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サイクロプス蹂躙

 ユーマとヒノカの元に向かっているアステリアのCF、サイクロプスの前にスモークグレネードが数発撃ち込まれた。 


「グレネード!? 嫌、スモークか! レーダージャミング起動させろ!

 どちらかがグレネードランチャー持ちだ、狙い撃ちにされるぞ」


「それでは敵の位置も分からなくなります」


「良いからやれ!」


「……了解」


 この間にもスモークグレネードが撃ち込まれ、辺り一面は霧に覆われたかのように白い煙が立ち込めていく。


「ジャミング装置、起動確認しました」


「どうします隊長」


「このまま前進するぞ」


「了解」


 サイクロプスのコックピットで隊長が言うと、部下達は前進を始める。

 前列4機、中列3機、後列に隊長機一機という隊列を組み、サイクロプス達は進んで行くが、最前列に並んでいる4機が急に前進を止めたので、後ろの機体は何事かと警戒してライフルを構えた。


「どうした!? 何か見えたのか!?」


「煙幕で良く見えませんが、機影の様な物が見えます!」


「馬鹿め、わざわざ死にに来るとはな。構わん、前列4機発砲!撃て撃て!」


 ぼんやり映る影に前列4機のサイクロプスがライフルを構えて斉射を仕掛ける。

 

 その直後だった。


 隊長機の目の前を白い影が横切ったかと思うと、隊長機の左斜め前にいたはずのサイクロプスが地面に膝を付き、胴から上半分が横一閃に真っ二つに斬り裂かれて地面に落ちた。

 中のライダーもろとも真っ二つである。


「敵襲?! 右だ!右にいるぞ! 三時の方向だ!撃て!」


 通り過ぎた白い影を敵と判断するにはやや時間が掛かったが、アステリアの隊長は指示を出し、それに従い隊列を崩して全機が指示通りに射撃を開始する。


「視界の悪い状況で無闇やたらに発砲しても当たるかよ。

 マシロ!マーカー設置完了、バラ撒け!」


「了解!」


 サイクロプスの前を通り過ぎた白い影はユーマのシロガネだ。

 狙って敵機体を撃破したわけではない。

 レーダーがジャミングで使えなくなった為突撃がてら、敵の位置を確認しにきたついでにボケッと棒立ちしている1機を撃破したにすぎない。


 そして、ユーマは通り過ぎた際、位置を光で味方に知らせるマーカーを地面に設置。

 ヒノカはハガネの両手にそれぞれ持たせたバレルマガジン式のグレネードランチャーから今度はスモークではなく、爆薬満載のグレネードを赤い光の柱目掛けて適当にバラ撒いた。


「グレネードが! ヒッ、うわああ!」


「隊長!どうしたら、あ――」


「おいどうした! 何だ! 敵は2機の筈だろう!? さっき撃っていたのは――!?」


 グレネードの爆風でスモークが晴れていく視界のその先、アステリアの隊長の視線の先には地面に突き刺さり、弾痕だらけになった盾があるだけだった。


「こんな子供騙しに、私は引っ掛かったのか」


 晴れた視界に爆散した自軍のサイクロプス4機を見て、隊長機が後退った。

 その後退った隊長機の頭部を後ろからシロガネがブレードで貫き破壊する。


「ぐおお! メインカメラをやられた!? お前達、私を守れ! 敵は背後だ! おい誰か! おい! 応答しろ!」


 グレネードの雨に混乱している間に回り込んだシロガネのブレードに頭部を破壊された隊長機のサイクロプスのコックピットはモニターが完全に沈黙。

 外の様子は隊長には通信越しでしか一切伝わらなくなってしまった。


「お、鬼だ。白い鬼が――――」


「く、来るな! 来るなぁああ!」


「おいどうした! おい!」


 隊長の耳には銃声と部下達の悲鳴しか聞こえなくなっていた。

 コックピットハッチを開けば限定的に視界は確保出来る。

 そう考えた隊長はコックピットハッチを開くが、そこに無事なサイクロプスの姿は一切無く、サイクロプスを斬り裂いて飛び散ったのであろう、オイルを返り血の様に浴びたシロガネがブレードを肩に担ぎ、佇んでいるのが見えただけだった。

 

「はじめまして、アステリアのクソ野郎。

 捕虜になるか、ここで死ねか、どっちが良い?」

 

 コックピットハッチを開いたアステリアの隊長に、少年の声がスピーカーを通して聴こえてきた。

 少年の声の筈だが、アステリアの隊長にとってはソレが死神の死の宣告の様に冷たい物に聞こえたに違いない。

 アステリアの隊長は恐怖からか、腰を抜かして動けなくなってしまった。

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