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リアル・ゲーム  作者: 多田間
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序章

 俺、高伊裕樹たかいゆうきは成績が悪い。小学生の時は受験勉強をしていたからテストで100点を連発していたが、受験に受かって大学までエスカレーターの私立の中学校に通い始めてからは成績はどんどん落ちていき、中学の卒業が危ういほどだった。必死の努力で何とか高校に進学し、今日4月15日はその入学式だ。周りには同じ制服を着た生徒がちらほら見える。

 俺は川のそばの桜並木を通って春らしい風に当たりながらのんびりと歩いていた。学校まではそう遠くないし時間にも余裕がある。遅刻することはないだろう。そう思いながら舞い散る桜を眺める。この桜並木は町の中でも特にきれいで、お花見にも何回も来たことがある。

 ここ、大見市は俺の生まれ育った町だ。そんなに大きな町というわけではないが、町から出なくてもたいていの買い物は済ませることができる。遊ぶところもあって退屈することはない。

「平和だなぁ」

 と、口に出してみる。この町は本当に事件などがほとんどおきない。地震や火事も一度も起きたことがないのだ。そんな町だからこそ俺は好きなんだけどな。

 高校生活もどうか平和でありますように、と心で念じながら歩みを続ける。そんな中、俺の背後から声が聞こえてきた。

「ちょっと、ユウ! なんで置いてくのよー!」

 振り返ると走ってきたらしく、ぜいぜい言いながら話しかけてくる女子がいた。

 髪はショートカットで肩に触れるか触れないかぐらいの茶色がかった黒。頭の右側にピンク色の髪留めをしているが、どうやら寝起きのようで髪があちこちではねている。目は大きく顔だちも整っていて、猫耳がよく似合いそう。身長は俺より少し低い程度でほとんど同じだ。身体はほっそりとしていてスカートからのぞく足はとても白い。ただ1つ、胸が足りないのが惜しい所だ。別に俺は巨乳とかに興味はないがな。

「そりゃあんだけ幸せそうに寝てたら起こす気も失せるさ。枕しっかり抱いてよだれ垂らしながら『もう放さないんだからね~』とか言ってたぞ」

 どういう意味か、そして枕はいったい何の変わりだったのかは知らないが。

「なっ!! うー、それでも置いていくことはないじゃない!」

 といいながら顔を真っ赤にして俺が歩き出すとその隣についてきた。

 彼女の名前は高野紗友莉たかのさゆり。俺の……幼馴染、というか生まれた時からずっと一緒にいるので、もはや赤子馴染みである。生まれた日も、病院も同じ。幼稚園、小学校と全て同じクラスで席も必ず前後か左右。遊ぶ時も必ず隣にいて、お風呂も一緒だった。さすがに小6で恥じらいを覚えたが、普通は長くても小2までが限界だ。よく12歳まで一緒に入れたと思う。

 そして塾に入り、中学受験も一緒に受けて奇跡的にも合格。中学生になっても小学生の時ほどではないがやはり一緒にいることが多かった。

 とにかく何をするにもそばにいたやつだ。それは高校生になっても変わることがないだろう。

「サユももう高校生なんだから目覚まし無しで起きれるようになれよ」

 口にしてみたがよく考えたら今のセリフは女の子が男の子に言うもんじゃないか?

「うぅ、イジワルだよー。私が朝に弱いの知ってるでしょ? ……それに一緒に登校したいし」

 そう言われるとなにも言い返せなくなるじゃないか。どうも少し上目使いでこちらを見てくる顔に俺は弱いらしい。

 15年もの間見てきた顔だが、やはり「かわいい」の部類に入るのだろう。しかしなぜか一度も告白されたなどという話を聞いたことがない。

「わかったよ、これからはちゃんと起こしてやる。ただし、自分で起きられるように努力はしておけよ?」

 サユは夜10時にはちゃんと寝るのになぜか身長は伸びないし、朝は寝ぼける。中学生の時は直そうとしていたが途中であきらめたらしい。

 速さをサユに合わせて桜並木を歩く。するとサユはつぶやくように言った。

「……高校生活はどんなことが待ってるのかなぁ」

「今までと変わらないさ。きっと楽しい時間を過ごせるよ」

 そう答えながら歩く。


 俺は本当にこの町はこれからもずっと平和なんだろうと思っていた。でもそれは幻想にすぎなかった。

 今日の学校の入学式で、俺は命がけのゲームに巻き込まれることとなった。

どうも、とうまです。別の作品をほったらかしにして新しい小説の序章を書くというとんでもないことをしでかした男です。今回は結構まじめな話にしようと思いますのでどうか温かい目で見守っていただけると幸いです。

追申、「なんで毎回毎回幼馴染が出てくるんだ!」だって?そんなもん幼馴染属性は神だからに決まってんだろうが!!

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