ユーマVSカナタⅢ
ユーマ機、カナタ機の攻防は続く。
背部のブレードを抜きたいカナタに対して抜かせたくないユーマが猛攻を掛ける。
だが、流石にエースライダーであるカナタ・マシロの名は伊達ではない。
ユーマ機の斬撃を盾でいなし、屈んで避け、至近距離での戦いだというのに被弾する気配がない。
遂にはユーマ機が振り下ろしたブレードを一瞬横方向のスラスターを吹かして避けてみせると、左手の盾をユーマ機の関節に刺して喰い込ませ、捻ることで破壊し、無理矢理ブレードを奪った。
「私の勝ちかな?」
「いやいや、ここからだろ!」
ショルダータックルでも喰らわせるつもりなのか、ブレードを奪われてもユーマ機はカナタ機に猛然と突き進む。
「それでこそ、それでこそだユーマ!」
先程の自分の回避方法はユーマにも出来る事だと考えたカナタはユーマ機から奪ったブレードを横一閃に振った。
その様子にギャラリーからは「流石に終わったな」等の声があがる。
しかし、皆の予想に反し、ユーマはペダルを思いっ切り踏み込むと同時に操縦桿を片方突き出し、もう片方を思いっ切り引き込んで機体を側宙させると、カナタ機の後ろを取る。
カナタ機の背部のまだマウントラッチに接続されているブレードを残った片手で掴んだユーマは、カナタ機の背部のスラスターを踏み壊し、無理矢理ブレードを引き抜いた。
「手荒いねえ」
「勝ちたいからな」
冷や汗がにじむカナタは機体を回転させ、背中からブレードを刺そうとしたユーマ機を振り払う。
二人の攻防を見ていたギャラリーの中には整備兵達も混じっていたが、ヒヒイロカネの損傷具合を現実の機体にすり合わせて考えてしまったようで「……片腕損壊」「……背部マウントラッチ全損」「……スラスター圧壊」「……終わらない修理」「……残業、夜勤、うぅ助けて」と頭を抱える者が続出した。
二人の攻防は尚も続く。
スラスターの損傷により機動力に劣る事になったが、カナタは巧みに機体を操り、ビルを蹴りながらユーマの斬撃を避けるなどしてスキを見ては攻撃していた。
ユーマも片腕とはいえカナタ機とは違いスラスターは健在。
ビルの間を蹴って跳びながらの空中戦にもつれる。
だが、実戦経験の差が出ているのか、ユーマは攻めきれない。
遂にはブレードをブレードで受けた際に両機のレアメタル製のブレードは叩き折れた。
その様子にギャラリーのライダー達は湧き、整備兵達から悲鳴が漏れた。




