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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第五十五話 虎のお茶会

 ハングリーベアーに戻り、夜のお茶会に向けて庭の井戸を使って身を清める。



「ギンジローさん、今日のハンバーグ凄かったんですよ。ソースの匂いでお客さんがみんなハンバーグをご注文されていましたから」



 宿屋の息子で長男のルッツが、庭で洗濯物を干しながら話しかけてきた。

個人的にはトマト煮込みハンバーグのチーズマシマシが好きだが、喫茶店でも売れていたのは王道ハンバーグだった。



「ルッツ今度一緒に賄いを作らないか?」



 将来ハングリーベアーを継ぐ為に頑張っている事を知っている銀次郎。

そんなルッツを応援したくなったので声を掛けたら、真剣な目でお願いしますと言ってきた。



 さてと、まずはアオに猫缶を買っとくかな。

部屋に戻ると、ネットショップでいつもの猫缶を購入する。

蓋を開けてアイテムボックスに入れたら、すぐに一個無くなった。

猫缶が増えるとアオは分かるのかな?

そんな疑問を持ちつつ、助けてくれたアオに感謝して他の物も購入していく。



 日本にいる時もネットショップは使っていたが、あなたにおすすめの商品の表示で衝動買いする事はなかった。

しかし異世界に来てからは、お金にもゆとりが出来たので、おすすめの商品をよく買うようになった。



 ロールケーキタワーを買うと、期間限定の桃のロールケーキタワーが紹介される。

せっかくなので紹介された桃のロールケーキタワーも購入

他には。明日のドレスの展示会で使いそうな装飾品も購入しておく。

続け様にジルコニアのネックレスを購入してたら、真珠のネックレスが出てきたのでそれもポチっとく。

すると急に飴玉やおむすびといった、過去に購入したことのある銅貨で買えるメニューしか出なくなった。

何でこうなったのかを調べたら、残金が銅貨6枚しか残っていない。



 頭の中が真っ白になる銀次郎。

お金が無くなった原因は誰もが知ってる一流ブランドの真珠のネックレスを、全財産を使い購入していた為だったみたいだ。

返品ボタンがないか調べたが、どこにもそんな表記はない。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「ギンジロー様どうされましたか?」



 夕方になりセバスチャンが迎えにきてくれたが、さっきのミスで落ち込んでいる。



「ちょっと間違って商品を仕入れちゃって……」



 セバスチャンはもし何か出来る事があればと言ってくれるが、ミスをしたのは銀次郎だ。

これからお茶会なので、気持ちを切り替えると伝える。

そのまま馬車に揺られてマインツ家に到着するが、いつもと比べて厳重な警備だった。



「なんか今日はピリピリしてますね」



 セバスチャンは、そうですねと言ってそのまま黙る。

気にはなったが、その事にあまり深くは考える事は無かった。



「ギンジロー様お待ちしておりました。ご案内致します」



 現れたのはメイド長のコーエンさん。

出会った頃も綺麗な方だったが、化粧を覚えてから磨きがかかっている。

メイド服がコスプレに見える程の、正統派の美人さんだ。



 虎がいる部屋の前に連れて行かれると、ドアが一気に開かれた。



「本日はお招き頂きありがとうございます」



 目の前の虎に深々とお辞儀をする銀次郎。



「ギンジローさんよく来てくれました。昨日も夏祭りで楽しい事してたって聞きましたよ」



 背中に冷や汗が流れる。

ゴージャスなかき氷を売って、ちょっとお酒と料理を出しただけなんだけどな。



「商会の立ち上げおめでとうございます。ブロンズランクって聞いたけど商業ギルドに文句を言っておきましょうか?」



 目が笑っていない。

ブロンズランクで十分ですよと伝える。

まだ挨拶だけなのに、今日の虎はいつも以上にキレがある。



「ねぇエルザ、早く私に紹介してくださるかしら? あなたが私を呼び出したのよ。紹介したい人がいるって」



「エルザ私もよ。あなたのお願いなんて珍しいからよっぽどの事なんでしょ?」



 虎のお茶会に呼ばれるだけあって、三人は仲が良さそうだ。



「そうね。セバス紅茶を出して」



 そのまま席に座ると、すでに温められたティーカップと紅茶セットが出てくる。

セバスチャンが紅茶を淹れると、香りを楽しむ女性陣。



「この紅茶はギンジローさんに譲ってもらったダージリンという紅茶で、シミやむくみ、身体の中の悪い物も出してくれて美容に良いのよ」



 また背中に汗がツーンと流れる。

営業トークで盛りに盛ったのだが、そこを切り取られると気まずい。



「香りも味も素晴らしくてしかも美容に良いだなんて、フランツェスカでもこんな紅茶は飲んだ事ないでしょ?」



 フランツェスカと呼ばれたのは、虎に呼び出されたと言ってたとても可愛らしい女性だ。



「そうね。最近は外国からも取り寄せているけどこの紅茶には敵わないわ。あとこのカップも素敵ね」



 フランチェスカさんはベタ褒めだ。



「さっきも言ったけど、エルザって急に綺麗になったよね。紅茶を飲むだけでここまで変わる?」



 そう言ったのは、もう一人の友人アデルハイトさん。



「ギンジローさんが困ってるわよ」



 すでにこの部屋に通された時から困っているが、どうしたら良いか全く分からない。



「二人にはこれから秘密を教えるわ。コーエン、二人にお化粧の準備を」



 そう言ってエルザ様のお茶会? が始まったのである。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「頭の中が真っ白になる銀次郎。お金が無くなった原因は誰もが知ってる一流ブランドの真珠のネックレスを、全財産を使い購入していた為だったみたいだ」 自分の持っている金額と買うものの金額を確認し…
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