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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第一章 夏祭り屋台編
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第四十七話 フルーツの盛り合わせ

 エデルとハリーが戻ってきたので果物を冷やす。

冷えた果物からエデルがカットして、フルーツプレートに果物を盛り付けていく。

最初はアメ横の果物屋台イメージでやってたけど、フルーツプレートに盛り付けると高級感が出てくる。



「それじゃ納品に行きますか。お婆さんもう少しかき氷屋台はお願いします」



 フルーツの盛り合わせはアイテムボックスにしまって大聖堂に向かう事にした。



「こんにちは!フルーツの盛り合わせとマンゴーを持ってきましたけど、どこに持っていけば良いですか?」



 大聖堂入り口で受付の男性に声を掛けると、すぐにレイノルド助祭を呼んできてくれた。



「待ってました。マンゴーはマジックバッグの中ですか? 一応中身は拝見させて下さい」



 レイノルド助祭に確認してもらうと、階段を登り奥にある部屋へと連れていかれる。



「失礼致しますレイノルドです。扉を開けても宜しいでしょうか?」



 すると許可が出たので、レイノルド助祭が扉を開ける。

部屋の中は会議室になっており、何か重要な話し合いがされている様だった。



「ねぇギンジロー、あの人はマインツ大聖堂の司祭だよ。あの奥にいる2人も他の教会の司祭だと思う。良いのかなこんな場所に入って」



 ハリーは少し緊張しているようだ。

司祭が偉い人というのは何となく分かる。

レイノルド助祭と同じ服を着た人が、司祭の後ろで羊皮紙に何やら書き込んでいた。



「レイノルド助祭、後ろに居る彼らが果物屋台の方々だね。良い時間だから少し休憩にしよう。私はこの大聖堂で司祭を務めているヴェルナーです。君達のおかげで今年は助かっている」



 思わぬお偉いさんから、お褒めの言葉をもらう。

そんなに教会の仕事は多忙なのだろうか。

まぁでも司祭の後ろにいる助祭達の表情には、疲労感がどっぷり見えるのでやっぱり忙しいんだろう。



 アイテムボックスからフルーツの盛り合わせを取り出しテーブルの上にセットする。



「ところで店主、果物屋台は今日で終わりと聞いたが?」



 ヴェルナー司祭から声を掛けられるが、果物屋台の店主はエデルだと伝える。

ヴェルナー司祭はまだ幼いエデルを見て驚いていたが、膝をつきエデルの目線に合わせて改めて感謝の言葉を伝える。



 レイノルド助祭に聞いてはいたが、教会の方の夏バテは深刻な問題だったそうだ。

それが今年は、冷やしたフルーツ盛り合わせを仕事の合間に摘むことで、夏バテの防止と解消が出来た。



「エデルさん、もしまたこの冷やしたフルーツ盛り合わせを持って来てくれるのなら、我々はいつでも買い取る事を約束する。夏だけではなく冬でもそうだ。一年中我々は待っている。私はこのマンゴーが気に入ってね。この暑い日でもすこぶる体調が良い。本当に感謝している」



 ヴェルナー司祭はエデルの頭を撫でて立ち上がり、こっちを見て頷く。

エデルと会話をしている時は優しいおじいちゃんの顔だったが、こっちを見た時の目力はとても強かった。



 フルーツ盛り合わせを摘む教会の方々。

あっという間に食べ終わると、またすぐに会議を再開するらしい。

大変だなぁと思いながらプレートをアイテムボックスに収納すると、ヴェルナー司祭から声を掛けられる。



「名前を伺っても?」



「はい、銀次郎と申します。少し前にマインツ伯爵家のソフィア様に、道で倒れている所を助けてもらい今はこの街にいます」



「やはり君だったか。ある方から黒目黒髪の男性には手を出すなと言われてね。君とは長い付き合いになりそうだ。このマインツで教会の力が必要な場合は、何でも言ってくだされ。レイノルドを定期的に君の元に向かわせるから」



 この爺さんが夏バテするか? と疑うほど、力強く握られた右手は、しばらくジーンとするのであった。



「君は王都にいなかったかい?」



 ハリーは直立不動で、王都の魔法魔術学校を卒業したことを伝える。

ただのハンバーグ好きな魔法使いという認識だったが、確か首席で卒業と言っていたし意外と大物なのかもしれない。



 会議が再開されるので挨拶をして部屋を出る。

レイノルド助祭に案内されて、次は食堂に向かった。

そこにはパンとチーズ、あとは野菜のスープが入った大鍋が無造作に置かれている。



 この場所に残りのフルーツ盛り合わせプレートを置くと、ふらっと現れた教会の方が一口二口つまんで、またすぐにどっかへ行ってしまう。



 教会の方々は本当に凄く忙しそうで、思わずハリーと目が合ってしまった。



「レイノルド助祭、教会の方々は大変なんですね」



 思わず出て来た言葉に、レイノルド助祭は苦笑いをする。



「ギンジローさん、司祭のヴェルナーから話があった通り、教会の力が必要な場合は何でも私に言ってください」



 特に自分が教会に助けを求める事はないと思うが、この件は了承する。

普段はハングリーベアーに泊まっており、商業ギルドのミリア、マインツ伯爵家の執事セバスチャンに聞いてもらえれば、だいたい居場所は分かると思うと伝える。

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