表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
201/207

第百八十三話 勝負の二択

「エルザ様がお待ちですので」



 パーティーでの食事の試食と打ち合わせをしていると、コーエンさんから声が掛かった。

美容関係の話になるといつも受け身になるので、今日は前向きに話をしようと決めた銀次郎。



「失礼致します」



 コーエンさんに連れて行かれ部屋に入ると、エルザさんとミリアが待っていた。

紅茶を飲みながら世間話をして、本題の下着の話に突入。

まずはコーエンさんから。



「この下着を一度でも使ってしまったら、もう元に戻る事はできません。メイド全員を代表してギンジロー様に感謝の気持ちをお伝えさせて頂きます」



 コーエンさんが深々とお辞儀をすると、ミリアも同じ様にお辞儀をする。



「私は商品を仕入れる事しかできないので、そんなに畏まらないで下さい。普通の白色と肌色の下着でしたら、安価でいくらでも仕入れられますので。あと私は男ですので今後試着をする場合は、このマネキンという人形を使いましょう」



 ネットショップって何でも売っていて便利だ。

金貨2〜3枚くらいの物が多かったが、中には金貨5枚のマネキンも売られていた。

相当な出費となってしまったが、精神衛生上必要経費だと割り切った。



「ギンジローさんの故郷にはこの様な人形もあるのですね。脚が長くて身体は細くて私の憧れの体型です」



 ミリアが口を尖らせながら言うとエルザさんは、ミリアは可愛らしくて素敵よ〜と褒め、コーエンさんもそれに同調する。

女性同士の褒め合いの会話に、銀次郎は存在感を消して時間が過ぎるのを待つ。



「ねぇ、ギンジローさんもそう思うわよね?」



 やばっ、聞いてなかった。

急に話を振られたがどうする?

そう思うか思わないかどっちなんだい。



 まぁエルザさんが聞いてくるのだから、同調するのが正解だろう。

銀次郎は聞いていなかった事を表情に出さない様にして、エルザさんの目をしっかりと見る。



「はい。私もそう思います」



 沈黙が怖い……



 突如として現れた究極の二択。

正解なのか不正解なのか……



「ほらギンジローさんもそう思うわよね。コーエンとミリアはギンジローさんに相談しながら進めてね」



 どうやら命拾いをしたようだ。

今日は受け身にならないと決めていた銀次郎は、何の武器も持っていないが敢えて一歩踏み込む。



「コーエンさん、ミリア、どうします?」



 先にジャブを打って相手の反応を待つ銀次郎。



「まず確認ですが本当にこの白色と肌色の下着でしたら、安価でいくらでも仕入れる事が出来るのでしょうか?」



 コーエンさんからの質問に、銀次郎は手を前で組み力強く出来ますよと伝える。

実際にお金さえあれば、ネットショップスキルでいくらでも仕入れる事が出来るからね。



「それはいつまでに仕入れる事が出来ますか? あとギンジローさんの販売価格はいくらになりますでしょうか?」



 ミリアからの質問に、社交ダンスの発表会が終わればいつでも仕入れる事が出来る。

普通の下着は生活に必要だと思うから、仕入れ値で構わないと伝える。



「ギンジローさんも本気なのですね。分かりました。商業ギルド員の教育も早急に進めます。コーエンさんこの後お時間宜しいですか? 話を進めていきましょう」



 コーエンさんとミリアは、何やら今後の話をするので別室へと行ってしまった。

コーエンさんの代わりに現れたのはセバスチャン。

銀次郎は二択に勝利したので、コーヒーを淹れてもらう。



「あなたは欲の無い人ね。嫌いではないけどゴールドランクの商会にならないと、ソフィアとは一緒になれないわよ。応援しているけど貴族にも色々とあるのも分かって頂戴ね」



 エルザさんはしっかり稼いで、早くゴールドランクになりなさいと応援してくれた。



「これでも充分過ぎるほど頂いておりますので。勝負下着や、盛りに盛った寄せて上げる下着を今後売る時には、その分稼がせてもらいます」



「それが良いわね。最後に何か困っている事はある?」



 いつもの様に、何か困っている事がないか聞いてくるエルザさん。

偉い立場の人が、この様に気にかけてくれる事に感謝しないとな。

特に困った事はないのだが、ふとエルザさんが困っている事はないのかを聞いてみる銀次郎。

今日は受け身ではなく、踏み込むのが武士道なのだ。知らんけど。



「そうね……うちのパパと息子は王都に居るでしょ。あれは人質なの。息子のどちらか一人でも此処に帰って来る事ができれば、パパに会いに行けるのにね」



 珍しくエルザさんから愚痴がこぼれた。

銀次郎にとって目の前の女性は、絶対的王者の虎だと思っていたが人間だったんだな。

面談も終了したので、マインツ家の従業員お風呂を借りてさっぱりと。

さて明日はのんびりして、明後日の社交ダンスの発表会に備えよう。

両手で頬をバチンとやって、気合いを入れる銀次郎だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ