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異世界ネットショップマスター  作者: グランクリュ
第二章 ダンスホール編
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第百八十話 しゅわしゅわしゅわしゅわ♪ゴキュッゴキュ♪

誤字・脱字報告いつもありがとうございます。

「助けが欲しい。不安なんだ」



「どうしたギンジロー?」



 エルヴィスに助けを求めた銀次郎。

ただ事ではないと感じたエルヴィスは、仕事を中断して相談に乗ってくれた。

尚、エルヴィスを連れ出した事により、エルヴィスのお母さんから老舗の高級羊羹を要求された模様。



「とりあえずおやっさんの所に行こう」



 こうしてマニーさんの楽器店へと向かう二人だった。



「おやっさん少しいいか?」



 何かを察したマニーさんは、扉の看板を閉店にし話を聞く事に。

銀次郎は女性用の下着をアイテムボックスから取り出して、実物を確認してもらいながら不安を打ち明けた。



「下着の説明をしていると、どうしてもいやらしい事を考えてしまって……」



 マニーさんはブラジャーを手に取り、胸にあてている。

エルヴィスは真面目な顔で、パンティーを引っ張っている。

この二人に相談して良かったのかなと、一瞬後悔する銀次郎。



「ギンジローはいやらしい事を考えるのが、いけない事だと思っているんだな」



「そうだね。相手に失礼かと……」



「なるほど。それで相手の女性は嫌な顔をしていたか?」



 これは自信を持って言える。



「嫌な顔はしていなかったと思う。試着の時は席を外したし、どうしても確認して欲しいって時しか下着姿を見ていないから」



 エルヴィスの目を見てしっかりと伝える銀次郎。



「それは良かった。だがなギンジロー。下着姿を見れば、どんな男だっていやらしい事は考えるぞ。大事なのは相手を嫌な気持ちにさせない事。話を聞く限り、ギンジローはそれが出来ているから大丈夫だと思うぞ」



 話を聞いてもらい、何だか気持ちが落ち着いてきた。

エルヴィスがドレスの寸法を取るのに、嫌な顔をされた事があるか聞いてみると、嫌な顔なんてされた事がない。

それどころか裸になる女性がいて、困った事があったよと笑っていた。

うーん……相談する相手がやっぱり間違ってたかも。




「よーしギンジロー。少し早いが呑みに行こうぜ。あの冷えたエールな」



 今日は呑みたい気分だったので、マニーさんの誘いに乗りハングリーベアーに向かう三人だった。



●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●●



「ゴキュッゴキュッゴキュッんはぁあぁ」



 冷えたエールを豪快に呑み干すマニーさん。

そしておかわりのエールを三杯注文し、おつまみのナッツをボリボリと頬張る。



「マインツの街でしか味わえない♪」



 マニーさんが急に言い出したので、もう酔っ払ったのかと心配する銀次郎。

するとマニーさんのに続いてエルヴィスも。



「冷えたエールを知ってるかい?」



 なんか始まったな。

即興で歌を作ってると認識した銀次郎は、頭ん中をフル回転させる。



「しゅわしゅわしゅわしゅわ♪ゴキュッゴキュ♪」



 語彙力に乏しい銀次郎は、エールを呑み干す時の事を言葉にするしか出来なかった。



「しゅわしゅわしゅわしゅわゴキュッゴキュ……」



 マニーさんがそう呟きながら、指でテーブルを叩きリズムを取る。



「王様でも呑めないエールが♪ここハングリーベアーでは呑めるぞ♪」



 歌っぽくなったな。

するとマニーさんが注文してくれた二杯目のエールが届く。



「しゅわしゅわしゅわしゅわ♪ゴキュッゴキュ♪」



 エルヴィスがジョッキをぶつけながら、即興を続けた。

冷えたエールを呑みながら次の言葉を考えるが、語彙力が乏しい事に定評のあるギンジロー。

何も思い浮かばないまま、二杯目のエールを呑み干してしまった。

(ヤバイ何も浮かばなかった。とりあえず呑むか)



「王様のエールをもう一杯」



 すると隣の席に座る顔馴染みのお客さんが



「しゅわしゅわしゅわしゅわ♪ゴキュッゴキュ♪王様のエールをもう一杯♪」



 まさかの飛び入り参加での注文。

何も思い浮かばなくて時間稼ぎで王様のエールを注文したのだが、これが見事にハマった。



「王様のエールおかわりよ〜」



 クラーラさんも合わせると、聞き耳を立てていた他のお客さんも合わせてくる。



「王様でも呑めないエールが♪ここハングリーベアーでは呑めるぞ♪」



「しゅわしゅわしゅわしゅわ♪ゴキュッゴキュ♪」



「王様のエールをもう一杯♪」



 こうなると止まらない。

店内のお客さんが騒ぎ出し、王様のエールを次々と注文。

常連のお客さんから一曲演ってくれとリクエストされるが、ギターも太鼓もない。



「タンバリンあるか?」



 タンバリンはアイテムボックスにあるので取り出すと、マニーさんがリズムを作り始めた。

このリズム、この曲の入りは知ってる。

皇帝ベッケンバウアー三世の物語だ。



 急遽始まったエルヴィスナイト。

いつもの様に木の扉は取り除かれ、オープン席を作る三兄弟。

エルヴィスが甘い声で歌い、タンバリンでリズムを作りだすマニーさん。

銀次郎は大きく身体を使いながらダンスと、腕を振ってオーディエンスを煽っていく。



 即興曲の王様のエールを途中何度も入れて、ハングリーベアーの売上にも貢献。

チップは途中から参加してきた、冒険者のキーランドさん達の食事代にあてる。

呑みに呑んで、騒ぎに騒いで、ちっぽけな悩みなんか吹っ飛び楽しい一日になった銀次郎だった。

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