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襲撃

 ユーマは機体の操縦桿を握り、ペダルを踏む。


 格納庫に並ぶユーマの機体を含めて5機のCFの頭部、人で言うところの目に位置するセンサー搭載のバイザー型カメラに光が灯った。


「各機発進、隊列を乱すなよ?」


 教官の機体と指揮車を最後尾に伴い、5機のCFは訓練場代わりに使用している廃都市へと出立していく。

 もちろんこの移動も訓練に含まれている。

 

 そんな基地から発進したユーマ達の機体を遠方から双眼鏡で覗いている人影があった。

 その人影がライトでもって更に遠方の廃ビルに潜む人影にモールス信号を送る。


「予定通り、雛が巣から出たか。律儀だな、イーステルの人間は」


「仕掛けるっすか?」


「阿呆、ここで仕掛けても直ぐに援軍が来るだろうが。雛鳥が巣から十分離れてからサクッと狩って帰る。それが俺達の任務だろ?」


「しかし、なんで候補生なんか狙うんすかね?」


 廃ビルの中、ボロを羽織った男が2人、話しながら階段を降りていく。

 

「イーステルのライダーは手強いのが多いからな、出る杭は打たれるってやつだ。災の芽は若いうちに刈り取るべしってな」


「まあ確かに、経験を積まれてエースが育つよりは良いっすけど。雑魚相手はつまんねぇっすよ」


「言うじゃねえか、まあ確かにその通りだがな」


 怪しい人影に気が付く筈もなく。

 ユーマを含めた候補生達は廃都市へと向かって行った。


「ユーマ機速度を上げろ、置いていくぞ」


 候補生の中だけではなく、イーステル軍全体で見ても珍しい女性ライダーで、今期の候補生の成績トップであるヒノカ・マシロに言われ、ユーマは悪態をつくでもなく「すまない、合わせる」と言いながらペダルの踏み込み加減を調整する。


 その様子を後ろから見ていたCFに乗る指揮官と指揮車にいるオペレーターは今期の候補生の評価を行っていた。


「どう見ます?」


「まだ移動だけだろう。まあでも悪くないぞ今期の候補生は。皆初めての実機でちゃんと行軍出来てるからな」


 CFは人型だが基本的な移動は足裏と踵部分に内蔵された無限軌道を駆動させての走行が主だ。 

 歩く動作は基本的に余程の悪路でなければ行わない。


 CFの実戦導入当初、イーステルが戦場で優位にたてたのはこの無限軌道による戦車以上の移動速度と、人型故の銃火器の取り回しの良さ、柔軟性による。

 そんな機体を一人で操るのは容易ではない。

 

 故にフレームライダーは候補生と言えど貴重な人材なのだ。


「ポイントに到着、訓練を開始します」


「よし、安全ロックを解除。実弾演習を開始しろ」


「了解」


 通信を切り、各員隊列を崩さずに廃都市に仕掛けられた訓練用のダミーを破壊していく。

 ユーマは他の候補生に比べるとスコアでは劣っていたがそれでも確実にダミーを破壊していった。


「ダミーの反応消失。訓練終了しました教官」


「通信……害……総員!……しゅ……警戒!!」


 ユーマ達、候補生の耳に聞こえてきたぶつ切りの教官の声。

 警戒と聞こえ、一気に候補生の間に緊張が奔る。


「まさか……敵襲?……各機!警戒態勢!」


 近くにいたからかなのか、ユーマの耳にヒノカの声が聞こえ、その直後、指揮官がいた筈の区間で爆発が起こったのを候補生全員が確認した。


「教官の機体反応消失? 嘘だろ、何が?」


 その直後だった。

 ユーマの訓練機に程近いビルの壁をぶち破り、見知らぬ機体が現れたかと思うと、ユーマの機体を突き飛ばした。


 激しく揺さぶられる機体の中。

 ヘルメットを被っていたとはいえ地面に激しく叩きつけられてはあまり意味をなさなかったか、ユーマは頭をコックピットのシートに何度かぶつけ、少しの間気を失う事になる。


 そしてこの時、ユーマは前世の記憶を思い出す事になった。

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