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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第七十五話 ハンバーグで街おこし

「これ何だか分かる?」



 虎は基礎化粧品のセットをミリアに見せる。



「箱は綺麗で上質な紙を使用していますね。この液体の入ったガラス瓶。恐ろしく透明ですので高価な物だという事は分かりますが、これが何なのかは全く分かりません」



 ミリアが答えると、ミリアに化粧の体験してもらう事になった。

ミリアとコーエンさんが別室に行ったので、部屋に残ったのは虎とセバスチャンと銀次郎の三人だ。

セバスチャンは気配を消して、部屋の入り口で待機をしている。

紅茶を飲みカップを置くと、カチャリと音が響いた。



「あのー、今回は本当に助かりました。社交ダンスの発表会がこんなに人が集まるとは思っていなかったです」



 銀次郎は助けてもらった事に感謝すると、そんなのは大した事ないから気にしないでと虎が優しく微笑む。

気にしないでと言われても助けてもらったのは事実だ。

絶対にこの恩はいつかお返しすると伝えると、本当に気にしなくて良いのよと言って紅茶を飲む虎。



 レイチェルさんのダンスホールに通うお客さん達が、お城のダンスホールで踊って家族や友人がその姿を応援する。

レイチェルさんが審査して、最後に優秀なペア四組がフロアで踊り最優秀ペアを決めて表彰。

その後はパーティーを開いて、みんなで楽しむと言う計画を伝える。



「お城の警備はうちでやるから。もし怪我をした参加者がいたら教会の方に診てもらって、商業ギルドの方には受付と後は雑用かな。パーティーの件は、うちの料理人やメイド達にあなたが指示を出して頂戴ね」



 虎がいつもより大きく見える。

マインツ家が所有している馬車も貸し出してくれる事になった。

それに教会も協力するなら、あの狸にも馬車ぐらい出させないとねと怖い事を言っている。

マインツ家には立派な音楽隊があるが、街で流行りの歌もあるのでこっちでも音楽隊を集める事を伝える。

事前に演奏の合わせをして、こちらも準備を進めて行くことを伝えた。



「ギンジローさんもう大丈夫よ。大体の話は分かったから後は好きにやっちゃって。全てを知っちゃうと私も楽しめなくなるしパパと久しぶりに踊りたいだけだから。ただ一つだけお願いがあるの。場所と人とお金は出すから、ギンジローさんが楽しくて最高だと思うダンスの発表会にして欲しいの」



 随分な信頼にプレッシャーも感じるが、それ以上にワクワク感が溢れ出てくる。



「ありがとうございます。レイチェルさんも喜ぶと思います」



 銀次郎は立ち上がり、深くお辞儀をする。



「ところでギンジローさん。ご自身の商売は今後どのように考えているのかしら?」



 虎が話題を変えたので、商売で考えている事を話す。

今は商品をマインツ家がたくさん買ってくれるので、十分過ぎるほど利益は出ている。

今後はケーキや紅茶などが気楽に楽しめるお店を出したい事。

マインツは農業が盛んで豊かなので、その食材を使った料理を作りたい事。

ドレスの展示会みたいな催事を、今後も開催していきたい事を伝える。



「あのハンバーグのお店も出したら流行りそうだけど」



 虎はハンバーグを気に入ってくれたみたいだ。



「そうですね。それも考えたのですけど一人ではやはり手が回らないんです。ハンバーグを作るのは簡単ですが作り手によって味が変わるので、みんなが自分のハンバーグを作ってそれぞれの店の味を楽しんだ方が良いと思うんですよね」



 虎は黙って頷く。



「それにこのマインツでハンバーグが流行れば、街の名物になりますよ。それこそ旅行者がハンバーグを求めてマインツに来るかもしれませんね」



 銀次郎は日本では当たり前の事を言っただけだが、虎が喰いつく。



「詳しく聞かせて頂戴」



 肉食の目になり少しビビったが、ハンバーグで街おこし的な話をする。

美味しいハンバーグがマインツのどこでもたべられて、しかもいろんな種類があれば旅行者が増えるかもしれない。

旅行者が増えればお金を落とすし宿も潤う。

飲食店や宿で雇用も増えて、その結果税収も上がりマインツ家も潤うみたいなざっくりとした話をする銀次郎。



 考える虎。

ざっくり過ぎたかと不安になる銀次郎。

気配を読み取り、紅茶を淹れ直すセバスチャン。



「そのハンバーグの件で良い所は分かったわ。悪い所は何?」



「悪いところは、あのデミグラスソースを作る手間暇があるかどうかですね。トマトソースでも十分美味しいですが、王道はあのソースを使ったハンバーグです。各店であのデミグラスソースを作るのが大変そうですが、それ以外は特に無いと思います」



 再び考える虎。



「それを解決する方法は?」



 今日の虎はグイグイくる。



「デミグラスソースを商品化して販売出来れば、解決出来るとは思いますが……」



「ギンジローさん、お金も出すし問題があったら協力もするから、ハンバーグで街おこしやってみてくれないかしら?」



 虎からの申し出にどうしようか考えたが、楽しそうなので引き受ける事にした。

ただ急な事なので、この件についてはまた相談させて下さいと伝えるのであった。

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