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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第七十六話 可愛いは正義

 急に始まったハンバーグでの街おこし案。

どうすっかな〜と考えていると、化粧を終えたミリアとコーエンさんが戻ってきた。



「ミリアさん秘密は守ってね」



 虎に凄まれるがミリアは平気な顔をしている。

こんな時の女性は強いなと思う。



「お化粧というのは凄いですね。ある意味革命だと思います」



 化粧をしたスーツ姿のミリアは、キリッとしたキャリアウーマンに見えた。



「お化粧が世間に知れ渡ると、ギンジローさんに危険が及ぶかもしれないと私は思っているの。知っている人は限られているからくれぐれも秘密にして頂戴ね」



 女性は化粧で変わる。

綺麗になったと思うが、銀次郎はあまり良いとは思えなかった。

伝えるかどうか悩んだが、コーエンさんの化粧への情熱は本物だ。

自分の考えもコーエンさんならプラスに受け止めてくれるだろう。



 コーエンさんの化粧は、女性の美しさを追求し過ぎるあまり似た様な傾向になっている。

虎やアデルハイトさんみたいに強い女性のイメージには良いが、ミリアは可愛い系だ。

フランツェスカさんと同じ系統なので、個性に合わせた可愛い系のメイクを提案した。



「ギンジローさん話は分かったけど、どうすれば良いの?」



 虎も気になるようだったので、一度メイクを落として改めて化粧をする事になった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「ミリアの素材を活かしてファンデーションは薄く。眉もシャープにするのではなく少し太くしましょう」



 部屋にはピンとした空気が流れる。

男性の銀次郎からしたら逃げ出したい空気だがこれは仕方がない。

コーエンさんも黙って化粧を進めていく。



「目は少し大きく見えるようにしてもらえますか?」



 最初のメイクと比べると別人に見える。

虎は黙ってずっと化粧を見ている。



「せっかくですからこのリップグロスを使ってみましょう」



 銀次郎はアイテムボックスから、同じ化粧品会社のリップグロスを渡す。

コーエンさんが丁寧に塗っていくと、唇がぷっくりとして可愛い姿に仕上がった。

鏡で確認すると自分の姿にうっとりとしている。



「これは凄いわね……」



 虎ですらこれ以上の言葉が出ない程、ミリアの化粧は仕上がっていた。



「あのー。なんかすいません」



 理由はないが、なんとなくこの空気に耐えきれなくなり謝る銀次郎。



「そういえばそろそろまたお化粧品を譲ってもらいたいのだけど、そのリップグロス? そちらもお願いする事はできるのかしら?」



 虎からの申し出に断る選択肢は無い。

他にも研究用の化粧品があるかどうか調べて、今度持ってきますと約束をする。

ミリアの化粧を落とすか話をしたが、仕上がったミリアの化粧を落とす事は女性として出来ないと虎は言う。

コーエンさんも同意した。



 隠し事を共有する仲なので、チームとして腹を括る為にもミリアに化粧品を渡す。

可愛い系の化粧の勉強をしてもらう事になったのだ。



 可愛いは正義が正式に異世界で誕生した瞬間でもあった。



 今回マインツ家に売ったグラス類は、ミリアの用意した魔道具で決済する。

本当に不思議な道具だがこれがあると便利だ。

虎がミリアと何か話があるらしいので、その間に銀次郎はソフィアに会いにいく。



「ギンジロー、ダンスの発表会を私も見に行っても良い?」



 ソフィアが胸に飛び込んできたので、そのままダンスを踊ってもちろんだよと伝える。

ドキドキはするけど、さっきまでの緊張感と比べると安心出来てこのままずっとダンスを踊っていたい。

疲れて脚が動かなくなるまでダンスを続ける二人だった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



 マインツ家の厨房にある休憩スペース。

いつもと違うのはミリアもいる事だ。

ミリアにはココアを作ると甘い香りが充満した。

その甘い香りとミリアの可愛さに釣られたのか、若い料理人達がソワソワしている。



 水を持ってきたり、パウンドケーキを持ってきたり、気持ちはわかるがこのパウンドケーキは自分が渡したものだ。

いつもはない過剰なサービスに、苦笑するしかない。

もちろん後でオリバーには怒られたみたいだが。



「ミリア悪いんだけど、明後日に商業ギルドに行くから時間もらえるかな? 社交ダンスの発表会の話を詰めたいのと別件で相談がしたいんだ」



「はい。大丈夫ですよ」



 銀次郎の今日のやる事は終了だ。

セバスチャンとコーヒーを楽しみ、ミリアとはココアの美味しさを語り合いながら至福の時間を過ごす。

セバスチャンが馬車で送ってくれたので、商業ギルドでミリアと別れてハングリーベアーまで戻った銀次郎。



 部屋の椅子に座りネットショップで買い物を始める。

まずは化粧品だ。虎に納品する化粧品を購入。

基礎化粧品と有名ブランドの化粧セットの他に、良さそうな化粧品やシャンプーなどを次々購入。

香水も買おうと考えたが、そこもやり始めると追いつかないので買うだけ買ってしばらくは黙っておく事にする。



 生ハムの三十六ヶ月熟成があるか確認したが売ってはいなかった。

少し寂しくなる銀次郎。親方にちょっとお願いしたい事ができたのでウイスキーも買っておく。



 あとは食器類や調理器具を購入。

今回調理器具をたくさん買ったので、あなたへのおすすめ商品に他の調理器具が数多く紹介された。

結構種類あるんだね〜

使うかどうかは分からないが、とりあえず使いそうな物は購入していく。

調理器具コーナーが終わったのか、今度は別の手動式の商品を紹介され始める。



 手動ポンプ、手動搾乳器……これはいらないな。

手動式の商品が無くなると今度は足踏み式コーナーに突入。

足踏みミシンはエルヴィスに使ってもらおうと思い買っておく。

電化製品ではないので結構安かった。

足踏み健康器具、足踏みダイエット機器……足の裏が痛いやつだな。

ネタとして購入しておこう。



 集中すると時間が過ぎるのがあっという間だ。

お腹が減ったので、食堂に向かいバーニーさんの料理とエールを楽しむ銀次郎だった。

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