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前線基地への赴任

 ユーマとヒノカは数日後、軍本部からの転属命令で前線への補充要員としてカナタの待つ基地へと赴任することになる。

 

 その前線基地の作戦会議室で、カナタは特務隊グレイスの隊長として、新たな戦力を歓迎する為に基地に所属するライダーを集めていた。


「やあ前線基地に配属されている英雄諸君、今日は朗報を持ってきたぞ」


 カナタの言葉ににわかに沸き立つライダー達。

 前線で聞く報告など、どこぞの部隊が敗退しただの、あのライダーが死んだだの、気の滅入るような悲報はがりで、朗報など滅多に聞く事がないからだ。


「聞いて喜べ諸君、なんとようやくこの基地に新戦力の補充がまかり通った。

 しかもネイビーが2人だ。」


「今回はたった2人ですか。本部は随分出し渋りますなあ」


 カナタの言葉に大柄な部下の一人が呆れたように苦笑いしながら言うが、カナタは自信ありげにニヤリと笑う。

 部下達は知らないが、グレイスの隊長であるカナタは誰が配属されるか事前に知らされているので当然である。


 前線基地の司令官に新しく補充される2人のデータを渡された日の夜は、嬉しくて自室で小躍りしてしまった程だ。


「たった2人か、確かにそうかも知れんが、1人は成績優秀な私の妹で、もう1人は以前話した私のシロガネを受け継いだ奴だぞ?」


「確かにそれは期待出来ますが、実戦で使えますか?」


「前線で手一杯の君らは知らんかも知れんが、後方の懸念事項であった初心者狩りを片付けたのはこの2人だ。

 既に実戦で活躍している、問題は無い。

 まあ話を引っ張ると2人が緊張してしまうかも知れんから早速紹介しよう」


 カナタは会議室の出入り口に向かいながら言うと、扉を開け「さあ入ってくれ」と廊下で待っていたユーマとヒノカに微笑みながら声を掛けた。


「この2人が今回この基地に配属されたネイビーブルー。

 ヒノカ・マシロとユーマ・カザギリだ。

 地獄へようこそ。歓迎しよう、盛大にな」


「こ、この度配属されました! ヒノカ・マシロです! よ、よろしくお願いします!」


「同じくユーマ・カザギリです、よろしく」


 知らない人に注目されて緊張してしまったマシロと対照的に全く動じないユーマ。

 その2人を見ていたライダー達は予想以上の2人の幼さにざわついた。


「まだ子供じゃないか」


「こんな子供が最前線に」


「なんて時代になっちまったんだ」


 社会人として見ても、18歳というと高等教育を終えたばかりの年齢だ。

 そんな少年少女が戦争の最前線で戦う時代。


 嘆かない大人がいない筈もない。


 そしてそれ故に、2人の実力を疑う声も上がる。


「マシロ隊長の妹さんはともかくとして、その少年に本当にシロガネを継ぐだけの技量があるのですか」


 そういったのはカナタの小隊の隊員である女性ライダーだった。

 

「データは見せた筈だが? 私以外でヒヒイロカネを乗りこなせるライダーは彼だけだ。

 それとも私の言うことと私が持って帰ってきたデータが信用ならんか? アミナ」


 カナタの言葉にアミナと呼ばれた隊員は口を噤むが、何か言いたげにユーマを睨んだので、ユーマからアミナが言いたかったのであろう提案をする事にした。

 

「新人の腕を疑うのは無理ありません。

 データはデータ、実際に戦ったわけでもない。

 なら、試しますか?」


「ふむ、ユーマはこう言っているが。

 新人の腕試しに付き合う奴はいるか?」


 カナタとユーマの言葉にざわつくライダー達。

 すると、何名かが挙手した、カナタのお墨付きと戦ってみたいと思って挙手した者や、アミナの様に化けの皮を剥がしたいと思った者達だった。


「実機を壊すわけにもいかん、シミュレーターでの模擬戦となるが良いな?

 ユーマも良いか?」


「もちろん。構いませんよ、カナタ隊長」


 カナタとユーマがニヤリと笑い合う。

 その様子を見ていたヒノカは若干の嫉妬をした。

 それが姉に対するものなのかユーマに対するものなのか。

 いや、恐らく両方なのだろう。

 ヒノカは頬を少しばかり膨らませていた。

 

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