第五話 ハチミツ大好きバーニーさん
小説を投稿して思った事は、自分が書いた物を読んでくれる人に感謝の気持ちしかない事と言うです。
皆様ありがとうございます。
昨日は飲み過ぎたのか、少し遅めに目を覚ます。
アイテムボックスから炭酸水のペットボトルを出し、喉をゴキュゴキュ言わせる。
そして外の庭にある井戸で顔を洗って、そのまま食堂へ。
「ギンジローさんおはよう!昨日は楽しかったわね」
クラーラさんの笑顔に癒されながら、テーブル席に案内される。
昨日遅くまで一緒に呑んでいた冒険者達は、朝早くに冒険に出かけたらしい。
逞しいものである。
お客さんが他に誰もいない食堂で一人座る銀次郎。
食欲があまりなかったので、温かいスープだけもらう事にした。
すると奥から宿屋ハングリーベアーの主人で熊みたいに身体が大きいバーニーさんが、スープを持って出てくる。
「二日酔いに効くスープだ」
そう言って目の前に置かれた木のコップを見ると、中身は真っ赤なトマトスープだった。
口をつけると濃厚なトマトと生姜が入っており、身体に染み渡っていく感覚を味わった。
バーニーさんにお礼を言うと、昨日のお礼だ、楽しかったなと銀次郎に声をかけそのまま戻っていった。
どうやら宿泊のお客さんは銀次郎が最後らしく、バーニーさんはみんなの賄いを作り始めた。
スープをチビリチビリやりながら見ていると、野菜スープとサラダ、パンと肉野菜炒めの賄いが出来上がった。
「ギンジローさん悪いけど、こっちで私たちの朝ごはんを頂いているわね」
クラーラさんがそう言うので、むしろ遅く起きて来てすみませんでしたと謝る。
「昨日は楽しかったんだからいいのよ〜」
クラーラさんは優しい。
長男のルッツからは、昨日は久しぶりのエルヴィスナイトで過去最高のエールやワインの樽が出たと聞いた。
銀次郎のタンバリン芸や、後で披露したマラカスも良かったと褒められた。
「特製スープご馳走様でした。とってもおいしかったです。お礼に紅茶をご馳走したいのですが、お湯を少し分けてもらっても良いですか?」
酔いも覚めたので提案をすると
「あら、紅茶なんて素敵ね。でもいいの?」
「私が飲みたくなったので、せっかくだから皆で飲みましょうよ」
そう言ってアイテムボックスから、紅茶のセットとハチミツで漬けたレモンを取り出す。
ハチミツで漬けたレモンを使ったレモンティは、栄養価が高く疲労回復にも良い。
喉の調子も整えてくれるので、銀次郎が紅茶を飲む時はこの特製レモンティが多いのだ。
「それはハチミツか?」
急に立ち上がり興奮するバーニーさん。
「はい、そうですけど。ハチミツたっぷりの紅茶を淹れましょうか?」
するとバーニーさんの表情が緩む。
一瞬ビックリしたが、バーニーさんの大きな身体が前のめりになっているのを見て、ハチミツが好きだという事が分かった。
「なんならハチミツを使ったお菓子も作りましょうか?」
「頼む」
そう言われたので、食堂にあった硬いパンを使い、蜂蜜たっぷりのハニートーストも作った。
ハングリーベアーには大きなオーブンはあるから、ハニートーストはすぐに作る事が出来た。
すごい勢いで蜂蜜たっぷりのレモンティと、ハニートーストを食べるバーニーさんに銀次郎の表情も緩む。
「まだたくさんありますのでどうぞ」
追加分をお皿に乗せると、瞬く間にハニートーストが無くなっていくのであった。
ハングリーベアーの名は伊達ではなく、結局銀次郎は追加で何度もハニートーストを作った。
自分が作った料理を美味しそうにたべるバーニーさん達を見れて、何だか幸せな気分になった。
バーニーさんにハチミツが入ったボトルを渡して、部屋に戻った銀次郎。
午後はお茶会の打ち合わせがある為、アイテムボックスに入っている喫茶店の備品をチェック。
食器や調理器具、食材やダスターなどをある程度まとめる。
猫缶が残り三個になっていたので、ネットショップで注文した。
野良猫のアオが美味しそうにたべる姿を想像すると、自然と笑みが溢れる。
ネットショップでケーキや食材を次々購入。
「これで何とかなるでしょ」
ネットショップは便利なので、あなたにおすすめの商品と表示された物も購入していく。
準備を済ませた後はベッドでゴロゴロしていると、外からゴーンと鐘の音が聞こえるのであった。
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宿屋ハングリーベアーの階段を降り、入り口に行くと執事のセバスチャンとメイドのアメリーが馬車の前で待っていた。
「すみません。待たせてしまって」
「ギンジロー様大丈夫ですよ。本日はソフィア様も楽しみにしていましたので宜しくお願い致します」
そう言って深々とお辞儀をするセバスチャンとメイドのアメリー。
「あのー、私はそんなんじゃないので言葉は崩してもらっても」
銀次郎は執事のセバスチャンにそう伝えたが、笑っているだけで返事はなかった。
銀次郎としては同じコーヒー好きの仲間であり、異世界で助けてもらった恩もある。
しかも執事で名前がセバスチャン、親近感がある。
まぁゆっくり距離を縮めていきますか。
そう心の中で呟きながら馬車に乗り込んだ。
マインツ家の厨房に着き、まずはこの世界の紅茶をセバスチャンに淹れてもらう。
伯爵家で出される紅茶だけあって、悪くはなかったが深みはなく、少し酸味とエグ味を感じた。
砂糖も少し入れてみたが、雑味も感じる。
クッキーは少しパサパサで、甘味は少ない。
メイドのアメリーは美味しそうにたべていたが、正直胸焼けしそうだった。
次はギンジローが、調理場を借りて紅茶を淹れる。
まずはアールグレイだ。
あらかじめお湯で温めていたティーカップを取り出し、厨房に集まってきた調理人とメイド達に試飲してもらう。
ストレートで香りを楽しんでもらった後、レモンティとミルクティーも試してもらった。
ちなみに、ミルクは厨房にあったものを使ったがとっても濃厚で甘味があった。
千葉県の牧場で搾りたての牛乳を飲んだ事があるが、それと同じくらいの美味しさだと思う。
「このミルクティーは美味いなぁ」
料理長のオリバーがつぶやく
「このレモンティも美味しいわよ」
メイド長のコーエンもつぶやく
ちなみにこの時点でネットショップで購入していたクッキーは、この場にいる料理人とメイド達によって全て無くなっていた。
次はダージリンを試してみる。
紅茶の味は好感触だったので、今度は味ではなくトークで攻めてみた。
「こちらはダージリンと言って、女性の方に人気の紅茶です。シミやむくみを防いだり、身体の中の悪い成分を出す効果もある。美容にも良い飲み物ですよ」
するとメイド長の眼が、一瞬だがキラーンとした気がした。
クッキーが無くなったので、ネットショップでお取り寄せしたパウンドケーキを少し小さめに切り分る。
「美容にいいなんて素晴らしいわ」
メイド長のコーエンさんには、セールストークがズバッと刺さったみたいだ。
「このパウンドケーキってやつも美味いな」
料理長のオリバーは、小さくカットしたパウンドケーキをいくつも口に入れてご満悦だ。
銀次郎はみんなの反応を見て、異世界でも大丈夫そうだなと実感するのであった。
その後メイド長のコーエンさんから美容について質問されたが、あくまでも営業トークであり美容に疎い銀次郎。
詳しく聞かれるとボロが出るので、また今度にでもと強引に話を打ち切った。
料理長のオリバーには、他の種類のパウンドケーキをいくつか渡し調理場を借りたお礼をする。
「おもしれぇやつだな。洗い物は任せときな」
そう言って料理長自ら食器を洗い、清潔な布巾で拭きあげてくれるのであった。