閑話 コンペートー
夕食の準備をしていると、メイド長が厨房に現れた。
「どうしたんだ?」
珍しく慌ててるから、何だって聞いたらギンジローを探してるって。
「さっきまで執事と一緒に居たけどもう帰っちまったな」
あっ、何だか落ち込んでる。
仕事が出来る様に見られてるが、昔はいつも落ち込んで裏庭で泣いてたっけ。
コイツは何でも一人で抱えすぎてる。
きっと、奥様にギンジローを探す様言われたんだな。
「おい、これギンジローからコレ貰ったけど、ちっこくて腹に溜まらなそうだから代わりに食べてくれ」
棚の中に隠していた綺麗なガラス瓶を渡すと、コーエンの眼がキラキラと輝きだした。
そう言えば最近、何だか印象が変わったな。
明るくなったっつーか、なんだか綺麗になったな。
あの泣き虫が綺麗に見えるなんて、今日はソーセージ食い過ぎたな。
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何これ。まるでお星様みたいじゃない。
ギンジロー様には逃げられたけど、オリバーから貰っちゃった。
いつもと違ってちゃんと私の顔見てた。
お化粧の効果が現れてるわねきっと。
どんなに疲れても、お肌のケアは時間をかけて丁寧にやってるの。
基礎化粧品の凄さを知ったら、もう前には戻れないわ。
あと、シャンプーとトリートメントもね。
お化粧品は…… 使い方が分かる物と全く分からない物がある。
何よあのチークって。
お鼻が真っ赤になって、トナカイみたいって奥様に言われちゃった。
奥様は、絶対ギンジロー様はまだお化粧を隠し持ってるって言ってたけど、まずはこのお化粧品達を使いこなせる様にならないと。
あれっ? これすごく甘くておいしい。
オリバーはいつも優しいし、甘くて好き……
ギンジロー様から貰ったって言ってたけど、まだこんなの隠し持ってたのね。
奥様にお話をしないと。




