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第2話

「ザイマト! あんた馬鹿? そもそもお母様の主催するお茶会というのは、最低伯爵令嬢でないと出席できないのよ! だからそれをオーガスタはやんわり『招待状はお持ちですか?』と聞いただけじゃない。それで持っていないと言うから、『それじゃあ参加なさるのは無理でしょう』と言っただけよ。と言うか、何でそこの男爵令嬢は、わざわざ来たのか、もの凄く私には謎なんだけど!」

「え、あの……殿下が、ぜひ私を王妃様にお引き合わせしたいと、そういうことで」

「でもザイマトは来なかったじゃない。ああそうか、あんたいつもの様に寝坊して遅れたのね! それでどうしたものかととりあえず来たこの男爵令嬢が、訳も判らず怒られた、と」


 図星の様ですね。

 確かに私達の目に耐えきれず、走って逃げ出した彼女の声が、ザイマトの声と共に私達の耳にも入ってきましたもの。


「ですので、これは非は無い、と」


 私は黒板消しで上の二項を消しました。

 すっきりしていい気持ちです。


「で、次にこれですが」


・王宮の花園で叱責かつ花を強奪


「な、何だよ、花園に入るのは貴族であれば構わないはずじゃないか」


 ザイマト殿下は焦りながら抗弁します。


「問題はその後でしょう? 私は花を取り上げた、と言いました。つまりトレミア嬢が花園の花を折って胸に付けようとしていたからです」

「……ああそれは駄目だねえ」


 ふむふむ、と周囲から声が飛びました。


「まあ、叔父様」


 王女殿下がその方に声をおかけになります。


「あそこの花は全て王宮のもの。王宮を飾る宝石の様なものさ。一つとして、陛下の任命した庭師が手入れする以外に摘み取る行為は禁止されていると、誰もこの子に教えなかったのかい」

「え……」


 トレミア嬢は私達とザイマト殿下の間で視線を往復させます。

 ちなみに叔父様、と王女殿下がおっしゃったのは、現在の王弟殿下、もしくは大公殿下とおっしゃる方です。

 常に現在の国王陛下の補佐をなさっている方ですが、普段は花や芸術や女性……こほん、を愛される趣味人です。

 ですので花園を荒らす者が居たということに我慢できず口をはさんだのでしょう。


「はい、ではこれも消しますね」


 私は更に黒板の字を消しました。


「さて問題の最後のこれですが」


・パーティに来ると物が無くなる


「この点においては、私のせいだと言うには、証拠が足りないのではないですか?」

「だ、だがトレミアの物が無くなっているのは事実で」

「そもそも何を取られたとおっしゃるのでしょう? トレミア嬢」

「え? あの、……財布……とか? 指輪…… とか?」

「何故?がつくのですか? ご自分が無くされたもの自体覚えていらっしゃらないと?」

「ば、バッグよ! この間の仮面舞踏会でバッグを無くしたわ」

「おかしいですね、確か仮面舞踏会ではバッグは入り口で預けておくはずなのですが」

「……!」

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