第八話 コーエンさんと化粧の出会い
化粧の事なんて分からないのに、書きたくなって書いちゃいました。
おかしな点やアドバイスがあれば教えてください。
この後の化粧のストーリーは何となくあるんですが、筆がまったくすすみません。
銀次郎は今ピンチである。
目の前にいるメイド長のコーエンさんから、質問攻めにあっている。
銀次郎も分かる事ならいくらでも答えるが、分からない事を聞かれて困っている。
お茶会の打ち合わせは、銀次郎の分かりやすいプレゼンもあり上手く進んだ。
参加者のたべれない物や、好みなども確認出来たので良かった。
バースデーケーキのサプライズは、相手が喜ぶ顔を想像して行動すれば大体大丈夫だろう。
本番は細かいトラブルがあるかもしれないが、そのトラブルすら楽しむのがサプライズだと伝える。
誕生日プレゼントの確認の話になり、銀次郎は頼まれていた物を取り出した。
有名ブランドの化粧品と、高級基礎化粧品セットだ。
ソフィアから受けた注文は全部で四セット。
お誕生日のアイリスお嬢様、友人のライナお嬢様。
ソフィアの母親と、メイド長のコーエンさんの分。
せっかくならソフィアの分も有った方が良いと思い、合計五セットをネットショップで購入した。
執事のセバスチャンが四セットを受け取り、残りの一セットは、メイド長のコーエンさんが受け取る。
「ソフィア様、私が頂いて本当に宜しいのでしょうか?」
「もちろんよ。ギンジローがお化粧の話をしてた時、すごく欲しそうにしてたでしょ。コーエンがお化粧を覚えて、お母さんにお化粧してあげてね」
涙を浮かべ深々とお辞儀をするコーエンさん。
貴族の事はよく分からないが、使用人にまで気を遣える人ソフィアがなんか良いなと思った。
「ソフィア様ありがとうございます。この御恩は一生忘れません。お化粧を覚えて、ソフィア様が私に化粧品を与えて良かったと思える様、精一杯努力致します」
女性に歳の事は聞けないが、コーエンさんはたぶん三十代後半ぐらいだろう。
長身で手足も長くモデルさんみたいだ。
「ギンジロー、コーエンにお化粧を教えてあげて」
困ったのは銀次郎。化粧の事なんて全然分からない。
しかし先程まで、相手が喜ぶ顔を想像して行動しよう。
トラブルすら楽しむのがサプライズだと、偉そうに言っていた身である。
「かしこまりました。まずは基礎化粧品の事について説明しますので一度やってみましょう」
女性のお化粧なので、セバスチャンにはこの場を離れてもらう。
「まずは洗顔ですね。まずは顔を綺麗にしましょう。ぬるま湯を使って、この石鹸で顔の汚れと脂を落とします。きめ細やかな泡ですので、ゴシゴシ顔を擦らず、手のひらにためた泡で優しく洗い流してみてください」
この世界にも石鹸みたいな物はあるが、こんなに泡が出て汚れが取れる物は無いらしい。
メイドのアメリーに手伝ってもらいながら、コーエンさんは顔を洗いタオルで優しく水分を拭き取る。
「顔を洗うだけで、こんなになるなんて知らなかったですわ」
綺麗になったお肌を触るコーエンさん。
メイドのアメリーは、コーエンさんを見てうっとりしている。
「次は化粧水です。これでお肌に潤いを与えていきます」
「潤いですか?」
男性から見たら何の問題もないと思うが、女性からしたら深刻な問題なのだろう。
この辺はあまり突っ込まず、淡々と進めていく銀次郎。
「次はこの美容液を使います。化粧水でお肌に潤いを与えた後、美容液でお肌に栄養を与えていきます」
何もない状態でも綺麗だったコーエンさんだが、肌に艶と潤いが加わり眩しいほどに綺麗になった。
最後は保湿です。この艶々でぷるぷるになった肌を、クリームを使って閉じ込めます。
基礎化粧が終わったので、セバスチャンを呼びコーエンさんを見てもらった。
セバスチャンは一瞬目を見開いたが、すぐに仕事モードに戻る。
あの冷静沈着なセバスチャンでも驚くほど、女性が変わった瞬間だった。
ここまでは良かった……
基礎化粧の事は、テレビや雑誌で何となく知っていたので伝える事が出来た。
しかし化粧品セットの方は、有名ブランドのを購入しただけで、使い方なんてわからない。
基礎化粧品は、聞いただけの知識をあたかもプロのように説明し、コーエンさんを劇的に変化させる事が出来た。
この時点で相手の期待値は、限界突破してしまっていた。
コンシーラーがシミを消す事ぐらいは分かるが、アイシャドウやチークなんて何となくしか分からない。
説明出来ずあたふたする銀次郎。
コーエンさんとアメリーの期待の眼がとても苦しい。
ソフィアも心配そうにこっちを見ている。
そんな時助けてくれたのはセバスチャンだった。
「ギンジロー様が、物事全てを知っているわけではございません。ギンジロー様は奇跡をひとつ起こしました。後はメイド長がお化粧を試しながら、研究をしていけば宜しいのでは無いでしょうか?」
心の中でセバスチャンに感謝する銀次郎。
「そうね、ギンジローを困らせてはダメ。お母さんには言っておくから、お化粧の研究は自分でしてね」
「ソフィア様、ギンジロー様ありがとうございます。この御恩は一生忘れません。お化粧の研究を行い、この御恩をいつかお返しできたらと思います」
その後は、銀次郎が何となく知っている化粧品の特徴と使い方を説明し打ち合わせは終了するのであった。