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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第八十一話 お泊まり

「昨日はやっちまったなー」



 目が覚めてふと昨日の事を考えると、マリアさんのお店で寝てしまい支配人さんに送ってもらった事を思い出す。

とりあえず頭の中をシャキッとさせる為に、庭に出て井戸水を何度も頭からかぶった。



 昨日迷惑を掛けたのでエルヴィスに会いに行ったが、エルヴィスは居なかった。

まぁ昨日帰って来なかったらしいので、完全なるお泊まりなわけだが……

エルヴィスのお母さんに、預かっていた物を渡して帰ろうとするが、息子が仕事をサボっていると怒っている。

仕方なくいつもの老舗の高級羊羹を渡すと、機嫌が良くなって近所の友達とたべると言って出かけてしまった。

お母さんも仕事サボりなのでは?



 お父さんに何かすみませんと謝って、ハングリーベアーまで歩いて戻る。



「ギンジローちゃんおはよー」



 クラーラさんの笑顔に今日も癒されていつもの席に座った。

無料のサラダとパン、後はスープのモーニングを頼むと、はちみつレモンも一緒に出してくれた。

ん〜 酸っぱいけど美味しい。



 話を聞くと、はちみつレモンエールが昨日すごく売れたらしい。

これからは定番のメニューにすると言っていた。

モーニングをたべていると、ハリーとエデルがやってきたので今日の分の板氷を渡す。



「ちょうど良かった。大聖堂の納品が終わったら紹介したい所があるんだけどいいかな? フルーツ盛り合わせ用の果物を用意して欲しい。あとこの瓶にカットした果物を入れて、この赤ワインで漬け込んでもらえるかな」



 そうお願いして、三つ目の鐘がなる頃に大聖堂前で待ち合わせをした。

出来ればミリアにも同席して欲しいので、商業ギルドに行って来れるか聞いてもらう事もお願いする。

ハリーには、ミリアと会う言い訳を作ってあげないとね。



 モーニングをたべ終わった銀次郎は、親方のところに行く。

一応扉の前で親方を呼んだが出てこないので、そのまま工房の中に入った。



「なんじゃ? 生ハムでも持ってきたのか?」



 あの生ハムはもう手に入らないかもしれないと伝えると、普段ぶっきらぼうな親方が一瞬悲しそうな顔をする。



「で、今日はどうしたんじゃ?」



 親方にお願いしたい事がある事を伝えると、お弟子さん達も作業部屋から客間にやってきた。

みんなにはコーラを出して、親方にはいつもの亀甲ボトルのウイスキーをテーブルの上に置いて見せる。



「親方にお願いしたいのはコレです」



 ウイスキーボトルの横にミンサーを置く銀次郎。

前にバーニーさんのミンサーを修理してもらった事があるので、親方はまた修理するのかと聞いてきた。

修理ではなく、これと同じミンサーを十個作って欲しいと伝える。



「少し待っちょれ」



 親方はミンサーを片手で掴むと、作業場へと消えていった。

その後をついていくお弟子さん達。

一人残された銀次郎は、コーラを飲んで待つ事にした。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「出来たぞ」



 親方とお弟子さん達が戻ってきた。

テーブルの上にはさっき渡したミンサーと、同じ形だが表面が少しキラキラしたミンサーが十個置かれた。



「親方凄いですね。こんな早く作れるもんなんですか?」



 銀次郎は素直に思った事を聞いたが、魔法を使って鉄を加工すればすぐに作れるとの事だった。

錆びないように、表面はミスリルを薄く伸ばして加工しているらしい。

ミスリルって……



 前の修理の時にもミスリルを使ってくれたが、ミスリルってどう考えても高いと思うんだけどな。

ウイスキーがあれば良いと言って親方はテーブルに置かれたウイスキーを手に取る。



「生ハムが食べたいのぅ」



 親方がボソっと呟いたが、あの三十六ヶ月熟成の生ハムは売っていない。

さっきも言ったが手に入らない事を伝えると、親方の背中が何だかちっちゃく見えた。

親方にお金を払おうとしたが受け取ってくれなかったので、代わりにウイスキーを追加でアントニオさんに受け取ってもらう。



「あの生ハムは無いですけど、これを火で炙って呑っちゃって下さい」



 銀次郎の好きな鮭とば界のスーパースター、とば二郎を渡しておく。

噛めば噛むほど味が出る、とば次郎は最高だよ。



 後は二十四ヶ月熟成の生ハムの原木も渡しておいた。

これで親方が元気になってくれたらいいな。

ミンサーをアイテムボックスに入れて、銀次郎は工房を出る。



 工房を出てエルヴィスの店にもう一度行くと、エルヴィスは戻っていたが今日は外出禁止令が出されたらしい。

酔っ払って寝てしまった事を謝りつつ、昨日は楽しかった事を伝えたのであった。

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