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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百八十二話 パーティーの最終打ち合わせ

「我々もパーティーはお客様と一緒に参加しましょう」



 銀次郎の発言にざわつく使用人達。

貴族のパーティーではあり得ない事なのだが、今回はレイチェルさんが主催する社交ダンス発表会のパーティーだ。

レイチェルさんならきっと、誰もが楽しめるパーティーを望むはず。



 それにマインツ家の人々は、優しくて懐が深い。

バーベキューを初めて開催した時、領主のレオンハルトさんは自分でお肉を焼いて喜んでくれた。

マインツ家一族と使用人達が、同じ場でバーベキューをして楽しんだあの光景が忘れられないのだ。

最終打ち合わせで、今までとは違う方法を選択した銀次郎。



「料理の内容を変えましょう。サラダも前菜も大量に作ってビュッフェ方式にしましょう。大皿のパスタとピザ、ソーセージは個人的にボイル派ですが皆さんはボイルと焼くのどっちが好きですか?」



 銀次郎がテンション高く話していると、オリバーから要望が。



「なぁ坊主。マインツハンバーグは出来立てを食べてもらいてぇな」



 マインツ家の料理として世間に広めたマインツハンバーグは冷めてもおいしい。

だが作り置きではなく、出来立てを提供したいとの事だった。



「それでは庭に肉料理コーナーを作って、鉄板でハンバーグや肉料理を提供できる様にしましょうか。厨房ではパスタとピザを作る形で。ソーセージはボイルと焼き両方出しましょう」



 若い料理人からは、サンドイッチを作りたいと申し出があった。

自分がやりたいと思ったのなら好きにしていいよ。

食パンはネットショップでいくらでも手に入れられるし、作り置きすると思うからラップの使い方だけ後で教えておこう。

何となくホットドッグがたべたくなったので、レシピを伝える。

んートマトソースがな〜 ケチャップの絶妙な甘味と酸味がまだ再現できていない。

なぜ俺は日本にいた時にケチャップを手作りしていなかったんだ……



「ギンジロー様、飲み物の提供はどうされますか?」



 メイドさんからも質問があったので、飲み物も基本自分でやってもらう様にする。

そうだ、飲み物は全て紙とプラスチックのカップにしよう。

みんなに実物のカップを見せて説明と、実際に使って感想を聞いてみる。

違和感なく使えるので採用になったのだが、ストローにはどの様な意味があるのでしょうか? と聞かれた時には、答えることができなかった。



 ストローを吸って飲み物を飲む。

それ以外に意味があるのか、銀次郎は考えた事もなかった。

ストローの意味って何なんだろう?

考え出すと奥が深すぎて、ますます迷いの森へと引き込まれてしまう。

ストローの意味は結局わからなかったが、お腹も減ったのでみんな大好き試食タイムに。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「庭で肉料理を作るんだから、庭に置くべきだ」



 料理人の一人が何かを主張している。



「いいえ。そちらは大変貴重な物です。それに室内でもローストビーフが出ます。こちらも肉料理ですわ」



 メイドさんの方も負けじと主張。

パーティーをよくしたいと二人が議論しているので、聞くに徹したいのだが……



「ギンジロー様はどう思われますか?」



 こっちに飛び火してきた。



「この魔道具のエールサーバーは素晴らしいです。室内に置いて多くのお客様に使っていただくべきだと思います」



 メイドさんの純粋な主張に、冷や汗をかく銀次郎。

親方に作ってもらった魔道具の一度注ぎエールサーバーは、グラスの側面に注ぎながらエールを回転させていく。

するとこの回転で泡に炭酸が閉じ込められ、喉越し豊かで爽快感を味わえるエールになる。

ちなみに一度注ぎエールサーバーは、現在ハングリーベアーに置いてある。



 いま議論しているのは目の前にある二度注ぎエールサーバー。

二度注ぎはグラスの底にエールをあてながら一度目を注ぐ。

すると泡泡なエールになるので、少しそのままにして泡が落ち着くのを待つ。

その後二度目のエールを注いで完成させると、炭酸は少し飛ぶが二度注ぎで泡を作るので、その分コクと旨みそして適度な喉越しが味わえるエールになる。

バランスが良くて、個人的には好きな注ぎ方だ。



 なぜいま銀次郎が冷や汗をかいているかというと、親方に作ってもらった魔道具のエールサーバーは全部で五つ。

一度注ぎ、二度注ぎ、三度注ぎ、そして何でもできる手動のエールサーバーは銀次郎が所有。

一度、二度、三度注ぎが全て自動でできるエールサーバーは親方が所有している。



 つまり銀次郎のアイテムボックス内には、まだ三度注ぎと手動のエールサーバーが残っているのだ。

三度注ぎは昔お昼の顔だったサングラスの男性が、一番おいしい注ぎ方だと世に広めたのだが、作るのに時間がかかってしまう。

完全なる言い訳だがパーティーには向いていないなと思い、銀次郎は二度注ぎのエールサーバーしか出していなかった。

手動タイプもパーティーには向いていないと勝手に判断。



「お二人の意見はどちらも正解です。決して間違っていません。今回のパーティーの為に、こんなに真剣に議論してくれてありがとうございます。どうするか他の方の意見も聞いてみましょう」



 銀次郎がそう伝えると、セバスチャンが提案をしてくれた。



「魔道具のエールサーバーは庭に置きませんか? 室内は食事よりデザートやケーキに夢中になる淑女が多くなるでしょう。エールではなく紅茶の種類を増やした方が良いかと思います」



「そ……そうですね。お二人はそれでよろしいですか?」



 二人から了承を得たので、魔道具のエールサーバーは庭に設置することに。



「紅茶の他に、デザートやケーキも種類を増やしますね」



 セバスチャンに感謝して、無事最終打ち合わせと試食会が終了したのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 200話到達おめでとうございます(*゜∀゜) パーティーの準備で200話目を迎える辺りは実に銀ちゃんらしい(笑)
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