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第5話

「何だ今のコメツキバッタは」

「私はドラネコかと思いましたが」

「いえあのひとっ飛びは蛙かと」


 あらあらそうではありませんね、側妃様もおいでの様です。 


「父上母上、面白い出し物が今ちょうど終わったところですのよ。まあこれをご覧下さいませ」


 ほうほう、と気さくな国王陛下と王妃陛下、それに側妃様も私が持ってきたこの表の前にまでいらっしゃいました。

 そして一枚一枚を見て、次第に笑いが止まらなくなってきている様です。


「で、その真実の愛の相手は何処に行ったのだ?」

「あら父上、今ご覧になりませんでした? 一目散に走り去る黒い……を」

「まあそこまで言っては可哀想ではなくって?」

「私のお気に入りを困らせるのは……で充分ですのよ」


 ふむふむ、と状況を把握、そして大公殿下からの話も耳にされた国王陛下は。


「成る程、確かにこれは息子が悪い。いやあこれはもう、婚約は息子の有責ということで破棄としよう。マルタ、息子は何処におる?」


 マルタというのは側妃様の名前です。


「控えの間におりますが」

「呼んで来させよ」


 はい、と側妃様は侍女に命じます。

 第三王子サグド様はすぐにいらっしゃいました。

 側妃の王子ということで、のびのびとお暮らしになっていたにも関わらず、自分の義務は義務として、きちんとこなす方です。

 ただ女性については非常に不器用だと聞いておりますが。

 さて?


「お呼びでしょうか父上」

「ああ、実は今、ザイマトの婚約破棄が決まってな」

「ええっ! ではもしかして、自分がオーガスタどのに求婚しても構わないのですか!?」


 瞬時に沸騰致しました様です。


「ああ、昔と違い、きちんとした令嬢を選んでのち五年、という時間なのだが、……さすがにこの結果は酷いものがあるからの」

「そういえば確かにお茶会に兄上の姿はありませんでしたね」

「サグド、其方に王位を継がすかどうかはまだ判らないが、とりあえずお前にとってめでたいことに、彼女は自由にしたぞ」


 すると間髪を容れず、サグド様は私の前に跪き、手を取ると。


「兄上の婚約者として紹介されてからずっとお慕いしておりました。どうか自分と結婚していただけませんか」


 そう来ましたか。


「ありがとうございます。私も殿下を好ましく思っております(兄より確実に!)。では近いうちに私に対して自分自身のプレゼンテーションをなさってくださいませ」

「え」


 その場に居た王家の方々の目が点になりました。

 私はふっ、と笑うとゆっくり首を振り。


「それは冗談でございます。私も、今までのパーティで殿下とは気持ちよく踊ることができました」


 あら、と王女殿下が私のダンス相手の表をご覧になりました。

 確かに、サグド様とは結構踊っているし、踊り通しているのがその表から見て取れます。

 お茶会の記録には、第三王子の出席の記録もあります。

 そう、ここにあるのは、第二王子が不出来であると同時に、サグド様の私への関心の深さの証拠でもあるのです。

 私の意図がそこにあったかどうかはおいといて。


「これから宜しくお願いいたします」


 さて、また情報戦の始まりです。 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 王女さまのキャラ、好き! ( *´艸`)
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