に飛ぶのだ。
広い、広いあの空へと。
自らの翼をはためかせて。
これは三匹の鳥達の物語。
そして、はぐれてしまった魔法使いの物語。
また、二人の姉弟の物語。
魂をめぐる悲しく儚い物語。




