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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第一章 夏祭り屋台編
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第四十二話 展示会と発表会

 アイテムボックスから紅茶のセットを取り出す。

レイチェルさんにお湯を沸かしてもらい、ティーカップに紅茶を淹れた。

クッキーとお饅頭を追加し皿の上へ。

後はパウンドケーキをカットして、別のお皿に乗せる。



 急遽始まったお茶会だが、銀次郎にはアイテムボックスがあるのですぐに対応が可能だ。



「紅茶はお好みで砂糖か蜂蜜をお使いください」



 そう伝えてお客さん達とレイチェルさん、後は従業員の方々も交えてお茶会になった。



「この紅茶は美味しいね。砂糖入りなんて幸せだわ」



「踊った後は、こうやってお茶会を開くのもいいわね」



「このパウンドケーキって、甘くてしっとりしていて美味しいわ」



 今日集まっている方々は先程の木材の商会のご夫婦と同じで、仕事を引退した人が多いみたいだ。

一人で来ているお客さんもいたので話を聞くと、集まって話す機会はあまりなかったらしくこういったのも良いねと喜んでくれた。



「ところでエルヴィスさん、私達にもレイチェルさんの様な素敵なドレスを作ってはいただけないかしら?」



 品の良さそうなマダムが、エルヴィスに尋ねる。



「ドレスは販売したら終わりではなく、その後のメンテナンスが重要です。その為今は新しいお客さんの事までは手が回らない状況でして」



 やんわり断ったエルヴィスだが、そこは歴戦の強者というかマダム達が集まっている。

そう簡単には逃してくれない。



 困ったエルヴィスがこっちを見て助けを求める。

忍法知らんぷりを決め込もうとしたが、エルヴィスに先回りされてしまった。



「ギンジロー、良いアイディアないか?」



 アイディアなんてある訳が無い。

ダンスを今日始めた人間にそれを聞くかと思ったが、親友からの相談なので何かあるか考えてみる。



「皆さんはレイチェルさんの様なドレスが欲しいんですよね?」



 すると全員が欲しいと言う。



「なんで欲しいんですか? 今着ているドレスでも充分素晴らしいと思うのですが」



 更に聞いてみると、一着は最高級のドレスを持っていたいとの事。

それは憧れであり仕事を引退したのでパーティーなどに参加する事も無いと思うが、もしその様な機会が有った時にレイチェルさんみたいなドレスを着て踊りたいとの事だった。



 なるほどなと銀次郎は思った。

お金にはゆとりのある方々っぽいし、エルヴィスにとっても良い話だと思うんだけどな。



「エルヴィスちょっといい?」



 エルヴィスと少し席を離れて本音を聞いてみる。



「実は前にドレスを作ったマダムが言い寄ってきて、それを断ったら殺されかけた事があるんだ」



 衝撃的な理由だった。

イケメンにも色々とあるんだなぁと思ったが、商売としてはやはりチャンスでしかない。



「それじゃここでドレスの展示会をしたらどう? 日にちを決めてここで採寸をする。ドレスの生地を持ってきてお客さんに選んでもらってデザインも決めて。レイチェルさんに間に入って貰えば、問題無さそうな気もするけど」



 レイチェルさんにここでドレスの展示会を開いても良いか聞くと、また紅茶とお菓子をご馳走してくれるなら大丈夫よとウインクされた。

紅茶やお菓子ぐらい何の問題も無い。

エルヴィスもそれであればという事なので、ドレスの展示会を開催する事が決まった。



「じゃあせっかくなんで、ドレスが出来上がったら社交ダンスの発表会とかもやりますか?」



 銀次郎は喫茶店の常連さんで、フラメンコを習っている女性がいたのを思い出した。

その女性は年二回の発表会に合わせて、衣装を毎回を新しくしている話を聞いた事があった。

フラメンコの話をしている時はとても活き活きしていたが、衣装のお金やチケット代を聞いて随分お金がかかる趣味だなぁと思ったのを覚えている。



 当然この世界にも発表会があるのかと思ったが、レイチェルさんのダンスホールでは純粋に社交ダンスを楽しむだけだったらしい。



 レイチェルさんに発表会って何するのと聞かれたので、家族や友達を誘って自分が踊っている姿を見てもらう。

チケットは友人に買ってもらっても良いが、自分の踊っているところを見てもらいたいのであれば、自分で購入して渡しても良い。

発表会があれば普段とは違う緊張感が味わえるし、みんなの励みにもなると思うと伝える。



「それなんか楽しそうじゃない?」



 お客さん達もレイチェルさんも乗り気だ。

趣味で社交ダンスをしているが、やるからには周りにも理解されたい。

パーティーで踊るダンスだけではなく、社交ダンスの魅力を伝えたい。

家族にも社交ダンスの楽しさを分かってもらいたく、何度も説明したが分かってもらえなかった。



 だからダンスの発表会をして、魅力や楽しさを伝えていこうと盛り上がってる。

発表会はお金掛かりますよと伝えたが、お金にはゆとりあるお客さん達なので、どうやって発表会をやるかで夢中だ。



 エルヴィスが銀次郎の肩に手を置く。



「やっぱりギンジローは面白いな。社交ダンスの発表会はギンジローに任せても良いのかな? ねぇレイチェルさん」



 レイチェルさんにOKをもらったのでドレスの展示会は夏祭りの二日後、社交ダンスの発表会はドレスが出来上がる一ヶ月後くらいに開催する事になった。

急に決まった事だったが、楽しくなる予感しかしない。


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