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デート?

 最終試験が終わった翌日。

 ユーマとヒノカは2人きりで基地に程近い街を訪れる為に基地から借りた車を走らせていた。

 街に向かう為には地下のトンネルを進むルートと地上のハイウェイを進む2つのルートがある。

 

 2つのルートにはそれぞれ利点がある。

 地下トンネルルートの利点は全自動運転で車が街まで移動してくれるので楽という点。

 地上ルートの利点は景色を楽しめるので楽しめるという点だ。


 移動だけなら地下トンネルルートが遥かに楽だ。

 AIによる自動運転なら事故も起こらない。


 しかし、ユーマが選んだのは地上ルートだった。


 ハイウェイから見える森や湖を眺めながら街を目指して運転しているユーマはいつになく楽しそうだった。

 

「車の運転、出来たのね」


「なに言ってんだよ。軍に入った時に軍用車両の運転免許取らされただろ?」


「え、あ、ええ。そうだったわね」


 2人の年齢は18歳だが、軍人になる場合は運転免許取得は必須なので特例により車の免許の取得が可能になっている。

 ユーマとヒノカが免許を取得したのは16歳の頃の話しだが、ユーマが車を運転するのは今回が初めてだったりする。

 それでも難なく運転出来たのは前世の記憶があるからだ。


 上機嫌に運転するユーマを見て、ヒノカが顔を赤らめたが、それがなぜなのかはヒノカには分からなかった。


 なんでカザギリを見ただけでこんなに顔が熱いんだろう。


 そんな事を思いながら、ヒノカはパタパタと手で顔を仰ぐ。

 そんなヒノカの様子を横目に見ていたユーマは車のエアコンを付ける。

 窓を開けるとヒノカの髪がボサボサに乱れかねないと思ったからだ。


「暑かったか? すまない、気が利かなかったな」


「あ、ありがとう。そう、暑かった、暑かったのよ!」


「ああうん。だからすまないと」


「謝らないで! カザギリが悪いわけじゃないの」


「そうか」


 ヒノカは顔を助手席側の窓に顔を向けると、窓に反射して映った自分がニヤけている事に気が付く。


 トレーニングや訓練の時だって2人きりの時はあるのに、なんで今日はこんなに嬉しいんだろう。


 恋する乙女は自分の恋心が分からないようだ。

 ヒノカは幼い頃からフレームライダーになるために育てられた謂わばエリート。

 その教育課程に遊びや恋は組み込まれていなかった。


 ただ一人、姉のカナタだけが幼いヒノカにフレームライダーに不要な知識を与えてくれた。


 だが、当時のヒノカはまだ幼く、姉が良く言っていた「恋する乙女は最強よ」という言葉の意味が全く分からなかったのは仕方のない事だった。

 その姉の言葉の意味は今のヒノカも理解しているわけではないというのが現状だが。


 兎にも角にも、2人はドライブを楽しんだ後、街に到着。

 時間は正午、昼食にはちょうど良い時間だ。


 ユーマは予約していたホテルのレストランに車を向かわせ到着すると、車をボーイに預けてレストランへと足を踏み入れた。


「ちょっとカザギリ、こんな高そうな店大丈夫なの?」


「俺達の給料、基地にいると使い道無くて貯まってるから大丈夫だよ」


「でも……」


「まぁまぁ、女の子の前では格好ツケさせてよ」


 そう言いながらユーマは手を差し出した。

 マシロ家の令嬢としてマナーなどは学んでいるヒノカだ、それがエスコートの為の手だとは理解していた。

 理解していたが、やはりヒノカは恥ずかしかったのかおずおずと手をユーマの手に乗せた。


「なんだか手慣れてない?」


「恥かきたくないから昨日VRで勉強した」


「本当に真面目ねカザギリは」


「君ほどじゃないよ」


 約束通り、ユーマはヒノカに食事を奢り、さてどうするかとなった訳だが。

 せっかくの外出なので街を見て歩こうと言うことになり、2人はホテルに車を預けたまま街に繰り出した。


「何処か行きたい所とかある?」


「私、誰かと街に行くのは初めてで、よくわからないの」


 寂しそうに目を伏せるヒノカ。

 そんなヒノカにユーマは「俺が初めてとは光栄だね」と微笑み、携帯端末を操作すると画面をヒノカに見せた。


「これは?」


「今やってる映画の一覧、何か見たい映画ある?」


「ごめんなさい、よく分からなくて」


「OKじゃあ映画館に行ってから決めよう」


「え、ええ分かったわ」


 こうして2人は映画館へと向かっていった。 

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