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閑話 Yokan
あの日の事はよく覚えてる。
変な名前をした息子の友達。
黒くてキラキラした甘い香りのする棒の持ち主。
最初にそれをもらった時は何だか分からず反応に困ったさ。
でも甘い香りにつられて一口齧った時から、世界が変わった。
とにかく彼にはアレをよこせと言い続けた。
いつだったかな? 急に呼び出されてね。
今はお孫さんがやってるあのダンスホール。
あの馬鹿息子、闇営業やってやがった。
まぁ思えばあの辺りから息子も変わったね。
この前息子には久しぶりに会ったけど彼は元気なのかな?
最近会ってないねぇ。
私もそんなに長くないから、また黒くて甘い棒を持ってきてくれって言っといてさ。




