勘違いのプロローグ2回目!この世界を構成する7つの幻素――【地】【火】【水】【風】【宙】【光】【天】です
初めての投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
では、参ります!!
プロローグ2:パレットの再定義
「……あ、あれ? イサナギ、ちょっと待って。ルミエルくんの『光』の紋章……何かおかしいわ。タイムラインのシステムコード(世界の理)と、全然噛み合っていない気がするの……!」
レイラがバングルをかざしながら、困惑した声を上げた。
新しく仲間になったはずの少年ルミエルの周囲に漂う純白のマナ。それは確かに眩しく美しいものではあったけれど、この世界の根本的な構成データ(仕様書)に干渉し、セピア色を書き換えるための鍵にはなっていなかったのだ。
「――しまっ、た! 僕は次元転移のノイズによる負荷で、この世界の基本設定を根本から勘違いしていた……!」
僕は思わず自分の額を押さえた。前世のアニメーター時代、激務のあまり別作品の設定資料を脳内で混同してしまった時のような、冷や汗が背中を伝う。
(そうだ、この世界の基本レイヤーを構成する7つの幻素は――【地・火・水・风・宙・月・天】だ! 『光』なんていう属性は、最初からこの世界のシステムには存在していない……!)
「ルミエルくん、ごめん! 君のその『光の力』は、この大陸固有の未知の変異現象だったみたいだ。もちろん君が悪いわけじゃないし、村の人たちを救ったその力は本物だけど……僕たちが元の大陸へ帰るための『3つの失われた幻素』の鍵とは、別のデータだったんだ!」
「ええっ!? ぼ、ぼく、探してた人と違ったの……!?」 ルミエルがダイヤモンドの瞳を丸くして、お椀を持ったまま固まってしまう。
「ハッハッハ! 少年、相変わらず大胆なポカをやらかすのう! しかし、ルミエル坊主の力が村を救ったのは事実じゃ、これはこれとして『新規の追加設定』として、僕たちの旅のレイヤーに組み込んでおけば良いではないか!」 ゴルドンが大土鎚をハハハと叩く。
『ええ。ルミエルの固有エフェクト(光)は、この色褪せた大陸において、ノイズを退けるための強力な補助機能になるわ。……問題は、本当の意味でこの大陸のロックを解除するために探さなければならない、残りの3人のクリエイター……【火】、【風】、そして――【月】の幻素を持つ者たちね』
ノワールが黒髪をかき上げ、紫紺の瞳でセピア色の夜空を見上げた。
そう、この廃棄大陸は、ヴァルガの実験によって【火】【風】【月】の3つの幻素が完全に『オミット(抽出消去)』され、そのせいで世界全体の色彩と時間の流れがセピア色にフリーズしているのだ。
「探し直そう。本当の鍵を持つ3人の仲間を。……長老さん、この近くに、異常なほど強力な【火】や【風】、あるいは夜の象徴である【月】のマナを秘めた『風変わりな人』の噂はありませんか?」
僕が尋ねると、長老は衣服の砂を払いながら、深く、重々しく頷いた。
「……【月】、か。それなら、この結晶村から北へ数里進んだ先にある、決して色を取り戻さない永久の闇の森――『吸血樹の森』の奥深くに建つ古城に、その主が住んでおる。名は『ドラキュラ』。はるか古の時代に天幻卿ヴァルガとのチャンネル争いに敗れ、この地に封印されたという、月の幻素を司る高貴にして最凶の『吸血純血種(真祖)』じゃ……」
「ドラキュラ……! 月の幻素を持つ、吸血鬼……!」 レイラが息を呑み、僕の袖をぎゅっと握りしめた。
敵か、味方か。それは会ってみなければ分からない。けれど、その『月の人』に会わなければ、僕たちのタイムラインは完全にここで行き詰まってしまう。
「よし、みんな。本当の『3魔法の仲間探し』、仕切り直し(テイク2)だ! ルミエルも一緒に行こう。君の光が、その闇の森を照らす道標になるかもしれない!」
「うん、お兄ちゃん! ぼく、今度こそ本物の役に立ってみせるよ!」
こうして、勘違いから始まった新章のドタバタを修正し、13歳の少年調律師イサナギと仲間たちは、月の幻素を秘めた伝説の存在『ドラキュラ』の待つ、漆黒の古城へと向かって新たなフレームを刻み始めたのだった!
少年期編・新章『吸血樹のセピア森と、月の真祖ドラキュラ』
第1章:セピア色の「吸血樹の森」
結晶村を後にして北へ進むと、世界の背景はさらに不気味なものへと変貌していった。 目の前に広がるのは、葉の代わりに鋭い針のような結晶を茂らせた、巨大な木々の群れ――『吸血樹の森』。地中からマナを吸い上げるのではなく、通りかかる生物の血液(マナの生データ)を空気中から強制的にハッキングして吸い取るという、最悪のバグ植物の群生地だった。
「ひゃうっ!? い、今、木の枝が私の髪の毛を掠めて、マナを吸い取ろうとしたわ!」 レイラが慌てて杖を振り、身をすくめる。
「気を引き締めて。この森の中は、【宙】と【天】のグリッドも狂っているから、僕の魔力感知の精度が落ちている。少しでも立ち止まれば、森全体のオブジェクトに肉体を『吸収(上書き)』されちゃうよ」
僕は鉄剣を引き抜き、【剣スキル2:中割りの極意】の緊張感を全身に走らせた。
「少年、ここはワシに任せるがいい! 大地の盾で、木どもの触手を一括遮断してやるわい!」 ゴルドンが黄金色のアプデ大土鎚を構え、地面に重力波動を展開しようとした――その時。
『待って、ゴルドン。大地のマナを大きく動かせば、この吸血樹どもが一斉に活性化するわ。……ここは、新メンバーの出番じゃないかしら?』
ノワールが、後ろで緊張した面持ちで立っていたルミエルの肩に手を置いた。
「ルミエル、君のその『光の力(追加設定)』で、この不気味な森の影を一時的に消し去ることはできるかい?」
「うん、やってみる! ――ぼくのなかの光(固有エフェクト)……いっぱいに、ひらけぇぇぇ!!!」
ルミエルが小さな両手を天に掲げると、彼のダイヤモンドの瞳から、濁りのない純白の光の波動が、ドォォォォンと放射状に広がっていった。 それは世界の幻素ではない。けれど、だからこそ、この世界のルールで動いている吸血樹たちにとって、ルミエルの光は『読み込み不可能な未知のエラーデータ』だったのだ。
キィィィィィィン!!!!!
光に触れた吸血樹の触手(枝)が、システムエラーを起こしたように硬直し、次々と灰色に干からびていく。森の奥へと続く一本の美しい『光のパス(道筋)』が、目の前に鮮やかに切り開かれた。
「すごいよ、ルミエル! 完璧な画面効果だ!」
「へへ、お兄ちゃん、やったよ!」 ルミエルが嬉しそうに鼻をこする。
「よし、この光のフレームが消えないうちに、一気に森の最深部まで駆け抜けるよ!」
僕たちはルミエルの描いた光の道を全力で疾走した。背後では、エラーから復旧した吸血樹たちが悔しそうにウネウネと触手をのたうち回らせていたけれど、僕たちの速度にはもう追いつかない。
そして、森の最深部――霧が立ち込める巨大な崖の頂上に、その『異形』は聳え立っていた。
黒大理石で作られた、天を突き刺すような巨大な尖塔を持つ古城。 周囲には、失われたはずの【月】の幻素の残光が、紫色の怪しいオーラとなって幾重ものレイヤー(結界)を形成し、城全体を世界のノイズから完全に隔離していた。
ここが、月の幻素を司る真祖――ドラキュラの城。
第2章:漆黒の謁見室と、洗練された「血のワイン」
ギィィィィィ……。
僕たちが城の巨大な鉄の門に近づくと、触れてもいないのに、門は自動的に内側へとフェードインするように開いた。 城の内部は、外のセピア色の世界とは打って変わり、驚くほど絢爛豪華な調度品で満たされていた。赤絨毯が敷き詰められた長い廊下の両脇には、中世の騎士の鎧が整然と並び、天井からは巨大な水晶のシャンデリアが吊り下げられている。
「……お邪魔します。……誰か、いませんか?」 レイラが恐る恐る声を出すが、返事はない。
廊下の突き当たりにある、一際大きな黒檀の扉が、ゆっくりと開く。 その奥は、一面の窓からセピア色の月光が差し込む、広大な『謁見室』だった。
部屋の中央、深紅の玉座に、一人の男が優雅に足を組んで腰掛けていた。
その男の姿を見た瞬間、僕たちのパーティー全員に、ビリビリとした『格の違い(圧倒的な作画クオリティ)』によるプレッシャーが走った。
年齢は30代前半ほどに見える。整った冷徹な顔立ちに、雪のように白い肌。纏っているのは、裏地が血のように赤い、漆黒の極上マント。そして何より、その髪は深みのある『銀髪』であり、その瞳は、夜空に浮かぶ満月のように妖しく輝く【月】の黄金色だった。
手にしたクリスタルグラスの中で、ドロリとした濃紅色の液体(マナの生データ)を、優雅に揺らしている。
「――久しいな、人間の『調律師』の雛よ。いや……今はヴァルガの犬に追放された、迷子の迷子と言うべきか」
男の声は、鼓膜を直接マナで揺らすような、低く、冷徹で、そして退廃的な美しさを秘めたものだった。
「あなたが……月の幻素を司る真祖、ドラキュラさんですね」 僕は鉄剣の柄に手をかけつつも、まずは大人の礼儀(交渉のフレーム)を保って一歩前に出た。
「その通りだ。我が名はドラキュラ。この色褪せたスクラップ・ワールドにおいて、唯一『夜の記憶(月のパレット)』を保持し続ける、孤高の管理者。……して、我が城に何の用だ? 我の『血のワイン(リソース)』になりにでも来たか?」
ドラキュラがグラスに唇をつけ、妖しく微笑む。その瞬間、彼の背後から、数万匹の『影の蝙蝠』の残像がブワッと展開され、謁見室全体の空気が、一瞬で彼の支配下へと書き換えられた。
「ワシらを脅そうとしても無駄じゃぞ、ドラキュラ! ワシらはこの色褪せた世界に【火】【風】【月】の幻素を取り戻し、元の世界へ戻るために、お前さんの力を借りに来たんじゃ!」 ゴルドンが大土鎚を前に構え、威嚇する。
「フン、ドワーフの老いぼれが。……力を貸せ、だと? 傲慢だな。天幻卿ヴァルガによってこの大陸の設定が消去されてから数百年間、我は退屈なセピアの時間をただ消費してきた。今更、人間の子供の我が儘に付き合う理由など、我がタイムシートのどこにも存在しない」
ドラキュラは冷たく言い放つと、グラスをパチンと鳴らした。 その瞬間、僕たちの足元の赤絨毯が、無数の『血の刃』へと変貌し、僕たちの肉体を下から突き刺そうと急浮上してきた!
「みんな、下がって! ――起動! 【剣スキル2:中割りの極意】!」
15コマの世界。 僕は瞬時に鉄剣を水平に一閃した。 上ってくる血の刃の『1コマごとの物質化の隙間』に、僕の剣のマナを割り込ませ、その結合データを強制解除する。
キィィィィン!!! という硬質な音と共に、血の刃は僕の鉄剣の前に、一滴の液体となって床へとポタポタと落ちた。
「ほう……? わずか15コマのフレームレートの中で、我が『真祖の血呪』のタイミングを完璧に見切り、中割りで相殺したか。……人間のガキにしては、なかなかに面白い素材だな」
ドラキュラの黄金の瞳に、微かな興味の光が灯る。
「ドラキュラさん。あなたが退屈しているなら、僕が『最高の演出』を提案します。……あなたが今まで一度も口にしたことがないような、あなたの乾ききった【月】のマナを極限まで活性化させる、最高の『血の代替食糧』を、今この場で作ってみせます。もし、あなたがそれを『美味い』と認めてくれたなら――僕たちの『月の仲間(新メンバー)』になってくれませんか?」
僕は【収納1】を開きながら、まっすぐにドラキュラを見つめた。
「ククク……ハハハハハ! 面白い、面白いぞ、調律師! 我が数百年間の退屈を、たかが人間の料理で埋めようというのか! 良いだろう、その挑戦、受けて立つ。……もし我の舌を満足させられなければ、そこにいる聖女の娘と、その光の小僧の血液を、一滴残らず我がグラスの『新作』として徴収させてもらうがな……!」
「――望むところです。……みんな、最高の『真祖の夜食』、始めるよ!」
僕はエプロンを締める代わりに、鉄剣の刃をきりりと引き締め、城の最高級の調理場へと向かった。
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
この作品を読んでくださる方がいていただけて、とても、うれしくありがとうございます。




