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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第八十四話 ハリー決意する

「んぐぅ んぐぅ んぐぅ んぐぅ ぷはぁ」



 エールで喉を締め付けてから、銀次郎は野菜スティックに手を伸ばす。

大根、人参、きゅうり、キャベツがカットされて木のカップに入れられている。

銀次郎は、きゅうりを選びディップにつけて一口かじった。



 冷えてないので、野菜はシャキッとしていない。

ディップはチーズを、お酢で伸ばしているのかな?

野菜スティックとしては屋台で作った我々の方が優れているが、それでもこの世界の野菜は美味しい。

自然な甘みや旨味があり、エールのつまみとしては充分だろう。



「エデルと前食事をした時に見つけて驚いたよ。これお婆さんの野菜スティックの真似でしょ?」



 野菜スティック自体は簡単だ。

ただ異世界にはマヨネーズも味噌も無い。

その中でチーズとお酢でディップを作り、野菜スティックを提供するお店の逞しさを感じる。

さてさて、次はソーセージに行っちゃうかな〜



 一杯目を呑み干し、お代わりしたエールが届いたのでソーセージにかぶりつく。

口の中に溢れ出る肉汁を、エールで一気に流し込む。

あぁ幸せだな〜



 ソーセージとエールの相性は抜群なので、何度も木のジョッキをあてて良い感じになってきた。

受付の娘は、野菜スティックにはミソマヨネーズが一番合うから、売り出したらと提案してきた。

異世界で味噌は作れそうにないが、マヨネーズはこっちの食材だけで作れる。

気が向いたら、マヨネーズ作ってみるよと伝えた。



「ミリア綺麗になったね…… 前から綺麗だったけど最近特に……」



 急にぶっ込んできたハリー。

ミリアはハリーの背中を叩いて、他の女の子にも言ってんでしょーと照れ隠しをしている。

いい感じですな〜



 聞き耳を立てながら、エールをグイッとやりお代わりをする。

受付の娘を見ると、ジョッキに口はつけているが止まったままハリーとミリアの会話を聞いている。

もっと上手く誤魔化しながら聞き耳を立てて欲しい。

彼女の分のエールも注文する。



 何となく受付の娘の方へ肩を向けて、ハリーとミリアの空間を作る。

もちろん我々はその会話をつまみにしながら、エールを呑る。



「王都にいた頃は目標とか無くて。魔法の才能はあったけど、この力を戦争に使われたくないからどこかで抑えていたんだ。派閥争いも嫌だったし。マインツの街に来て薬草収集を始めたけどこれは楽しかった。薬草は怪我をした人には必要だったから自分の居場所を見つけた気がしたんだ」



 何か深い話を始めたな。

ミリアが綺麗だなんてぶっ込んだんだから、そのまま口説いちゃえば良いのに。

恋愛には疎く奥手な銀次郎だが、人の事となるとオラオラ系になるのである。



「うん。私もよく助けてもらいましたね」



「ミリアが困ったら、僕はいつでも助けに行くよ」



 聞いてるだけで顔が赤くなる。

甘い展開にニヤつきながら、エールが止まらなくなった。

エールのお代わりをする銀次郎。

受付の娘も酔っ払ったのか、小声で僕も助けるよとふざけている。

人差し指を口に当てて、静かにする様に伝える。

聞こえたらこんな面白い話が終わっちゃうからね。



「ギンジロー」



 ハリーに声をかけられてビクンとなる銀次郎。

バレたかと思ったが、それは違うようだ。



「僕に商売の楽しさを教えてくれてありがとう」



 お互いのジョッキを重ねる。



「明日のハンバーグが終わったら王都に行ってくるよ。親にコンペートーを食べてもらいたいし、人に会って用事を済ませてくる。すぐに戻ってくるけどその間エデルの手助けをお願いできるかな?」



 ハリーにはもちろんと伝える。



「ミリア。金平糖は王都でいくらで売れると思う?」



 せっかくハリーが王都に行くなら、商売をしてもらおう。

ミリアが前に金平糖で商売をしたいって言ってたから、もしかしたらワンチャン私も王都に行くとか言わないかな?



「そうですね。大金貨1枚でも売れると思います。もしかしたらこのガラス瓶だけでも、その価値はあるかもしれませんが」



 銅貨8枚で買える金平糖が、大金貨1枚って本当にネットショッピングはチートだ。



「王都で有名な商会を教えてもらえるかな?」



「一番有名な商会はシュミット商会で、後はカールハインツ商会とヘルマン商会ですね。三大商会とも呼ばれるゴールドランクの商会です」



 ミリアにそれぞれの商会の特徴を説明してもらった。



「金平糖をこの商会に持ち込んで売ってきてくれるかな。それぞれ三個ずつ持ち込んで、相手がどんな感じで交渉してきたか、どんな対応だったかをそれぞれ教えてくれるかな。別に高く売らなくていいから相手の反応が知りたい」



 ハリーにお願いすると、ギンジローは面白そうな事をするねと笑ってくれた。



「王都の商業ギルドに仲良い人っている?」



 ミリアに聞くと年上だが王都の学校で同級生だった友人が、王都の商業ギルドで受付をやっているらしい。

もし王都の商業ギルドに金平糖の問い合わせが来たら、ミリアが担当していると手紙に書いてもらい、金平糖を知ってもらう為にプレゼントする。



 ハリーと金平糖の件は楽しみだが、商売の話をしてしまったので二人の甘い話が吹き飛んでしまった。

銀次郎は反省をしつつも、今日も楽しくお酒を呑めて幸せだと感じたのであった。

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