第七話 あなたへのおすすめ商品
夕食に向け、マインツ伯爵家の厨房は忙しそうだ。
バターやレタス、トマトなどさすが伯爵家だけあって新鮮で美味しいものが揃っているが、マヨネーズはこの世界にない。
パンも硬くてパサパサしているので、銀次郎が用意した食パンを使っている。
厨房のみんなで試食して美味しかったので、今日の賄いはサンドイッチを出す事になった。
今日覚えたメニューをすぐに出すあたり、オリバーの向上心は素晴らしいと思う。
一方で銀次郎は、執事のセバスチャンと一緒に厨房の端にある休憩スペースでコーヒータイムだ。
「最後大変でしたね」
コーヒーを揺らしながら話すセバスチャン。
「ですね〜」
気の抜けた声で返す銀次郎。
「女性は美しさを常に求めますから。実際その化粧品は手に入るのですか?」
少し心配そうな顔で尋ねる姿に、銀次郎はコーヒーを飲み干してからセバスチャンに本心を話す事にした。
「それは大丈夫ですが、男なので化粧がよく分からないんです。化粧品を用意する事は出来ますが、使い方が分からないので何だか不安で」
するとセバスチャンもコーヒーを飲み干し、遠くを見つめる。
「私に出来る事なら協力しますから。後これは化粧品とバースデーケーキの代金です」
そう言って金貨の入った小袋を渡すセバスチャン。
だいぶ重いなとは思ったが、精神的に疲れていた銀次郎は小袋にそんな金額が入っているとは思わず、そのままアイテムボックスにしまうのであった。
馬車で宿屋ハングリーベアーまで送ってもらう。
セバスチャンにお礼を言って、馬車を降りたが辺りはまだ少し明るい。
すでにハングリーベアーの食堂では、昨日一緒に呑んだ冒険者達が、エールで喉を潤していた。
疲れたので一杯呑りたかったが明日の準備を済ませる為、冒険者達に挨拶だけして部屋に戻る。
スキルのネットショップを開く銀次郎。
まずはバースデーケーキだ。
定番のいちごのデコレーションケーキを購入。
ローソクも多めにポチる。
アイテムボックスに入れておけば悪くならないので、銀次郎の好きな濃厚チーズケーキやフルーツタルト、アップルパイも購入。
するとあなたへのおすすめ商品として、有名パティシエ監修カップケーキ詰め合わせセットが表示される。
もちろん迷わず買いだ。
他に何かないかな〜と見ていると、関西マダムのバウムクーヘンが表示されたので、こちらもまとめて買っとく。
このバウムクーヘンはパッケージもお洒落で、サラリーマン時代には、会社の女の子達から貰った義理チョコのお返しとして、よく使わさせてもらった。
懐かしい思い出に浸りながら、食材や備品などをネットショッピング。
「さてと、次は化粧品だな」
化粧品の知識なんてものは銀次郎にはなく、テレビや雑誌で少し見たり聞いた事がある程度だ。
有名ブランドの化粧品を見てみたが、驚くほど値段が高い。
女性は陰で苦労していたんだなと、異世界に来て初めて知る銀次郎だった。
結局散々考えたが、何を買えば分からなかったのでお値段の高い有名ブランドの化粧品セットを購入。
後はコマーシャルが独特だった、基礎化粧品のセットも購入。
化粧品が高いのはなんとなく知っていたが、基礎化粧品がこんなにするとは思わなかった。
もちろんお手頃なのもたくさんあったが、依頼を受けてお金ももらっているので最高級品を購入した。
お茶会の準備は全て整ったので、今日の疲れをエールで癒しに食堂に向かう銀次郎だった。